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2009年5月18日 (月曜日)

トミー・タレンタインって・・・

ジャズを長年聴いていると、歴史を変えた訳では無い、ジャズの有名バーチュオーゾに名前を連ねている訳でも無い、一発屋として、いきなり一枚だけ「歴史に残る名盤」を残した訳でも無い。

そんな中で、なんだか、その時代のトレンドにも乗らず、独特の道を選んで、それを具現化した「個性的な」ミュージシャン達がいる。その一人が、トミー・タレンタイン(Tommy Turrentine )。ファンキー&叙情派テナー・サックス奏者、スタンリー・タレンタインの兄。

そのトミー・タレンタインの唯一のリーダー作『TOMMY TURRENTINE』(写真左)。1960年の録音。ちなみに、パーソネルは、TOMMY TURRENTINE(tp) , JULIAN PRIESTER(tb) , STANLEY TURRENTINE(ts) , HORACE PARLAN(p) , BOB BOSWELL(b) , MAX ROACH(ds)。弟のスタンリー・タレンタインが参加しているところが良い。

この唯一のリーダー作。不思議な味がある。録音されたのは、1960年。ジャズのトレンドは、ファンキー・ジャズ。でも、このアルバムは違う。ファンキーな雰囲気は、少しだけ「漂う」程度。雰囲気はハード・バップ。でも、純粋なハード・バップとは違う。モードの様でモードで無い、でも、コードでは無い、なんだか中途半端な雰囲気が漂うのだ。
 

Tommy_turrentine_9

 
この「中途半端」さが癖になる逸品。ジャズ初心者の方々には、このアルバムを是非聴いて下さい、と推薦するつもりは全く無い。逆に、ジャズ初心者の方々は、このアルバムは聴かない方が良い。でも、ジャズ者、ジャズ・ベテランの方々には、このアルバムは大推薦である。

パーソネルを見渡すと、弟のスタンリー・タレンタインとドラムのマックス・ローチ以外、後はまだまだ無名なミュージシャンばかり。ピアノのホレス・パーランのみが、後のジャズ・スターの卵と言っていいかもしれない。そんなメンバーが、この1960年という時代、ファンキー・ジャズではない、摩訶不思議な先進的なハード・バップな演奏を残すなんて。ジャズって、本当に不思議な音楽ジャンルである。

しかも、リーダーのトミー・タレンタインは、以降、リーダー・アルバムを残すことは無かった。確かに、そうだと思う。決して、テクニック的にも上手くは無い。演奏の構成的にも、秀でた所は無い。でも、なんだか、不思議な魅力漂うトミー・タレンタインの唯一のリーダー作『TOMMY TURRENTINE』。

こんなアルバムが、名盤に隠れて転がっている所が、ジャズの面白いところ。こんなアルバムを見いだして、人知れず愛でるところに、ジャズ者としての楽しみがある、ってもんだ。

この『TOMMY TURRENTINE』、徹頭徹尾ハード・バップな演奏ながら、不思議とモード的な雰囲気がそこはかとなく漂うところが「癖になる」。でも、モード的な演奏になりきれていない。この中途半端さが魅力の「隠れ佳作」。普通、音楽において、中途半端さは「悪」である。しかし、この中途半端さが魅力になってしまうところに、ジャズの醍醐味が隠れている。
 
 
 
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