ポップなボブ・ジェームス
渾身のアレンジと自作曲、そして、それを演奏し尽くす煌めくメンバー達の数々。ボブ・ジェームスのファースト、セカンドは素晴らしい出来だった。LPでいうB面の1曲目にクラシックの名曲を実に秀逸なアレンジで聴かせるところは、どちらも同じ。このファーストとセカンドは、兄弟アルバムみたいなもの。
さて、続く3枚目のリーダーアルバム『Bob James Three』(写真左)。1976年の作品。このアルバムだけ、スティーブ・ガットではなく、ハービーメイソンの起用。ビートの雰囲気が違うのはそのせいだろう。ファンキーでポップ。この『Bob James Three』では、ファンキーでポップなボブ・ジェームスが聴ける。
特に、象徴的な曲が、3曲目の「Weschester Lady」。ファンキーな雰囲気が満載。ボブ・ジェームスのアレンジ&プロデュースの「引き出しの多彩さ」を、いやというほど実感できる名演である。とにかく、ストリングスのアレンジが素晴らしく、実にお洒落である。ボブ・ジェームスの十八番であるフェンダー・ローズもファンキーでポップ。これぞ、フュージョン。これぞ、良いフュージョンである。
冒頭の「One Mint Julep」も、ブラスの重ね方も響きも、徹頭徹尾に「ファンキー」。続く2曲目の「Women Of Ireland」は、幽玄なフルートの出だしが実に印象的で、カリプソ的なカリビアンなフェンダー・ローズの響きが凄く心地良い。そして、エリック・ゲイルのソロ。必殺の「泣きのフレーズ」が炸裂する。
ファースト、セカンドは良く紹介されるが、意外と地味な存在の『Bob James Three』。でも、その内容は、ファースト、セカンドとは違った、ファンキーでポップなボブ・ジェームスが聴けて、これはこれで、素晴らしい出来だと思います。
最初聴くと、ファンキーでポップな雰囲気とストリングスの多様が、ちょっと俗っぽく感じて、若干の「戸惑い」を感じることもありますが、聴き進めるうちに、ボブ・ジェームスの優れたアレンジとプロデュースに、ドップリ浸りきっている、そんなアルバムです。
今の耳で聴いても、決して古く聴こえない。ボブ・ジェームスのアレンジとプロデュースの「能力の高さ」と「センスの良さ」が実感できる、隠れたボブ・ジェームスの秀作だと思います。今でも時々引っ張り出してきては聴く、お気に入りの一枚でもあります。
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