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2009年3月 9日 (月曜日)

初心者向けのコルトレーン・2

ジョン・コルトレーンは、ジャズを聴く上で、ジャズを趣味とする上で、避けて通れない「ジャズの巨人」である。ジャズ・ミュージシャンを志す若者、特に、テナー・サックス奏者を志すなら、絶対に避けて通れない。

でも、ジャズを聴き始めた「ジャズ初心者」にとって、ジョン・コルトレーンのどこが凄いのか。これが、なかなか判り難い。ジャズ入門書を紐解いても、『至上の愛』を聴けだの、『ライブ・アット・ビレッジバンガード』を聴けだの、果ては『アセンション』を聴けと初心者にガイドする本もある。『アセンション』を初心者の時に聴いた時には、きっとジャズが嫌いになること請け合いである(笑)。

では、ジョン・コルトレーンの凄さが判りつつ、ジャズ初心者として、聴きやすく親しみやすいアルバムはあるのか? 2月12日のこのブログでは『Coltrane Sound』をご紹介した。この『Coltrane Sound』は、コルトレーンの独特の奏法である「シーツ・オブ・サウンド」を、判りやすく聴きやすく体験できる格好のアルバムである。

では、コルトレーンの演奏テクニックの素晴らしさを体験するには、どのアルバムが良いか。僕は『Ballads』(写真左)をお勧めする。ものの本には、『Ballads』は、コルトレーンの異色のアルバムだとか、当時、フリー・ジャズに走り始め、アルバムの売れ行きに不安を感じたレコード会社が、アルバムを売る為にたてた企画だとか言われるが、この『Ballads』のコルトレーンほど、演奏テクニックに優れたアルバムは無い。しかも、バラードが中心の選曲なので、初心者にも聴きやすい。

Jc_ballads

冒頭の「Say It」を聴くと、その凄さが良く判る。テナー・サックスの中音域〜高音域だけで、バラードを紡ぎ上げていく。基礎がよほどしっかりしていないと、綺麗でフラットな音は出ない。コルトレーンは、いとも容易く、まるでアルト・サックスの様な「中〜高音域」だけで、バラードを歌い上げていく。

当時、バラード集を出した背景には、コルトレーンのマウスピースの調子が悪く、早いパッセージやハードなブロウが出来なかったからだ、という向きもあるが、これも違うだろう。2曲目の「You Don't Know What Love Is」を聴けば判るが、バラードでありながら、結構、凝ったテクニックの早いブロウを、バラードの雰囲気を壊さない程度に吹きまくっている。これだけ、抑制された音で、早いバッセージを短小節だけ吹ききるには、マウスピースの調子が良くなければ出来ない「瞬間芸」だと僕は思う。

僕は、この『Ballads』というアルバムに、コルトレーンの野心を感じる。コルトレーンはセッションというセッションに「実験、チャレンジ、鍛錬」を持ち込むことが常なミュージシャンである。

この『Ballads』では、「テナー・サックスの中〜高音域だけで、繊細で優しくエモーショナルなジャズ・バラードが表現できるか」、「できるだけ、アドリブを誇張することなく、旋律中心に演奏を展開できるか」、などをテーマに、いつもの様に「実験、チャレンジ、鍛錬」を遂行しているだけだと思われる(笑)。

この『Ballads』というアルバム、単にバラード集だからジャズ初心者向けということではなくて、コルトレーンの演奏テクニックの素晴らしさを体験するのに「絶好のアルバム」だと僕は思います。ジャズ初心者の方々のみならず、ジャズ者のベテランの方々にも聴き直して頂きたいアルバムのひとつです。きっと、新しい発見が幾つかあると思いますよ。
 
 
 
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コメント

はじめまして

いつも、楽しく拝見しております

ぼくもジャズが好きで
最近はアルトを吹いております

自分のブログでも
ジャズのアルバムについても
書いておりますが

松和のマスターには
いつも、ジャズの聞き方にとっての
楽しみを、頂いております

感謝を持って、
御礼申し上げます


では、これからも、
楽しい、ブログを
よろしくお願いします

こんばんわ、与志の輔さん。松和のマスターです。
 
コメントありがとうございます。定期的に購読頂いている由、心強い
限りです。ご自身でも楽器を演奏されるみたいで、ジャズ鑑賞に良い
影響があるんでしょうね。僕もそろそろ楽器の演奏の方を再開したい
と思っているのですが、なかなか時間が取れずに見送りばかりです。
羨ましい限りです。
 

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