米国ルーツ・ミュージックって
学生時代から、ふ〜ん、そうなんだ、と思ってしまうアルバムがある。悪い意味じゃ無い。でも、皆が皆、そうだそうだ、っていうと、なんとなく、それは違うんやないか、と思ってしまうものってあるよな。
Dr. Johnの『Dr. John's Gumbo』(写真左)。1972年のリリース。Dr.Johnといえばニューオリンズ、ニューオリンズといえば『Gumbo』というわけで、ニューオリンズ・サウンドのエッセンスが、ギュッと詰まったアルバム。
日本では、誰もが皆、このアルバムを「サザン・ロック」の代表的名盤とする。「サザン・ロック」を理解するには、この『Gumbo』を聴けば判る、とまで言い切る評論家もいる。でも、今の耳で聴くと、「サザン・ロック」とは、う〜ん、ちと違う。どちらかと言えば、アメリカン・ルーツ・ミュージックの良きサンプル、良きアルバムとは言える。
でも、僕はこのDr. Johnの『Dr. John's Gumbo』は大好きです。大学時代は本当に良く聴いた。とにかく渋い。ブルースから、カントリー、ゴスペル、ディキシーランド・ジャズ等々、アメリカン・ルーツ・ミュージックの様々なエッセンスを上手くミックスして、実に個性溢れる音に仕上げている。
ちなみに、1970年代、日本のロックの粋なミュージシャン達って、この辺の音をパクッているなあ、って良く判る。サザン・オールスターズの初期の頃って「モロ」だよな〜(笑)。当時は、なんて渋くて粋なロック・バンドなんだろう、って無邪気に感心していたんですが・・・。でも、パクリながも、自分たちの音になんとか仕立てようとしていたところって、やはり実力があったんやなあ、と感心もしたりする。
Dr. Johnの『Dr. John's Gumbo』を、サザン・ロックの代表的名盤、サザン・ロックの雰囲気はこのアルバムで判る、とするのは、今でもどうかと思う。しかし、アメリカン・ルーツ・ミュージックとはいかなるものか、アメリカン・ルーツ・ロックとはいかなるものか、という実に良きサンプルの一枚ではある。
アメリカン・ルーツ・ミュージックを南部志向にして、ニューオリンズを望めば、この『Gumbo』の音。サザン・ロックは、この南部志向のアメリカン・ルーツ・ミュージックを、当時流行のハード・ロックというトレンドでアレンジした、洗練された、シャープでダイナミックなロックのことを言うんだと思う。
憧れのアメリカン・ルーツ・ミュージック。アメリカン・ルーツ・ミュージックを聴いていれば、心安らぎ、心楽しく、そして、哀愁も感じることができる。ジャズもアメリカン・ルーツ・ミュージックのひとつ。アメリカン・ルーツ・ミュージックは、奥が深く、実に複雑で面白い。
Dr. Johnの『Dr. John's Gumbo』。実に良いアルバムです。アメリカン・ルーツ・ミュージックをロックとして感じるには格好のアルバムだと思います。
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