最近のトラックバック

« ふふふっ、もうすぐ夏やねえ | トップページ | 若かりし頃のアルバムは・・・ »

2009年5月10日 (日曜日)

時にはこんな「異色作」はいかが?

今日は初夏らしい一日になった。日中は半袖で十分。窓から吹き込む風も、カラッと乾いていて心地良い。日差しは、もう夏らしい日差し。こんなに気持ちの良い気候って、湿度の高い日本では、ありそうでなかなか無い。良い一日だった。

CD棚を整理していて、こんなアルバムに気が付いた。Philly Joe Jones『Blues for Dracula』(写真左)。ジャケット写真を見て頂きたい。そう、ドラムを叩くドラキュラ(爆笑)。このドラキュラに扮するのは、当然、リーダーのフィリー・ジョー・ジョーンズ。いやいや、このジャケットだけで、十分「異色作」である。

よくよく調べてみると、当時、フィリー・ジョーがお気に入りの、ドラキュラ映画の主演者である Bela Lugosi(ベラ・ルゴシ)への敬愛をジャケットで表しているとのこと。ふ〜ん、そうなのか。フィリー・ジョーって、ドラキュラが好きだったのか。でも、ジャズとは直接関係無いよな(笑)。

1曲目がその表題曲の「Blues for Dracula」。冒頭、ちょいと冗長な長い語りが入る。なんだこれ、と訝しく思う。これって、調べてみると、ベラ・ルゴシの物真似らしい。どうも当時、フィリー・ジョーは、盛んにライブで、このベラ・ルゴシの物真似を演っていたらしく、これがまた大受けに受けていたらしい。

当時のジャズ・ライブって、ジャズ演奏とお笑い芸を抱き合わせにした舞台構成が多かったらしい。つまり、ジャズ演奏の合間合間に、余興として「お笑い芸」などを披露する、今日でいう、いわゆるバラエティー系の構成をしていたとのこと。日本では、ジャズといえば「芸術」という色合いが濃い。でも、1950年代、本場米国では「大衆芸」「娯楽音楽」の色合いが濃かった。

Pjjones_blues_for_dracula

「私はビバップ・ヴァンパイヤじゃ〜」と自己紹介から始まる。で、かなり訛りのある英語で、なんだかかんだか。口上のラストに、コウモリが「だんな、あの不思議な調べは?」なんて問うと、ドラキュラ伯爵が「夜の子供達が美しき調べを奏でているのだ〜」と楽団を紹介、フィリー・ジョーのドラムの強烈なビートから、ハード・バップな演奏が始まる。ふふん、なかなか手の込んだ構成やなあ。

このアルバムが録音されたのが、1958年9月。そんなドラキュラ映画が流行っていて、ベラ・ルゴシなる人物が主役で、これまた物真似すると受ける位の人気者だったなんて、今では全く判らないよな。だから、知識として、そんな時代背景を理解していないと、この冒頭の1曲目「Blues for Dracula」だけで、「際物」と扱われること必至である。まあ、2曲目の「Trick Street」からは、普通のハード・バップな演奏が繰り広げられるので、ご安心を(笑)。

改めて、ちゃんとご紹介すると、この『Blues for Dracula』は、フィリー・ジョーの初リーダー作。パーソネルは、Nat Adderley (corr), Julian Priester (tb), Johnny Griffin (ts), Tommy Flanagan (p), Jimmy Garriosn (b), Philly Joe Jones (ds)。なかなか錚々たるメンバーが揃っている。このメンバーで繰り広げるブロウイング・セッションという面持ちですな。

とりわけ、ビックリするような演奏が繰り広げられている訳では無いのですが、平均的なハード・バップというか、標準的なハード・バップというか、安心して、あまりこだわることなく、あっけらかんと聴くことのできる、ハード・バップな演奏とでも表現したら良いでしょうか、飽きることなく、時々引っ張り出して聴くことの出来る演奏です。フィリー・ジョーのドラミングも、彼のドラミングの特徴が良く分かるもので、フィリー・ジョー入門としても良いのでは、と思います。

時には、こんな「異色作」も面白い。時代背景などをしっかり知識として押さえることにより、「際物」と誤解していた「異色作」も、一種味わいのあるアルバムに早変わり。そんな大事なことを教えてくれた、僕にとっては、なかなかの「教育的効果のある」アルバムでした。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 
 

« ふふふっ、もうすぐ夏やねえ | トップページ | 若かりし頃のアルバムは・・・ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/29550149

この記事へのトラックバック一覧です: 時にはこんな「異色作」はいかが?:

« ふふふっ、もうすぐ夏やねえ | トップページ | 若かりし頃のアルバムは・・・ »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ