これは爽快、これは名盤
フュージョンの世界ではギターが結構フューチャーされる。フュージョンは電気楽器が中心のインストが多い中で、エレキ・ギターは花形である。確かに、フュージョンの世界でのエレキ・ギターの役割は大きい。
そんな花形であるエレキ・ギタリストの中で、超絶技巧で歌心があって、聴いていて爽快感溢れるギタリストは、残念ながら数少ない。大多数のギタリストは、テクニックはあるが、歌心に欠けていて、聴いていると飽きてしまう。内容のない言葉を早口でペラペラしゃべるようなギターは、本当に困る。
さて、そんな数少ない、超絶技巧で歌心があって、聴いていて爽快感溢れるギタリストの一人が、アル・ディ・メオラである。彼の演奏は、ちょうどリアルタイムで聴き進めてこれたのであるが、1970年代の彼のアルバムはどれも素晴らしい出来で、どのアルバムも「お気に入り」である。
1970年代のディメオラのアルバムは4枚あるが、僕が一押しなのは、3枚目のAl Di Meola『Casino』(写真)である。1978年の録音。パーソネルは、 Al Di Meola (g), Anthony Jackson(b), Steve Gadd(ds), Barry Miles(key), Mingo Lewis(per), Eddie Colon(per)。特に、Anthony Jackson(b), Steve Gadd(ds)の重量級のリズム・セクションが目を惹きます。
冒頭の「Egyptian Danza」の前奏を聴いただけで、ディメオラの演奏だと判ったニンマリ。題名からしてエキゾチックな雰囲気が漂うが、演奏も題名から感じる雰囲気そのままに、めまぐるしく変わる曲調とエキゾチックな旋律が素晴らしい。2曲目の「Chasin' the Voodoo」などは、凄まじいパーカッションをバックに、浮き出てくるように聴こえてくるギターは紛れもなく、ディメオラのトーン。この「Chasin' the Voodoo」は、本当にディメオラらしい演奏で、思わず笑ってしまう。
そして、4曲目の「Senor Mouse」は、第2期リターン・トゥ・フォーエバー(RTF)の名演で誉れ高い、チック・コリアの名曲。このディメオラの演奏は、実に素晴らしい。本家RTFの演奏より、タイトでメリハリが効いていてダイナミック。これは聴きものです。
5曲目の「Fantasia Suite for Two Guitars」では、ディメオラお得意の、生ギター中心のスパニッシュな演奏が楽しめます。1980年にリリースされ一世を風靡した『Friyday Night In San Francisco』(2007年1月25日のブログ)につながる名演です。どうやったこんなに超絶技巧にギターが弾けるのか。昔も今も不思議でたまりません(笑)。
僕は、このサード・アルバムである『Casino』が、1970年代のディメオラのアルバムの中で、一番お気に入りなアルバムです。何度聴いても飽きない。これは爽快、これは名盤。フュージョン・アルバムにも、優れた内容のアルバムは多々あります。聴かず嫌いはいけません。
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