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2009年6月17日 (水曜日)

ミンガスを克服するコツ

昨日、一昨日の続いた「里帰り」の感傷的な話題は、ちょっと横に置いておいて、今日はジャズに話題を戻そう。

さて、ジャズの入門書、雑誌のジャズ初心者向けのガイドを読んでいて、初心者向けの推薦盤とはいえ、どう考えても「これは初心者には辛いやろ〜」と思われるアルバムが、何時の時代も、我がもの顔で載っているのが不思議である。

その一つが「チャールズ・ミンガス」。ジャズ・ジャイアントの一人。本業はベーシスト。しかしながら、コンポーザーとしての才、バンドリーダーとしての統率力に秀でている。時にピアニストになったりもする。しかし、このミンガスの音楽は、とにかく、その個性が「濃い」。濃すぎるくらい「濃い」。

この個性の「濃さ」が、ジャズ者初心者としては、必ず重荷になる。ジャズ入門書で、ジャズ者初心者向けに、必ずと言って良いほど、無責任に紹介される『直立猿人』などは、その最たるもの。確かに素晴らしいグループサウンドである。でも、ジャズ者初心者にとっては、何が素晴らしいのか判らず、その強烈な個性的な演奏と展開、ややもすればフリーキーな音にビックリして、ミンガスから距離を置いてしまう。

僕もそうだった。初めて『直立猿人』を聴いた時、このややもすればフリーキーな演奏に「やられた」。直立猿人の歩行を模したような演奏や、霧深き日の道路の車のクラクションを模した演奏は、ちょっと面白いと思ったが、アルバム全体の演奏を聴いて「何が凄いんや?」と思ってしまい、自らのジャズ者としての才能に疑いを持って、ドップリと落ち込んだのを覚えている(笑)。

Chair_in_the_sky

とにかく、ミンガスは「濃い」。どのアルバムを聴いても「濃い」。それでは、ジャズ者初心者は、ミンガスの凄さを体験せずに過ごしていくのか。それは、実に勿体ない話である。それでは、ミンガスを克服するコツを一つ・・・(オホン・笑)。

ベースの巨人チャールス・ミンガスが亡くなった一時期、ミンガス亡き後、未亡人の求めでミンガス門下生による「ミンガス・ダイナスティ」という追悼バンドが編成された。固定メンバーでは無く、メンバーは流動的だったが、この「ミンガス・ダイナスティ」を通じて、ミンガスの音楽の雰囲気を掴んで、慣れるのが、ミンガスを克服するコツである、と僕は思っている。

このミンガス・ダイナスティのアルバムの中で、僕が一番良く聴くアルバムが『Chair In The Sky』(写真左)。パーソネルは、John Handy (as), Jimmy Knepper (tb), Jimmy Owens (tp), Joe Farrell (ts) Don Pullen (p), Charlie Haden (b), Dannie Richmond (ds)。1979年7月10日の録音。

チャーリー・ヘイデンがミンガスの代役をしているような、ミンガス・バンド最晩年のメンバーで編成されているところが魅力。ピアノのドン・プレーンがダイナミックに弾きまくる。打楽器みたいなカンカンカンとピアノが響く。カリカリと音がするような硬質なピアノ。でも、歌心は忘れない。ドン・プレーンのベスト・プレイのひとつではないか。そして、ミンガスのペンなる有名曲「Goodbye Porkpie Hat」のジミー・ネッパーのアレンジの秀逸さ。

この「ミンガス・ダイナスティ」の音は、ミンガスの「濃い」世界を、ちょっと洗練してスリムにして、演奏の展開を判りやすくした、聴きやすい「ミンガス・ミュージック」のサンプルである。ミンガスの音世界、音精神はしっかりと踏襲されているところが素晴らしい。収録された全ての曲で、ミンガスの雰囲気、ミンガスの個性を感じることができる。

ジャズ者初心者として、ミンガス入門として格好のアルバムだと思います。このアルバムでミンガスの音世界の雰囲気を掴んで、これは良い、と思ったら、一気にミンガス・ワールドに突っ込んで行って欲しいと思います。では、次に突っ込んでいったら良いミンガスはというと・・・。それはまた後日(笑)。
 
 
 
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コメント

私はこのLPでJ・ネッパーとD・ピューレンが好きになり、一時期聴きあさりました。
ミンガスの入門としては、本当にいいかもしれませんね。は持っていないんですがね・・・欲しい~!

こんばんわ、N1号さん。松和のマスターです。

はい、私もそうでした。J・ネッパーとD・ピューレンを初めて知り、
お気に入りミュージシャンの仲間入りをしました。

この『Chair In The Sky』は、CDではなかなか手に入りにくいですが、
ダウンロードサイトには、結構安価な価格で並んでいます。私も、
iTunes Store からのダウンロートが最初でした。
 
 

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