« 実はジャズ者ベテラン御用達 | トップページ | 黄昏時のクラプトン »

2009年6月12日 (金曜日)

コール・アンド・レスポンス

コール・アンド・レスポンス(call and response)。米国の黒人音楽、特に教会音楽、ゴスペルで活用される歌唱法。ソロ・パートの人が歌った部分をその他のメンバーや観客が繰り返し歌う事。

ジャズにおいても、ファンキー・ジャズのジャンルで、歌唱を楽器に置き換えて使われることが多い。恐らく一番有名なのが、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースの「Moanin'」の出だしで、タッタタタララタッタ〜、タ〜タ。ボビー・ティモンズのピアノのメロディーに、トランペットとサックスが応答する。ジャズでの一番有名な「コール・アンド・レスポンス」。

でも、この「コール・アンド・レスポンス」も、負けずに有名である。ナット・アダレイの「Work Song」。同名のアルバム『Work Song』(写真左)の一曲目。タッタラ〜ラタッタラタ〜ラ、タッタラ〜ラタッタラタ〜ラ。ナット・アダレイのコルネットに、ギターとベースが応答する。

このコール・アンド・レスポンスって、ほんと、ジャズっぽいんだよな。ゴスペルっぽくて、ほんとファンキー。このコール・アンド・レスポンスが病みつきになって、ファンキー・ジャズが大好きになる。そして、このコール・アンド・レスポンスのフレーズが自然と口をついて出てくるようになる。

「Moanin'」が日本で流行った頃、そば屋の出前が口ずさんだというが、それも十分納得出来る。本当に口ずさみやすいフレーズなんですよね。「コール・アンド・レスポンス」のフレーズって。
 

Work_song

 
良い感じなんですよね〜。黒人音楽、教会音楽ならではの響き。コール・アンド・レスポンスには、黒人の苦難の歴史が隠されているんで、諸手を挙げて「良い感じやな〜、ファンキーやな〜」なんて楽しめないんだけれど、クラシックなどヨーロッパ音楽に無い、米国黒人音楽ならではの歌唱&演奏手法として、十分に優れているものだと思います。

さて、ナット・アダレイの『Work Song』というアルバム、演奏の全体的な出来としては、意外と、この当時売れに売れた「Work Song」は、ちょっと雑なところがあるのですが、アルバムを聴き進めていくうちに、演奏内容の質が上がっていって、5曲目の「Fallout」では、火の出るようなナットのコルネットが格好良く、8曲目の「Violets for Your Furs」などは、実に美しく柔らかなナットのコルネットに癒されます。

1曲目の「Work Song」から3曲目の「I've Got a Crush on You」までは、ナットのコルネットもミストーンがちょくちょく顔を出し、グループ演奏全体のバランスもイマイチなので、3曲目まで聴いて「このアルバムはちょっとねえ」と諦めてはいけません。4曲目以降に、このアルバムの真価が感じ取れます。演奏の質としては4曲目まで我慢、我慢。

でも、演奏を聴いて楽しいのは、圧倒的に、冒頭の「Work Song」。聴き始めて直ぐに、自然と足でリズムを取り始め、ハンド・クラッピングが入って「ファンキー・ジャズ、ここに極まる」。ジャズの「ノリ」という面では、この「コール・アンド・レスポンス」は無敵である。

そうそう、明日から2泊3日で旅に出ます。明日、明後日のブログはお休みしますので、よろしくお願いします。また月曜日の夜にお会いしましょう。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 

« 実はジャズ者ベテラン御用達 | トップページ | 黄昏時のクラプトン »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コール・アンド・レスポンス:

« 実はジャズ者ベテラン御用達 | トップページ | 黄昏時のクラプトン »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー