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2009年7月12日 (日曜日)

ミンガスを克服するコツ・3

チャールズ・ミンガスを克服するコツの「第3弾」である。第1弾、第2弾(7月5日のブログ6月17日のブログ)と直接チャールズ・ミンガスのリーダー作を避けながら、ミンガス・ジャズの特徴に触れるアプローチをとった。で、いよいよ、第3弾にして、チャールズ・ミンガスのリーダー作に触れることになる。

チャールズ・ミンガスという人は、初リーダー作の『Pithecanthropus Erectus』(1956年)から、遺作となった『Something Like A Bird』(1978年)まで、彼のキャリアの中で、ベーシストとしての演奏内容は超一流のテクニックを誇り、アレンジャー&コンポーザーの才は、常にピークを保っていたと思う。多少の出来不出来の差はあるが、それは平均点が高いところでの「出来不出来」で、とにかく、ミンガスのリーダー作に駄作は無い。

よって、どれを選んで聴いても良いんだけれど、やはり、ミンガスのリーダー作入門としては、比較的耳あたりの良い、聴いていて楽しい、聴き心地の良いものが良いだろう。無骨で男気満載のミンガス・ミュージックにそんな都合の良いアルバムがあるのか、という声が聞こえてきますが、これがあるんですよ。

1976年リリースの『Cumbia & Jazz Fusion』(写真左)。LP時代のA面を全て占める名演「Cumbia & Jazz Fusion」、B面の全てを占める名曲「Music For "Todo Modo"」。共に、収録時間20分を超える大作を収録する、ミンガス晩年の傑作である。

"Cumbia(クンビア)"とは、カリブ船沿岸の黒人たちが多く住みついた漁村を中心に広がった、南米の北端に位置するコロンビアを代表する音楽のこと。アフリカっぽく、のどかな音楽です。その"Cumbia"的な演奏が、「Cumbia & Jazz Fusion」の冒頭、鳥の鳴き声のSEをバックに、笛と太鼓で奏でられます。そして、しばらく長閑な"Cumbia"的な演奏が続き、突如、ジャズ・オーケストラな演奏がブワーっと始まります。この部分、ダイナミックで良い展開です。

Cumbia_jazz_fusion

ミンガス・ミュージックの真骨頂は、ジャズの歴史的な演奏方法、演奏トレンドの全てが詰まっていて、それが違和感なくミックスされ、展開されていくことでしょう。基本はハード・バップなんですが、ビ・バップあり、モードあり、フリーあり、ファンキーあり、不協和音から協調和音、オーケストラな演奏からコンボ演奏まで、それこそジャズの歴史的奏法、歴史的トレンドを詰め込んだ、めくるめく「ジャズ絵巻」的な演奏が素晴らしい。

この「Cumbia & Jazz Fusion」は、収録時間28分ちょっと。その28分の演奏は、めくるめく「ジャズ絵巻」そのもの。クンビアの長閑でホンワカした演奏から、ハードなジャズ・オーケストラまで、素晴らしい展開が体験できる優れものです。全体的にスピード感のある、非常に優れたジャズ・オーケストラだと思います。ミンガス的な、ちょっと捻った、ちょっとダークな「黒さ」は、この演奏では影を潜めているので、非常に聴きやすいミンガス・ミュージックになっています。

2曲目の「Music For "Todo Modo"」は、トランペットやサックスのフロント楽器による映画音楽的なロマンティックなテーマ演奏から入ります。それが5分ほど経つと、ちょっと捻りの入ったフリーキーな演奏に早変わり。ややアブストラクトな演奏なんですが、そのフリーな度合いが優しいレベルで、聴きやすい「アブストラクトさ」ですので、怯まないで聴き進めて下さい。再び、映画音楽的なロマンティックなテーマ演奏に戻り、次にやって来るのは、正統派ハード・バップな演奏。ミンガスの太いベースが炸裂しています。

大作2曲なんですが、全く飽きません。ミンガスの「アレンジャー&コンポーザー」としての最高作の一枚でしょう。曲の構成、演奏内容、どれをとっても素晴らしい。そして、何より「聴きやすいミンガス」がここにあります。ジャズ者初心者の方のミンガス入門に最適なリーダー作として大推薦です。

この『Cumbia & Jazz Fusion』、なかなかCD化されなくて、1990年代半ばには、米国RhinoにてCD化されたのですが、日本では入手困難で、なんとかして、手に入れたいCDのひとつでした。1999年の秋に、米国西海岸に出張した折に、サンフランシスコのタワレコで、この『Cumbia & Jazz Fusion』のCDを見つけた時は嬉しかったですね〜。即ゲットして、喜び勇んで日本に持ち帰ったのを思い出しました(笑)。
 
 
 
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