Di Meolaよ、やり過ぎは良くない
過ぎたるは及ばざるが如し、という言葉がある。「物事には程度というものがあり、その程度を過ぎると、 かえって不足するのと同じようによくないことになる」の意。音楽の世界だって同様な事があり得る。
Al Di Meola(アル・ディ・メオラ)の『Splendido Hotel』(写真左)を聴く度に、その諺を思い出す。「過ぎたるは及ばざるが如し」。まさに、この『Splendido Hotel』については、この諺通りの印象。
スパニッシュな音、ラテンな音、そして、アラビア風の神秘的なメロディー有。音のバリエーションは多彩。そして、ギターについては、定番の高度なテクニックを軸に、ヴォーカル入りの曲やピアノとのデュオなどさまざまなナンバーを収録。う〜ん、バラエティが広がりすぎて焦点が絞れない。
国籍不明、ジャンル不明なポップなギター・インストの、3曲目「Roller Jubilee」や9曲目「Spanish Eyes」を初めて聴いた時は、高中正義かと思った(笑)。 リーダー作第4作目なんだが、先の3作には、アルバムの底に「ジャズ」が見え隠れしていたんだが、この『Splendido Hotel』には、その底にある「ジャズ」の雰囲気が希薄。う〜ん、やっぱり、やり過ぎは良くないぞ、ディ・メオラ。
特に、ヴォーカル入りの8曲目「I Can Tell」は、絶対にやり過ぎである。定番の高度なギターテクニックを軸に、スパニッシュな音を隠し味にした「フュージョン・ジャズ」が売りのディ・メオラ。そのディ・メオラがボーカル入りのギター・インストに手を染めたら、それこそ、単なるギター・インストのイージーリスニングになってしまうではないか。
「過ぎたるは及ばざるが如し」。ディ・メオラよ、やり過ぎは良くない(笑)。今でも、このアルバムを聴くと、ちょっと赤面ものである。そう言えば、この『Splendido Hotel』は1980年のリリース。1980年辺りと言えば、フュージョン・ジャズの全盛期が過ぎて、フュージョン・ジャズ自体が迷走を始めた時期である。
そんな時代背景もあるのかなあ。とにかく、この『Splendido Hotel』は、その内容がバラエティに富みすぎていて、ちょっと焦点がぼけた、ミュージシャンとしての主張が希薄な作品になっているのが、実に惜しいアルバムです。前作に増して、ディ・メオラのテクニックに、更に磨きがかかっているだけに、ですね。
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