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2009年8月14日 (金曜日)

特集・夏の思い出のアルバム・5

さあ「特集・夏の思い出のアルバム」の五日目。大学2回生の夏である。精神的に調子を崩して、かなり落ち込んでいた大学2回生の夏。それでもバイトはしっかり継続。でも体調は最悪。辛かったなあ。相談する相手も無く、どの医者にかかったら良いかも判らず、一人悶々としていた夏。

それでも、ジャズ者歴1年の「ほやほやワッペン」。しっかりとジャズは聴き進めていた。が、何を聴いていったら良いのか、サッパリ判らず、ジャズ雑誌を読んで、ふ〜んと思ったら即ゲット。ジャズ入門本を読んで、ふ〜んと思ったら即ゲット。でも、資金には限りがあるので、そうふんだんにアルバムを買っていた訳ではない。

当たり外れがあるのは当たり前なんだが、なんだか、ジャズ者を志して最初の1年は、ハズレが多かった。というかジャズ者初心者には荷が重いアルバムばっかり買ってしまった。バド・パウエルは上手いなあとは思ったが「何が凄いの?」と悩んだ。ハービーのモード的アドリブについては捕らえどころが無くて悩み、キースのアメリカン・カルテットの演奏の激しさに疲れ、コルトレーンの『アセンション』を聴いて「はあ〜っ?」と悩んだ。

精神的に調子を崩して体調は最悪。その体調は、どうやって回復させたらいいのか、サッパリ判らず、純ジャズのアルバムは、ジャズ初心者には荷が重いアルバムばかりに当たる。いやはや、振り返ると最悪の大学2回生の夏(笑)。そんな時、ふと目と目が合って、そのアルバム購入を敢行、聴いてみて「あら、ビックリ」。「これは良い、これは凄い、これはいける」と思った。そのアルバムとは、ビル・エバンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』(写真左)。

このアルバムは、素晴らしいと思ったし、何が凄いのかも良く判った。まず、素晴らしいと思ったのは「アレンジ」。「Autumn Leaves(枯葉)」と「Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)」のアレンジは素晴らしいと、聴いて直ぐ思った。
 

Billevans_portrait

 
そして、ハードタッチが素晴らしい「What Is This Thing Called Love?」。このハードタッチは凄い。単に力を入れて鍵盤を叩いているのでは無い。しっかりと鍵盤を押さえながら、ハードなタッチを醸し出す。凄い。

そして、耽美的で静かなタッチが素晴らしい「When I Fall in Love」。でも、良く聴いていると、耽美的で静かなタッチの時も、エバンスはしっかりと鍵盤を押さえている感じ。だから、静かなタッチでもピアノの一音一音がクッキリしているのだ。これって凄くない?

スコット・ラファロ(b)、ポール・モチアン(ds)というメンバーで結成されたビル・エヴァンス・トリオ。ビル・エバンスのピアノとラファロのベース、モチアンのドラムのそれぞれが、有機的に絡み合ったり、前に出たり後ろに回ったり、非常に柔軟でダイナミックなトリオ演奏だということは、1回聴いて判った。それは直感的に思った訳では無く、バド・パウエルのピアノ・トリオと比較して、その違いを理解した。ジャズ者初心者1年目に聴いたバド・パウエルは無駄では無かったのだ。

ジャズの初心者向け入門本に、ビル・エバンスのピアノは、耽美的でリリカル、などと良く書かれているのを見るが、どうしてどうして、ビル・エバンスのピアノは、実はハードタッチである。でも、普通の力を入れて叩くようなハードタッチでは無い、鍵盤をシッカリと押さえるようなハードタッチなのが特徴ですね。鍵盤をシッカリ押さえる感じでピアノをドライブさせるので、力の入れ加減で、音が大きくなったり小さくなったり、とにかく自由自在なのだ。ピアノの性能をフルに活かした演奏と言って良いだろう。

とにかく、このビル・エバンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』は、ジャズ者初心者2年目の僕に、初めて自信を与えてくれた。精神的に調子を崩して体調は最悪。振り返ると、回復する見通しの無い絶望的な状況の中で、このジャズ者初心者2年目の僕に与えてくれた自信は、何故か人生最大のスランプを脱出するきっかけとなった。本当に手に取るようにその良さが判ったんだよな〜、このビル・エバンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』。もちろん、今でも愛聴盤である。
 
 
 
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