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2009年4月12日 (日曜日)

遠い昔に感じた爽やかな風

最近、70年代Jポップのバンドの再結成の情報が、ちらほら入ってくる。70年代Jポップといえば、「ニューミュージック」と呼ばれたジャンルが、一番面白い。

この「ニューミュージック」というジャンルの音楽は、振り返れば、その内容は「玉石混交」としたものだった、と思うが、優れたものも沢山あった。音楽としては、供給する側も供給される側も、どちらにとっても、実に幸せな時代だったと思う。

この「ニューミュージック」の時代、僕はリアルタイムで大学生。決して裕福でなく、どちらかと言えば、貧乏学生の部類だったが、その頃、仲間と聴いていた音楽は、結構、お洒落でハイソだった。そう言えば、洋楽はAORとパンクが交錯する時代。僕たちは圧倒的にAOR派だった(当時、どうもパンクは胡散臭くてねえ)。

「ニューミュージック」と呼ばれたジャンルの音楽の選定にも念が入っていた。とにかく、皆が聴くものは、極力、人前では聴かない(「極力」です、「人前では」です・笑)。日本人が演奏する、いわゆる「ポップス」の香りがする、演奏テクニックも素晴らしい、マニア好みの、知る人ぞ知るアルバムを見つけてきては、仲間に自慢しながら、皆で感じ入りつつ、珈琲を飲みながら聴き入るのだ。

そんな、知る人ぞ知るアルバムの中に、ブレッド&バターの『マンデイ・モーニング』があった。これは聴いたなあ。『HOLD ON』『マンデイ・モーニング』『クルージング・オン』『マリエ』等々、聴いているだけで、湘南の海が目の前に浮かんでくるような音。これぞ「湘南サウンド」と呼べる、爽やかな風の様なアルバムでした。

Bread_butter_shonan_boys

そして、長年の時を経て、2005年10月、そのブレッド&バターの新作が登場しました。題して『SHONAN BOYS for young and young-at-heart』(写真左)。かのブレッド&バターのセルフ・カヴァー・アルバム。ジャケットを見て、これは、と思った。ジャケットを通して、遠い昔に感じた「爽やかな風」が吹き抜けたような気がした。

一発録りに近い手法で録音されたのであろう、スタジオ・ライブのような音。弾き語りを基本にした、アコースティックの雰囲気を活かしたアレンジで、ちょっとジャジーな雰囲気も漂う、小粋なアルバムです。2本のアコースティック・ギターの音が生々しく、エレピの音が効果的に響きます。う〜ん、エエなあ。あの頃の、遠い昔に感じた「爽やかな風」を感じます。

といって、セルフ・カヴァー集でありながら、ノスタルジックに攻めないところに、現役のミュージシャンであるブレッド&バターの心意気を感じます。

アレンジは70年代風でありながら、最新のトレンドも要所要所に配した、心憎いアレンジとプロデュース。お二人とも、重ねる年輪に伴い、声に味が出てきたのではないでしょうか。実に小粋で玄人好みのサウンド。聴きやすく、それでいてテクニック抜群の演奏。良いアルバムです。

そう言えば、学生時代、フォーク・デュオを組んでいたが、このブレッド&バターみたいなデュオをやってみたかったんだよな〜。そんな遠い昔のことを思い出した。癒しの名盤として、70年代Jポップ・ファンの方々に「お勧め」です。
 
 
 
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コメント

お久しぶりです、マスター(^^)

最近、突然娘と二人でサイモンとガーファンクルを
歌いたくなっております。
デュオってのは、やっぱりいいですね☆
誰かギター弾いて下さい(--;;;;

おお、お久しぶり〜、ひとみちゃん。松和のマスターです。

うんうん、デュオは良い。特にフォーキーなデュオは良い。
で、S&Gですか。良いですね〜。ギター、ローコードの楽譜、
なんとか取り寄せて練習しておきます。

ポール・サイモンのギターって、コードがちょっとユニーク
なんですよね。とてもじゃないけど、ハイコードで、あれだけ
弾きこなすのは大変なので、ローコードで、昔からやっています。

S&Gの曲って、アメリカン・ルーツ・ミュージックをベースに
した曲が多くあって、ゴスペルチックにアレンジできるものも
多々あります。歌っていると、結構はまります。
 


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