しかし、紛らわしいな〜
ジャズのアルバムには、紛らわしいものが多々ある。同じ音源なのに、ジャケット・デザイン、タイトルを変えて、あたかも新盤の様にリリースするものもある。一枚のアルバムの音源をばらして、他のアルバムの音源と混ぜて、新しいアルバムに再編するものもある。2枚組のアルバムを1枚ものに短縮するものもある。
この現象は、あるレーベルが倒産したり、経営を停止する時、自らが保有する音源を他のレーベルに売り渡したりして、その引き取ったレーベルが、自らのレーベルから、その譲り受けた音源を再発する時によく起こる現象なんですけどね。
今回、出会ったアルバムもその「紛らわしいもの」の一つ。iTumes Storeで見つけた『Getting' It Together』、Freddie Hubbard, Curtis Fuller, Yusef Lateefのリーダー並記のアルバム。ジャケット・デザイン(写真一番左)が、サボイ・レーベルっぽくて、なかなか良さげな雰囲気で、「これは、ジャケ買い」とばかりに「ポチッ」とダウンロード。
2000年1月25日にリリースとあるので、最近のアルバムとばっかり思っていた。ベテランミュージシャンが一堂に会して、寛いだジャムセッションを繰り広げる、って感じの、リラックスして聴ける盤だろう、と思いながら再生してみると、どうも音が古い。
2000年あたりの盤なら、絶対にデジタル録音風の雰囲気が漂うのだが、この盤の音は、完全にアナログ風。しかも、ところどころ、音が乱れているところもあって(これは音源の保存状態が悪かったことが多い)、「これは1960年前後のハードバップ時代の録音やな〜」と当たりをつける。
ネットでググって判明したんだが、この『Getting' It Together』ってアルバム、もともとは、WARWICKというレーベルからリリースされた『CURTIS FULLER / BOSS OF THE SOUL-STREAM TROMBONE』というアルバムだそうだ。その最初に発売された時のジャケットは写真の一番右。ハードバップっぽい、なかなか味のあるジャケットです。実は、このオリジナル仕様で、2006年12月にリイシューされてます。
そして、今度は、Freddie Hubbardの名義で『Gettin' It Together』というタイトルで再発されます。ジャケットは写真の真ん中。見るからに「サイケデリック」「ヒッピー&フラワー・ムーヴメント」って感じの雰囲気が強く漂うジャケット・デザインですね。恐らく、Freddie Hubbard の人気に乗じて、Freddie Hubbard の単独名義で再発したんでしょう。当然、タイトルも変更(笑)。でも、このジャケット・デザインは酷いですね〜。
そして、どういう経緯でリイシューされたか判りませんが、2000年1月に、今回、iTunes Storeで入手した状態、Freddie Hubbard, Curtis Fuller, Yusef Lateefの3人のリーダー並記のジャム・セッション風アルバムとして再発されています。僕にジャケ買いを決心させたジャケット・デザインは、写真の一番左。今回調べただけでも3枚もの異なったジャケット・デザインで、同じ音源が再発されているとは。しかし、紛らわしいな〜。
パーソネルは、Freddie Hubbard(tp), Curtis Fuller(tb), Yusef Lateef(ts,fl), Walter Bishop Jr. (p), Buddy Catlett (b), Stu Martin (ds)。 1960年12月NY録音。内容的には、最初の直感通り、ベテランではないが、当時中堅の人気ミュージシャンが一堂に会して、寛いだジャムセッションを繰り広げる、って感じの、リラックスして聴ける盤である。
まあ、全編通して聴くと、トロンボーンのフラーがフューチャーされていて、フラーのリーダー作だろうと類推することは簡単ですね。フレディは相変わらず上手い、ユセフのテナーはちょっと癖があって面白い。そして、パーソネルで目を惹くのはピアノのウォルター・ビショップJr.。太く硬質な、ちょっとマッコイ・タイナー風のピアニストは誰なんだ、と思って聴いていたんですが、ウォルター・ビショップJr.だったんですね〜。
ベースとドラムがちょっと弱いのはご愛嬌。とにかく、カーティス・フラーの暖かみのあるトロンボーンが楽しめます。そういう面からも、やっぱりこのアルバムって、カーティス・フラーのリーダー作でしょう。ホントに紛らわしいな〜(笑)。
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解説ありがとうございました 真ん中のアナログ版を購入して、調べてこちらにたどり着きました よくわかりました!
投稿: Kazu | 2023年8月19日 (土曜日) 20時08分