これはiPhoneじゃ駄目・・・
会社の往き帰りは、アルバム鑑賞の貴重な時間である。駅へ歩きがてら、駅で始発を待ちながら、電車の中で本を読みながら、ず〜っとiPhoneで音楽を聴いているんだが、これがアルバム鑑賞として、実に貴重な時間である。
iPhone、iPodは意外と音が良い。オーディオ的に細かく言うときりがないんだが、まずまず鑑賞に耐えうる音だと思っている。ジャズのアルバムは、特にアコースティックの場合は、楽器の音の微妙なニュアンスや生楽器ならではの響きが重要なんだが、意外とこれをなかなか頑張って再生してくれる。
そんな会社の往き帰り「音楽鑑賞」で、結構、アルバムをこなしているんだが、さすがに、これはiPhoneじゃ駄目、ってアルバムも多々ある。アコースティック系ジャズで、ソロ、デュオ編成の繊細なニュアンスが「命」のアルバムは、iPhoneじゃ全く駄目。楽器で言うと、ベースやギターの繊細な演奏は、iPhoneじゃ全く駄目。
最近、iPhoneにアップして、会社の往き帰りで聴こうと思って「こりゃ駄目だ」と思ったアルバムが、Jim Hall & Ron Carter『Alone Together』(写真左)。ジャズ・ギターとベースの変則デュオ。弦楽器同士のデュオは「異色中の異色」。
ジム・ホールとロン・カーターのデュオは、1970年、NYのクラブ「ザ・ギター」の出演から始まる。このクラブに出演中に Milestoneよりライブ録音の打診があり、出演中の「ザ・ギター」が手狭であった為、「プレイボーイ・クラブ」でのライブ録音となったらしい。
言うまでもなく、ジム・ホールもロン・カーターも、双方、実績豊富、テクニック秀逸なジャズ職人的なミュージシャンである。ギターもベースも生楽器だからこその、微妙な音のニュアンスが思う存分聴けます。絡むが如く、せめぎ合うが如く、歌うが如く、和気あいあい、それでいてシビアな技術の交換が、聴いていて楽しいし、ワクワクする。
丁々発止と繰り広げられる「技術の交換」。その卓越した技術に裏付けられた「歌ごころ」。やっぱり、スタンダード系の曲が映えます。ギターもベースも弦楽器。旋律を奏でるには、ちょっと線の細い楽器なので、キャッチャーで判りやすいメロディーを持つ、スタンダード系の曲の方が判りやすいですね。
収録された音の方も、1970年代前半、しかもジャズ・クラブでのライブという録音条件を考えると、ジム・ホールの透明感溢れるギター、ボヨンとしたロン・カーターのベースの低音、共に、なかなか良く再現されている。やはり、このアルバムは、自宅のメイン・ステレオでじっくりと聴かなければ、その真価が実感できない、繊細なニュアンスが「命」のアルバムの一枚である。
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