セロニアス・モンクを感じるには
プレスティッジ時代のモンクは不遇だと書いた。適当に優れたメンバーを集めてのジャム・セッション形式の録音方式は、モンクには合わない。それだけ、モンクの音楽は、その個性が強すぎると言って良いと思う。
そんな強烈すぎる個性を感じるには、やはり、リバーサイドの諸作が良い。そんなリバーサイドの諸作の中で、セロニアス・モンクの個性を十分過ぎるほど感じる事ができるアルバムが『Brilliant Corners』(写真左)。これは強烈である。
Ernie Henry (as), Sonny Rollins (ts), Thelonious Monk (p), Oscar Pettiford (b), Max Roach (ds)を核としたパーソネル。「Bemsha Swing」だけ、Clark Terry (tp)が追加加入し、ベースがPaul Chambers に変わる。
振り返ってパーソネルを見渡してみると、なかなか考えられた人選である。モンクの音楽を素早く理解し、モンクの個性を前に立てながら、バックでしっかりとモンクの音楽を支える。そんな、実に微妙で良く考えられたパーソネルである。
冒頭の「Brilliant Corners」の出だしのモンクのピアノを聴くだけで、否が応でも、モンクの個性を感じることができる。というか、協調和音中心のクラシック音楽に慣れた耳で聴くと、これは絶対に変だ、おかしいと思うに違いない。
しかし、聴き進めるうちに、モンクの不協和音的なピアノのフレーズに、何か規則的なものを感じて、これは面白い、これはユニーク、これはいける、と思ったら、もう「病みつき」である。
どうして、こういうユニークで奇妙な、それでいて、複雑な幾何学模様のように規則めいていて、ドライブ感のある、ハンマー打法のようなピアノになるのか。いや〜、本当に強烈な個性である。モンクのピアノは、これは面白いと思ったら「病みつき」になって填っていく。でも、これは駄目、と思ったら、とことん駄目になる。
そういう意味では、この『Brilliant Corners』というアルバムは、ジャズ初心者の方々には、モンクの個性が強すぎると思う。それほど、このアルバムは、モンクの強すぎる個性が炸裂している。2曲目「 Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are」以降、ラストの「Bemsha Swing」まで、モンクの個性が炸裂しまくり。
しかし、冷静になって考えてみると、この『Brilliant Corners』って凄いアルバムである。おそらく、モンクの諸作の中で、一番、モンクの個性が溢れている、というかモンクの個性の「洪水」である。モンク好きには堪らないアルバムである。しかし、モンク嫌いにとっては、こんなに苦手なアルバムもないだろう。超名盤とはそういうものである。
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