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2009年6月23日 (火曜日)

フェイセズ『馬の耳に念仏』

ロック・バンドにおける専任ボーカリストのポジションって難しいものだと思う。専任のボーカリストは、基本的に楽器が出来ない、又は上手くない。だから、専任ボーカリストって、歌うしか無い訳。

逆にギタリストって、歌が基本的に上手くない。クラプトンだって、声が渋くて雰囲気で聴かせるが、歌が上手いって訳じゃ無い。ジェフ・ベックはハッキリ言って歌が下手。ジミー・ペイジなんて、賢くて、はなっから歌わない(笑)。

だから、バンドの中で専任ボーカリストのポジションが維持される訳なんだが、このフェイセズの『A Nod Is as Good as a Wink...to a Blind Horse(邦題:馬の耳に念仏)』(写真左)を聴く度に、専任ボーカリストのポジションを思って、複雑な気持ちになる。

当時、フェイセズの専任ボーカリストであるロッド・スチュワートは、ソロ活動でも成功を収めていた。ロッドの基本はR&B。フェイセズの基本はR&R。どうしても、ロッドと他のメンバーとは音楽性が相容れないところがある。

加えて、ギターのロン・ウッドは、ソロとしてもやっていける力量の持ち主だったし、他のバンドからも参加を熱望される、ギタリストとしても一流で(最後には、ローリンス・ストーンズのギタリストになった)、別にフェイセズにいなくても良かった。
 
でも、ロッドもロンも、このフェイセズの気心知れたバンドとしての演奏やライブが好きだったんだろうな。ファースト、セカンドと、ロッドと他のメンバーと は音楽性が相容れないところが壁となって、アルバムとしては、ちょっとイマイチの内容だったんだが、意外とロッドもロンも、このフェイセズにこだわった。
 

Feces_hourse

 
で、ロッドの音楽性と専任ボーカリストのポジションを、一歩引いた形で譲ったら、フェイセズとしての最高作が出来上がった。それが『馬の耳に念仏』だと僕は感じている。

でも、ロッドも一歩引いたとは言っても、バックコーラスも楽しくつけているし、わだかまりは感じられない。ロッドのR&B色をちょっと譲ったお陰で、フェイセズ独特のR&Rが、このアルバムで展開されている。R&R志向のロンのギターも活き活きとしているし、バックのダルさも良い方向に作用している。でも、やはり、ロッド以外のボーカルは弱い。

ロッドとしては複雑だっただろう。自分が引いて譲って、フェイセズの個性が形成されて、フェイセズの最高作が出来たにも関わらず、自分以外のボーカルに弱点が残っているのだから。ここに、フェイセズの限界があったと思う。バンドは楽しいだけでは維持できない。

それでも、1970前半の、英国R&R志向のバンドとして、そのアルバムとして、屈指の出来のアルバムだと思います。グループサウンドとしてのフェイセズを愛でるには、このアルバムが一番、というか、このアルバムしか無いでしょう。

でも、ロッドの専任ボーカリストのポジションは、ここには無い。ロッドは、フェイセズに見切りを付けて、ソロ活動に専心していく。ロンも同じ。フェイセズはこの『馬の耳に念仏』をピークに解散の道を辿ることになる。
 
 
 
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