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2009年3月13日 (金曜日)

聴いてみて「あら、ビックリ」

ジャズのアルバムの裾野は広い。ジャズのアルバム紹介本に推薦されているアルバムだけが、ジャズの世界で、優れたアルバムかと言えば、絶対にそうではない。逆に、ジャズのアルバム紹介本に推薦されているアルバムをコレクションするだけで満足するなんて、いわゆる「木を見て森を見ず」というか、「井の中の蛙、大海を知らず」を地でいくようなもの(微笑)。

ジャズのアルバム探索ほど、楽しいものは無い。昔はレコード屋に入って、小一時間くらい、箱を漁って、欲しいレコードをマークして、その中から、予算の範囲内で購入。当時は、スイングジャーナルなどの雑誌のレビューを見て、当たりを付けて、欲しいアルバムを見つけては、その枚数の多さを恨み、なにか基準を見つけて、エイヤッで予算の範囲内の枚数(2〜3枚程度だけれど)を購入する。

そして、そのアルバムを聴いては、「やった〜正解や〜」と思ったり、「あかん、これは判らん、あかん」と思ったり。そして、気に入ったアルバムは「とことん聴き込む」。これが楽しくてたまらない。

今回、そんな楽しさを思い出させてくれたアルバムが、 Chet Baker『Strollin'』(写真左)。エンヤに残したチェット・ベイカーのオリジナル作品の中でも特に人気の高い、1985年に行われたミュンスター・ジャズ・フェスティバルにて実況録音されたドラムレスのトランペット・トリオ編成による素晴らしいライブアルバム。

Chet_strollin

僕は、つい最近まで、このアルバムの存在を知らなかった。というか、チェット・ベイカー自体があまり好きじゃなかった、というか聴かず嫌いだった。特に、後年というか晩年というか、1970年代〜1980年代のアルバムは、どうせたいしたことは無い、と完全に聴かず嫌いを地でいっていた。今から思えば、実に恥ずかしい。聴いてみて「あら、ビックリ」の優秀盤である。

チェットのトランペットとフィリップ・カテリーンのギター、ジャン・ルイ・ラシンフォッセのベースという、ドラムレス・トリオ。シワシワになったのと引き換えに、別人のように、味のある、情緒溢れる、実に小粋なトランペットを吹きまくるようになったチェット。このアルバムでも、チェットのペットは実に良い。

そして、フィリップ・カテリーンのギターが素晴らしい。というか、初めて聴いた時、「誰や〜、このギターは」と思わずビビッた。そして、チェットのペットとカテリーンのギターのインプロビゼーションを支えるのが、ラシンフォッセのベース。このベースが凄く効いている。このベースがあって、チェットとカテリーンは味のある、情緒溢れる、自由奔放なインプロビゼーションを繰り広げることができるのだ。

チェットが謎の転落により死去する3年前の素晴らしいライブ・アルバム。これだけの演奏が出来るミュージシャンが、3年後にホテルの窓から転落して死亡するなんて、誰が想像しただろう。でも、このアルバムは白眉。このアルバムが残っているだけでも、僕たちは幸せだ。
 
 
 
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