金管楽器アンサンブル「もう一枚」
最近、朝夕は涼しい風が吹いて、ちょっと通勤し易くなった、我が千葉県北西部地方。今週の週間予報を見ていても、予想最高気温も30度を超すことは無く、そこはかとなく「秋の気配」である。
さて、バリサク3本のアンサンブル、ビッグバンド・ベースの優れたアレンジによる「ユニゾン&ハーモニー」を楽しんでいたら、ふと、もう一枚、金管楽器のアンサンブルの優れものを思い出した。Supersaxの『Supersax pleys Bird』(写真左)である。
ジャズ入門用のアルバム紹介本で学生時代からその存在は知っていたのだが、LPが見当たらない。無い無いと思っていたら、CDの時代になった。CDで再発されるのを心待ちにしていたのだが、なかなか再発されない。まあ、当時は、外国盤の発売情報って全く無かったから、日本盤での発売に期待するしかなかったのだが、これがなかなか出ない。
出ない出ないと思っていたら、1999年になって、なんとサンフランシスコのタワレコで、このCDを見つけた。嬉しかったなあ。即ゲットである。アルバム蒐集の醍醐味である(笑)。
Supersaxとは、アルトのMed Floryを中心としたサックス・アンサンブル。ちなみに、この『Supersax pleys Bird』のパーソネルは、Med Flory、Joe Lopez(as) Warne Marsh、Jay Migliori(ts) Jack Nimitz(bs) Ray Triscari、Larry McGuire、Conte Candoli、Ralph Osborne(tp) Charley Loper、Mike Barone、Ernie Tack(tb) Ronnell Bright(p) Buddy Clark(b) Jake Hanna(ds)。しかし、知らん顔ばっかしやなあ。1972年の録音である。
さて、このアルバム、題名のとおり、ビ・バップの創始者の一人、天才アルト・サックス奏者であるチャーリー・パーカー(彼のニックネームは「Bird」である)の演奏を、アドリブ部も含めて譜面に落として、スモールコンボ・ベースのアレンジを施した、なかなかの「アイデアもの」である。
どの曲もチャーリー・パーカーの歴史的名演で有名なものばかり。チャーリー・パーカーの歴史的名演を知らない、ジャズ者初心者の方々でも、ビ・バップの名曲名演は、その疾走感や印象的なフレーズは素晴らしいものばかりなので、純粋にその演奏を楽しむことが出来る。
とにかくアレンジが良い。金管楽器のユニゾン、ハーモニー、アンサンブルが、キラキラ輝かんばかり、はちきれんばかりの迫力で迫ってくる。抑揚強弱も効果的で聴き応え十分。このアルバムはひとえに、アイデアとアレンジの勝利と言えるでしょう。ジャズの楽しさを十分に感じることが出来ます。
最近では、ネット・ショップ経由で、CDの入手が容易になったみたいなので、是非一度聴いて頂きたいアルバムです。ビ・バップの名演を部も含めて譜面に落として、スモールコンボ・ベースのアレンジを施すなんて、ジャズじゃない、という辛口の評論も見受けられ、ちょっと「際物」っぽく思えるんですが、ジャズの「アレンジの妙」を楽しむには、このアルバムみたいな企画物も「あり」なんではないでしょうか。
あまり肩肘張らずに、金管楽器のユニゾン、ハーモニー、アンサンブルが、キラキラ輝かんばかり、はちきれんばかりの迫力を楽しむのも、またジャズ者の楽しみのひとつではないかと思っています。
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