暑い夏の昼下がりに「ドラムレス」
昨日から夏休みに入った会社も多いのではないでしょうか。メーカーの方々などは、昨日から来週の日曜日まで、会社挙げての夏期休暇のところが多いんでしょうね。私の本業は基本的にサービス業なので、まとまった夏休みはありません。暑い夏に、まとまった夏休みは羨ましいですね。
さて、今年の夏は激しく蒸し暑い。スカッとした夏の青空が広がる訳でも無く、雲が多く、急に夕立が来たりで、天候不順な夏でもあって、蒸し暑いやら、天気もスカッとしないやら、なんだかストレスの多い今年の夏です。蒸し暑さについては、個人的にかなり苦手で、夏は好きなんですが、蒸し暑さには「からきし弱い」。今年のような厳しい蒸し暑さは体に堪えます。
特に、これだけ厳しい蒸し暑さの夏は、ジャズの鑑賞にも影響が出てきます。とにかく、汗が飛び散るような激しく刺激的なジャズは、どうも蒸し暑い夏には合わないですよね。僕にとっては、激しいドラミングは、蒸し暑い夏には合わないです。蒸し暑い夏の昼下がりに、いくらエアコンの効いた部屋の中とはいえ、激しいドラミングはどうもいけない。シンプルな演奏で、しかもドラムレスの演奏にどうしても手が伸びます。
今日は、朝から激しく蒸し暑い。でも、昼下がりになるとジャズが聴きたくなる。ということで、今日は特別に「ドラムレス」のアルバムをチョイスする。今回は、Chet Baker(チェット・ベイカー)の『Mr. B』(写真左)。パーソネルは、Chet Baker (tp) Michel Graillier (p) Ricardo Del Fra (b)。1983年5月、オランダでの録音である。
1973年、麻薬禍からカムバック。カムバック後は、シワシワになったのと引き換えに、別人のようにシンプルにメロディアスに、気持ち良く吹きまくるようになったチェット。そんな、ちょっと柔らかで優しいトーン、流れるようにメロディアスなチェットのペットは、ドラムレス編成の下が「良く映える」。
このアルバムの選曲がなかなか小粋で、よくある企画モノの、誰もが選ぶようなスタンダード曲ではなく、ハービー・ハンコックやチャーリー・ヘイデンなどの楽曲をチョイスした、なかなかに特徴ある1枚となっている。例えば、タイトル曲などは、ハル・ギャルパーがチェットのために書き上げた1曲。ありきたりの企画モノで無いところが、このアルバムの魅力である。
ドラムレス編成の変則トリオ。ドラムレスが故に、柔らかで優しくメロディアスなチェットのペットが実に映える。朗々とソフトに吹き上げていくチェットのペット。冒頭のハービーの名曲「Dolphin Dance」なんて、思わず、しみじみと聴き惚れてしまう。優しいチェットのペットが曲が進むにつれ、しみじみと心に染みて、暑さによりストレスが徐々に解き放たれていく。
晩年にさしかかったチェットのペットも、想像していたより「しっかり」していて、想定外の嬉しさがこみ上げてくる。バックのピアノとベースも大健闘。この『Mr. B』は、意外な隠れ名盤だと思います。蒸し暑い夏にピッタリの「ドラムレス」変則トリオ。エアコンの効いた夏の昼下がりの部屋では、優しいトランペットの音が実に心地良いです。
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