こんなアルバムが流れてきたら
ジャズのアルバムって凄い数がある。ジャズ入門の100枚、とか、ジャズを極める300枚とか、いろいろ本が出ているけれど、それって、ジャズのほんの僅かばかり、ほんのほんの僅かばかりを知る、くらいのことである。
面白いのは、ジャズを聴き始めて、2〜3百枚を聴き終えた頃から、ジャズ入門のXX枚、というのがあまり気にならなくなる。なぜって、自分の好みが固まってくるからだと思っている。自分の好みの音を自分の手で探す、ということに楽しみを見いだす。これが、コレクターの醍醐味。
さて、今日は、Art Blakey And The Jazz Messengersの『'S Make It』(写真左)を聴く。1964年11月の録音。録音場所は、カリフォルニアはハリウッド。ニューヨークではない。パーソネルは、Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb) John Gilmore (ts) John Hicks (p) Victor Sproles (b) Art Blakey (ds) 。ベースがちょっと弱いかなあ、と思うが、後のメンバーは蒼々たるもの。
流れてくる音は、典型的なファンキー・ジャズ。ゴルソン・ハーモニー風の、印象的なフロント楽器の「ユニゾン&ハーモニー」。冒頭の「Faith」など、出だしのハーモニーを聴くだけで、ジャズを感じて、ウキウキする。絵に描いたようなファンキー・ジャズ。印象的でキャッチャーな旋律。う〜ん、良いなあ。
このArt Blakey And The Jazz Messengersの『'S Make It』は、決して、ジャズ入門書には登場しない。いや、Art Blakey And The Jazz Messengersの名盤紹介にも登場しないだろう。それでも、1964年という時代のジャズを感じ、ジャズの楽しさを満喫できる。
ジャズのアルバムには、こんな無名で、大凡のジャズ・ファンには見向きもされないアルバムに、ジャズらしさとジャズの楽しさが満載されていることが間々ある。だから、ジャズ者って楽しい。ジャズのアルバム・コレクターは止められない。ジャズを聴くって楽しい。
実は、この『'S Make It』、収録された曲の中で、2〜3曲、フェードアウトされる曲がある。本来、ジャズの演奏をフェードアウトするなんて、なんて趣味の悪いプロデューサーなんだ、と怒り心頭に発するんであるが、この『'S Make It』のアルバム全体の、ファンキーで、ジャズの楽しさ満載の雰囲気からすると、まあ許せる範囲かなあ、と思ってしまう。
なんの変哲もない、ジャズ本にもほとんどというか、ほぼ全く採り上げられないアルバム。でもでも、なぜか印象的なんですよね。ジャズらしいんです。ジャズの楽しさ、ジャズの面白さを感じることの出来るアルバム。ジャズ喫茶に入って、こんなアルバムが流れてきたら、絶対思うよな。「いや〜、ここのジャズ喫茶って趣味ええなあ、いや〜素晴らしい」って。
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