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2009年6月19日 (金曜日)

お洒落で粋な『Bags Meets Wes』

ファンキー・ジャズにも色々ある。コッテコテの「どファンキー」もあれば、そこはかとなく香る「お洒落なファンキー」もある。とにかく、ファンキー・ジャズは聴いていて、居抜きで楽しい。

このファンキー・ジャズは「洒落たファンキー」。それも、とびきり「お洒落で粋な」ファンキー・ジャズである。そのアルバムは『Bags Meets Wes』。1961年12月の録音。パーソネルは、Milt Jackson(vib) Wes Montgomery(g) Wynton Kelly(p) Sam Jones(b) Philly Joe Jones(ds)。アルバム・タイトルの「Bags」とは、ヴァイブのミルト・ジャクソンの愛称。「Wes」とは、もちろん、ギターのウエス・モンゴメリーのこと。

冒頭の「S.K.J.」。ミルトとウエスの、ブルージーで疾走感のあるユニゾンのテーマ演奏を聴くだけで、このアルバムの内容が約束されたようなもの。絵に描いたような「ファンキー」。ファンキー・ジャズって、テーマ演奏がキャッチャーで格好良い演奏が多い。この「S.K.J.」も例外では無い。ミディアム・テンポのブルージーなブルース。とにかく、ミルトとウエスが格好良い。

バラードの「Stairway to the Stars」などは、思わず溜息が出るほど美しい。そこはかと底に漂う、芳しきファンキーな香り。ウエスの情感溢れるソロ、ファンキーっぽさをグッと押さえた、インテリジェンス溢れる、輝くようなミルトのヴァイブ。
 

Bags_meets_wes

 
全編に渡って、ウエスのギターは凄い。音が太い。そして、驚異のオクターブ奏法。加えて、息をのむような疾走感。音が太い分だけ、ウエスのギターはフレーズをクッキリと浮き立たせる。オクターブ奏法は、ゴスペルのような、ファンキーで印象的なコーラスを供給する。様々な表情を見せる、変幻自在なウエスのギター。

変幻自在で色彩豊かなウエスのギターと対象的なミルトのヴァイブ。単音でコロコロと転がる様な、それでいてメリハリの効いたヴァイブが印象的。ウエスのギターがファンキーな分、ミルトのヴァイブはソロの時より、ファンキーさを押さえている。このグッと押さえたファンキーさが実に良いのだ。

Wynton Kelly(p) Sam Jones(b) Philly Joe Jones(ds)のピアノ・トリオが、これまた、ウエスとミルトの「洒落たファンキーさ」を引き立てる。ウィントン・ケリーの翳りを持った健康優良児的なピアノが、実に良いアシストとなっている。

収録されたどの曲も出来が良い。CDになって、別テイクも収録されていて、同じ曲を2度聴くはめになるものもあるが、全く気にならない。追加収録された別テイクの出来も良いのだ。本テイクと比べても遜色ない良い出来だ。こういう別テイクの追加収録なら、まあ許されるかな(笑)。

良いアルバムです。ジャズ者初心者の方にも、これはお勧め。ファンキー・ジャズって、キャッチャーで聴き易くて格好良い。この『Bags Meets Wes』も例に漏れず、キャッチャーで聴き易くて格好良い。長年聴き続けていて、もう永遠の愛聴盤の一枚です。
 
 
 
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