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2009年6月 8日 (月曜日)

Prestige時代のモンクはねえ・・・

プレスティッジ(Prestige)というレーベルとは、プロデューサーのボブ・ワインストックによって設立されたジャズ・レーベルなんだが、適当に優秀なミュージシャンを集めて、ほとんどリハーサル無し、いきなり録音して終わり、ジャケット・デザインは適当という、アルフレッド・ライオン率いるブルーノートとは対極のレーベルだった。

適当に優秀なミュージシャンを集めて、ほとんどリハーサル無し、いきなり録音するので、ハプニング的に素晴らしい演奏が記録されることもあれば、不発に終わる凡作も多々ある、という玉石混淆な作品群は、ジャズという偶然性を重んじる音楽ジャンルからすると、面白いといえば面白い。でも、セロニアス・モンクにとっては、ちょっと厳しいレーベルだったようだ。

セロニアス・モンクの音楽は、ご存じの通り、その独特のハーモニーと和音の重ね方、独特のタイム感覚と間の取り方、その独特の旋律と癖のある展開で、ジャズの歴史の中で、ピアニストとしても作曲家としても、唯一無二、フォロワーのいない、孤高のミュージシャンである。

その強烈な個性、その強烈な個性を前提とした曲作りゆえ、彼の作曲した曲を演奏し、アドリブするのは至難の業である。ジャズ・スタンダードにしても、彼独特のハーモニーと和音の重ね方、独特のタイム感覚と間の取り方を前提としたスタンダード演奏は、どう相対して良いのか、よほどタイム感覚と和音感覚が優れていないと、モンクとは共演できない。つまり、セロニアス・モンクと共演するには、彼の自作曲を彼と演奏するには、要は「綿密な打合せとリハーサル」が必要なのだ。

そのことを切実に感じるアルバムが、プレスティッジ・レーベルからリリースされている。1954年10月25日録音、1954年9月22日、1953年11月13日の3つのセッションから構成された『Thelonious Monk & Sonny Rollins』(写真左)である。
 

Thelonious_monk_sonny_rollins

 
テナー・タイタン、ソニー・ロリンズとセロニアス・モンクの共演。さぞかし、素晴らしいコラボになるだろうと想像される方もあるだろうが、冷静に考えると、ちょっと疑問符が並ぶ。
 
ジャズの正統派、卓越した歌心とテクニックで、コードを中心に正統に吹きまくるロリンズと、唯一無二、フォロワーのいない、孤高のミュージシャンであるモンク。このロリンズとモンクの組合せで思い浮かぶ言葉は「水と油」。

「水と油」とは言え、そこは、ジャズの歴史の中で、偉大なジャズ・ジャイアントの二人、ロリンズとモンクである。綿密に打合せをし、リハーサルを積み重ねれば、そこは天才の二人、素晴らしいコラボが現出したに違いない。天才同士とはそういうものだ。双方、理解し合えば、その相乗効果で、その素晴らしさが2倍にも3倍にもなる。

が、このアルバムの悲劇は、適当に優秀なミュージシャンを集めて、ほとんどリハーサル無し、いきなり録音して終わり、というプレスティッジで録音されたという事実である。

相乗効果どころか、ロリンズはロリンズのままで終始吹き切り、モンクはモンクのままで弾き切る。ただそれだけのアルバムになってしまった。逆に、モンクのピアノが、ロリンズを立ててか、ロリンズに合わせてか、ちょっと普通の弾き方に傾いているのが、面白いと言えば面白いが、それは本質を外れた楽しみ方だろう。

モンクの音楽は、彼の自作曲を彼と演奏するには、要は「綿密な打合せとリハーサル」が必要なのだ。そういう意味では、プレスティッジ時代のモンクは不遇だった。モンクの真価が発揮されるのは、その後、リバーサイド・レーベルに移籍してからである。
 
 
 
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