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2009年8月25日 (火曜日)

フリージャズは難しくない・・・

いや〜、今日は涼しい。早朝、窓を開けると、風が涼しすぎて、布団を被ってしまった。朝、駅に行く時、上着を着ても暑くない、どころかちょうど良い。しかも、湿度が低くて爽やか。本当に「秋の気配」を実感する、今朝の我が千葉県北西部地方。

これだけ涼しくなると、夏真っ盛り、暑い中、避けて通っていた純ジャズが聴きたくなる。しかも、今日は、この涼しさである。今日はなんだか「フリー・ジャズ」が聴きたくなった。「フリー・ジャズ」は久しぶり。なにを聴こうかと思っていたら、ふと、Archie Shepp(アーチー・シェップ)の『Life at the Donaueschingen Music Festival』(写真左)が聴きたくなった。いや〜、このアルバム、本当に久しぶり。

邦題は『ワン・フォー・ザ・トレーン』。原題の『Life at the 〜』は誤植ではありません。原題がそうなんです。決して『Live at the 〜』ではありません(笑)。1967年10月、ドイツのドナウエッシンゲン音楽祭での実況録音盤です。ちなみにパーソネルは、Archie Shepp (ts), Roswell Rudd (tb), Grachan Moncur (tb), Jimmy Garrison (b), Beaver Harris (ds)。私にとっては、Roswell Rudd (tb)とBeaver Harris (ds)についてはよく知らないミュージシャンです。

収録された曲は「One for the Trane」の1曲のみ。この1曲をLP時代は、A面B面にぶった切って収録されていました。でも、CDで連続収録される様になったのに、One for the Trane Part.1、One for the Trane Part.2と分かれて収録されているのには、聴く度に苦笑い。

「One for the Trane」って、なかなか聴き応えのある名演です。Trane(トレーン)はもちろんコルトレーンのことで、彼の没後わずか3ヶ月後の演奏で、メンバー全員一丸となった入魂のプレイとなっています。

導入部の長いギャリソンのベース・ソロとパーカッションの響きに続いて、アーチー・シェップが入ってきます。いわゆるスピリチュアルなブローとでもいうのでしょうか、シェップは感情のおもむくままに吹きまくっていきます。咆哮というか、叫びというか、怒りにも似た、叫ぶような肉声のようなテナーの雄叫び。

Donaueschingen_2

でも、注意深く聴きこんでみると、ベースのJimmy GarrisonとドラムのBeaver Harrisが、しっかりと一見フリーな演奏の底をビートで支え、ガッチリと基音を押さえて、シェップはその「ビートと基音」の上で、本能のおもむくまま、感情のおもむくまま、テナーを吹き進めていることが判ります。基本的には「モード奏法」のバリエーションという感じでしょうか。自由に吹きまくっている様で、意外と秩序がある演奏は、いったん、そのからくりが判ってしまうと、案外聴きやすい。

もともと完全フリーな演奏ってないですからね。完全フリーだったら、その演奏がどこから始まって、どこで終わるのかも判らないし、音楽としてユニゾン&ハーモニーに乱れが生じて、単なる雑音に陥る危険性もある。雑音になってしまえば、もはや音楽と呼べず、当然、聴衆に失礼な振る舞いとなってしまう。自分だけが気持ち良ければ良いのであれば、人前で演奏しなくても良いのですからね。

そういう意味で、このシェップの「One for the Trane」は、しっかりと「音楽」になっている。壮絶な即興演奏ではあるが、フリー度が高い演奏ではない。しっかりと秩序があって、ジャズの枠内で、限りなく即興な演奏、と言ったほうがピッタリくる、実に優れた演奏である。

でもまあ、いわゆるスピリチュアルなブローとでもいうのでしょうか、シェップは感情のおもむくままに吹きまくっていて、咆哮というか、叫びというか、怒りにも似た、叫ぶような肉声のようなテナーの雄叫びは、やはり聴き慣れないと、通常のジャズファンの方々には、辛いものがあると思います。

でも、心配いりません。フリー・ジャズが苦手だからといって、好きじゃ無いからといって、ジャズ者になれない訳ではありません。これはもう好みの問題なんで、フリー・ジャズが苦手だからといって、好きじゃ無いからといって、気にすることはありません(笑)。

このアルバムについては、僕はやはり「One for the Trane Part.2」後半に登場する「いそしぎ」のテーマの出現する瞬間が「たまらない」ですね。しっかりと秩序があって、ジャズの枠内で、限りなく即興な演奏が繰り広げられて来て、ふとバリバリ純ジャズの雰囲気で「いそしぎ」のテーマが、さりげなく演奏される。ジャズ演奏の美しい瞬間です。

基本的にフリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズの類なんで、ジャズ者初心者の方々には、実にとっつきにくいアルバムだとは思いますが、良いアルバムです。フリー・ジャズ入門盤として、お勧めの内容です。ただ本当に「フリー・ジャズ」な内容なので、ジャズ者初心者の方々はくれぐれも注意して、聴き進めて下さい。初めて聴く時はステレオのボリュームは「ほどほど」に・・・(笑)。
 
 
 
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コメント

おはようございます

( ┰_┰)うむ
フリー・ジャズですか・・・

とりあえず ミンガスの直立猿人とドルフィーのアウト・トゥ・ランチ これってフリー・ジャズですかね?

買ったはいいが耳がついていけません

いまひとつ 難しいです

コルトレーンのライブ・アット・バードランドなんかはぎりぎりなんですかね?これは 最近 慣れてきました

アーチー・シェップはブルー・バラードを持っていますが このアルバムは好きな一枚です

雰囲気がブルージィ!渋いですよね

アーチー・シェップのリトルガール・ブルーを聞いたあと エリック・アレキサンダーの同曲を聞き比べをしたのですが なかなか面白いです

では 失礼します

ケンさん、こんばんわ〜(笑)。松和のマスターです。
 
う〜ん、ミンガスの『直立猿人』とドルフィーの『アウト・トゥ・ランチ』は、
ハードバップですね。しっかりとコード、モードで秩序が保たれています。

でも、ハードバップとは言っても、かなり先進的なアルバムです。伝統の枠内
での「尖った」ハードバップとでも表現したら良いでしょうか。コルトレーン
の『ライブ・アット・バードランド』も、僕は伝統の枠内でのかなり「尖った」
ハードバップだと思ってます。
 
最近のアーチー・シェップは聴き易くて良いですね。昔のフリー・ジャズの
旗手だった時代が嘘のようです(笑)。
 
 

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