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2009年7月13日 (月曜日)

瑞々しいファーストアルバム

最近、ジャズ・ギターをよく聴く。遠い昔、大学に入ってジャズ者になって以来、ジャズ・ギターは、僕の中では、一番プライオリティが低い楽器だった。が、このところ、ジャズ・ギターが面白くて仕方がない。これだけ、個性を競う楽器というのも、なかなか無い。

最近、やっとパット・メセニーに行き着いた。でも、ジャズ者初心者の時、パットだけは、ちょっとだけアルバムをコレクションした。で、パットのアルバムを聴いて、何故か「このジャズ・ギターは、正統派のジャズ・ギターではない。フュージョンが入っている。まず、正統派ジャズ・ギターを聴いてから、パットを聴くべきだ」と思ってしまったんですね。それから暫くパットはお蔵入り。

この5〜6年、ジャズ・ギターを綿々と聴き進めてきた。ビ・バップ時代〜ハード・バップ時代に活躍したギタリスト中心に聴き進めてきて思うのは「ジャズ・ギターは意外と面白い」ということ。ギターって、弾き方、ギターの種類、アタッチメント、などなど、個性を形成する要素が多々あって、他の楽器より、個性のバリエーションが多岐に渡っており、フォロワーというのがあまりいない。いわゆる個性の集まりなのだ。

で、パット・メセニーである。初リーダー作『Bright Size Life』(写真左)を聴く。1975年12月の作品。パーソネルは、Pat Metheny (el-g), Jaco Pastorius (el-b), Bob Moses (ds)。なんと、あの伝説のエレクトリック・ベーシスト、ジャコ・パストリアスが参加しているのだ。

全編、実に瑞々しい音の詰まった、素晴らしい内容のアルバムである。パット・メセニーのギターの個性は、既にこのリーダー作で、ほぼ完成されている。冒頭の「Bright Size Life」の最初のギター・フレーズを聴いただけで、パットだと判る、その強烈な個性。
 

Bright_size_life

 
音的には、ビ・バップ時代〜ハード・バップ時代に活躍したギタリスト達の「正統派ジャズ・ギター」の雰囲気とは一線を画した、いわゆる「ニューエイジのジャズ・ギター」。ジョン・アバークロンビー、ジョン・スコフィールド、ビル・フリゼールなどと並んで、1970年代に台頭してきた、新しい世代のジャズ・ギタリスト共通の音がする。

エコーを、やや深くかけて、アタッチメントを効果的に活用した、シンセサイザーの様な、中性的というか、広がりのある「コズミックな音」。それでいて、翳りのある、ウェットな音で、ジャジーな雰囲気をしっかりと醸し出す。パットの場合は、加えて、ネイチャーな音の広がりとフォーキーな素朴さが、彼独特の個性を形作る。この『Bright Size Life』には、パットの個性がギッシリと詰まっている。

しかも、ジャコとの絡みが凄い。パットが旋律を弾き進める。ジャコは、ベースラインをなぞってビートを供給することはしない。パットの旋律に絡むように、時にはユニゾン、時にはハーモニー、時には、パットの音の隙間を埋めるように、時には、パットの音に寄り添うように、フリー・ジャズの様にエレベを弾き進める。

それでいて、パットの音とぶつかることはなく、パットの音と重なることなく、パットの音をしっかりと引き立たせている。そして、ベースとしての基本的使命、ビートの供給を旋律の流れの中で実現する。これって凄い。これぞ天才の成せる技である。聴けば聴くほど、ジャコの天才的なベースラインと超絶技巧なテクニックに唖然とする。

ボブ・モーゼスのドラムが、ちょっと単調、かつイマージネーション不足で、イマイチなのが玉に瑕ですが、パットとジャコを向こうに回して、健闘はしています。このアルバムで気になると言えば、モーゼスのドラミングですが、平均点は十分キープしていると思います。そのマイナス面を埋めて余りある、パットとジャコの掛け合い、コラボです。

実に「瑞々しい」ファーストアルバムです。もっと広く勧められても良い名盤だと思います。意外と、パットの代表的アルバムとして、ジャズ初心者向けのアルバムとして、採り上げられることが少ないんですよね。意外です。僕は、ジャズ者初心者の方々にお勧めしたいですね。1975年の録音とはいえ、新しさはまだまだ感じることができます。良いアルバムです。
 
 
 
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