ペトルチアーニの「音の礎」
WBC決勝戦、やりましたね「連覇」、侍ジャパン。会社でも食堂で「わ〜っ」、喫煙室ではワンセグ見ながら「わ〜っ」。仕事中、ネットで途中経過を見て「わ〜っ」。おいおい、日本の若手ビジネス男女って、こんなに野球好きだったっけ(笑)。でも、まあ、今日は良いですよね。日本代表の決勝戦ですからね〜。野暮は言わない(笑)。
さて、Michel Petrucciani(ミシェル・ペトルチアーニ・以下略して「ペト」)のアルバムを聴き返している訳だが、今日は『Pianism』(写真左)を堪能する。1985年の作品。ブルーノートからの第1弾。パーソネルは、Michel Petrucciani (p), Palle Danielsson (b), Eliot Zigmund (ds) 。
冒頭の「Prayer」を聴いてニンマリとする。明らかに、ビル・エバンスの影響が見て取れるが、聴き進めて行くと、エバンスと比べて、音の重ね方がシンプル、音の選び方がメジャー寄り、タッチは強く、指回しの速度は圧倒的に速い。最後まで聴くと、これはビル・エバンスではない、と確信する。が、じゃあ誰なんだ、と問われると、ちょっと戸惑うかも知れない。
2曲目の「Our Tune」を聴くと、ああ「ペト」ね。と絶対に判る。こんなカリプソな曲を真面目なタッチとアプローチで、しかも、楽しく弾き進める、硬派なピアノは「ペト」ならではである。そして、3曲目の「Face's Face」になると、実にハードで迫力のある「が〜ん、ご〜ん」という左手と、透明感はあるが、独特な硬派なタッチで旋律を奏でる右手。ここまでくると、完全に「ペト」の個性があふれ出てくる。
4曲目「Night and Day」、5曲目「Here's That Rainy Day」と「ペト」独特のタッチとアプローチで、どんどん盛り上がっていって、そしてラストの6曲目「Regina」は、もう早弾きの超絶技巧の世界と硬軟自在、変幻自在の「めくるめく」ペトの世界。ラストの「Regina」こそが、「正統派かつ硬派な」ペトの個性。
アルバム全体の仕上がりとしては、ちょっと地味で渋い「玄人好み」のアルバムなので、ジャズ中級者向け、それもジャズ・ピアノが好きな人じゃないと、このアルバムの持つ「上質の渋さ」に気が付くのに、ちょっと時間がかかるかも。ジャズ初心者の方には、スタンダードの演奏が多い前作の『Live at the Village Vanguard』(2月24日のブログ参照)の方が、取っつきやすくて良いと思います。
でも、ペトを愛でるには、この『Pianism』は外せない。このアルバムには、ペトの「音の礎」がある。
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