コール・アンド・レスポンス
コール・アンド・レスポンス(call and response)。米国の黒人音楽、特に教会音楽、ゴスペルで活用される歌唱法。ソロ・パートの人が歌った部分をその他のメンバーや観客が繰り返し歌う事。
ジャズにおいても、ファンキー・ジャズのジャンルで、歌唱を楽器に置き換えて使われることが多い。恐らく一番有名なのが、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースの「Moanin'」の出だしで、タッタタタララタッタ〜、タ〜タ。ボビー・ティモンズのピアノのメロディーに、トランペットとサックスが応答する。ジャズでの一番有名な「コール・アンド・レスポンス」。
でも、この「コール・アンド・レスポンス」も、負けずに有名である。ナット・アダレイの「Work Song」。同名のアルバム『Work Song』(写真左)の一曲目。タッタラ〜ラタッタラタ〜ラ、タッタラ〜ラタッタラタ〜ラ。ナット・アダレイのコルネットに、ギターとベースが応答する。
このコール・アンド・レスポンスって、ほんと、ジャズっぽいんだよな。ゴスペルっぽくて、ほんとファンキー。このコール・アンド・レスポンスが病みつきになって、ファンキー・ジャズが大好きになる。そして、このコール・アンド・レスポンスのフレーズが自然と口をついて出てくるようになる。
「Moanin'」が日本で流行った頃、そば屋の出前が口ずさんだというが、それも十分納得出来る。本当に口ずさみやすいフレーズなんですよね。「コール・アンド・レスポンス」のフレーズって。
良い感じなんですよね〜。黒人音楽、教会音楽ならではの響き。コール・アンド・レスポンスには、黒人の苦難の歴史が隠されているんで、諸手を挙げて「良い感じやな〜、ファンキーやな〜」なんて楽しめないんだけれど、クラシックなどヨーロッパ音楽に無い、米国黒人音楽ならではの歌唱&演奏手法として、十分に優れているものだと思います。
さて、ナット・アダレイの『Work Song』というアルバム、演奏の全体的な出来としては、意外と、この当時売れに売れた「Work Song」は、ちょっと雑なところがあるのですが、アルバムを聴き進めていくうちに、演奏内容の質が上がっていって、5曲目の「Fallout」では、火の出るようなナットのコルネットが格好良く、8曲目の「Violets for Your Furs」などは、実に美しく柔らかなナットのコルネットに癒されます。
1曲目の「Work Song」から3曲目の「I've Got a Crush on You」までは、ナットのコルネットもミストーンがちょくちょく顔を出し、グループ演奏全体のバランスもイマイチなので、3曲目まで聴いて「このアルバムはちょっとねえ」と諦めてはいけません。4曲目以降に、このアルバムの真価が感じ取れます。演奏の質としては4曲目まで我慢、我慢。
でも、演奏を聴いて楽しいのは、圧倒的に、冒頭の「Work Song」。聴き始めて直ぐに、自然と足でリズムを取り始め、ハンド・クラッピングが入って「ファンキー・ジャズ、ここに極まる」。ジャズの「ノリ」という面では、この「コール・アンド・レスポンス」は無敵である。
そうそう、明日から2泊3日で旅に出ます。明日、明後日のブログはお休みしますので、よろしくお願いします。また月曜日の夜にお会いしましょう。
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