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2009年2月12日 (木曜日)

初心者向けのコルトレーン

コルトレーンは絶対に避けられない。ジャズを聴き始めて、ジャズを聴き進めようと思った時、コルトレーンは絶対に避けられない。当然、ジャズのテナー・サックス奏者を志す時、当然、コルトレーンは避けられない。

ストレートなブロウを武器に、速いパッセージから、スローなバラード表現まで、コルトレーンの奏法ほど適応性に富んだ奏法は見当たらない。しかも、コルトレーンのテクニックは超一品である。テナー・サックスを聴き極める「ジャズ者」も、テナー・サックスをジャズとして演奏するミュージシャンも、コルトレーンは絶対に避けられない。

でも、コルトレーンは、ジャズ初心者にとって、聴き易いミュージシャンかと言えば、そうではない。彼のテナー奏法の特徴である「シーツ・オブ・サウンド」は、音符を速いパッセージで敷き詰めたような、高速+超絶技巧な奏法で、ジャズ初心者の耳には、ちょっとうるさくて、なにがなんだか判らない奏法に聴こえるのではないか、と思われる。

後期のコルトレーンのアルバムは、この「シーツ・オブ・サウンド」をベースに、フリーなスピリチュアルな演奏がほとんどであり、メロディーも旋律も無視して、本能のおもむくまま、感情のおもむくまま、フリーに雄叫びのようなブロウを繰り広げている。これを、ジャズ初心者の時代に聴いたら、ジャズが嫌いになること必至である(笑)。

Coltrane_sound

では、初心者向けのコルトレーンのアルバムにはどんなものがあるのか、つらつら思いを巡らすと、パッと『Coltrane Sound』(写真左)が思い浮かぶ。マッコイ・タイナーとエルビン・ジョーンズを得たコルトレーンが、とことんモード・ジャズを追求したアルバムで、『マイ・フェイバリット・シングス』と対をなすもの、とされる。でも、この『Coltrane Sound』の方が聴き易く、コルトレーンの本質を感じ取り易いと僕は思っている。

邦題が『夜は千の眼を持つ』。冒頭の1曲目が「Night Has a Thousand Eyes」。この1曲目の直訳なんだが、これが実に妖しい。邦題『夜は千の眼を持つ』って言われたら、ジャズ初心者だったら、ちょっと「引く」よね。しかも、ジャケットデザインをご覧あれ。このジャケットだと、絶対に「引く」よな。僕もジャズ初心者の頃、このアルバムを手にして、購買意欲が萎えていくのを感じたのを覚えている(笑)。

でも、このアルバム、コルトレーンを体験するには絶好の一枚ではあるんです。超絶技巧の「シーツ・オブ・サウンド」も控えめ、この頃、既に完成されていたコルトレーンのバラード奏法は堪能できるし、「Night Has a Thousand Eyes」,「Central Park West」, 「Body and Soul」など、スタンダードを中心とした曲は実に美しく楽しい。コルトレーンのハードな面とソフトな面が絶妙にバランスしていて、最後までコルトレーンを楽しませてくれる一枚なのだ。

コルトレーンを知るアルバムとして、意外と話題に上ることが少ないアルバムのなのですが、特に、Atlanticレーベル時代のコルトレーンのアルバムの中では「イチ押し」のアルバムです。ちょっとハードではあるが「比較的聴きやすい」コルトレーンのアルバムはありませんか、というお問い合わせには、格好の一枚です。
 
 
 
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コメント

はうぁっcoldsweats02
そうだったのか~。
知らなかったですweep
私もジャケにドン引きしてた一人であります。

お久しぶり〜、yurikoさん。松和のマスターです。

この『Coltrane Sound』って、そうだったんですよ(笑)。

僕も学生時代、このアルバムに出会った時、『夜は千の眼を持つ』
という邦題とジャケット・デザインで、思いっきりドン引きして、
それから15年間ばかり、遠くから眺めるだけのアルバムでした。

『マイ・フェイバリット・シングス』と対をなすアルバムという
ことで、『マイ・フェイバリット・シングス』をCDに切り替える
時、思い切って、ペアで購入してみました。

恐る恐る聴いてみて「あら、ビックリ」。アルバム全体の出来は、
かの有名な『マイ・フェイバリット・シングス』よりも良いでは
ありませんか(笑)。

逆ジャケ買いの一枚ですね。しかし、どうやったら、こんなに
風変わりなジャケット・デザインになるのやら・・・。
 

通りすがりのJazz生かじりが失礼します・・・

コルトレーンの後期は何だかよく分からないけど、この夜千をはじめ、
アトランティック時代は自分にとってたまらなくポップで好きです。
今でもJazz初心者だけど、大好きです。

洋邦の流行曲やら古典ロックやらを聴いてた90年代のはじめころ、
JazzなんてタバコCMの「テイク・ファイヴ」くらいしか知らないくせに
「ふーん何か大人でお洒落な音楽なのね」と高をくくって敬遠してたんですが、
大学時代に出会った「Giant Steps」に一目惚れ(一聴き惚れ?)しました。
これでもかと詰め込まれた音に圧倒されて、かつ、めまぐるしく展開する
メロディが何だかツボにハマって・・・
コルトレーン・チェンジとか、Giant Stepsの凄さを未だによく理解してないん
ですけど、とにかく「Jazzって、こんなに楽しくてポップなんだ!」と。


今も、iPhoneで他のチャラチャラした音楽と雑居していますが、そいつらと
再生回数で競い合うくらい、コルトレーンの夜千やGiant Stepsや
CountdownやMy Favorite ThingsやOléが、一聴き惚れした当時と
変わらず大好きです。
夜千で、マッコイ・タイナーがソロの終盤に和音を叩いてコルトレーンを
呼び込む瞬間とか、何てことないのに、たまらなくロマンチックで好きです。

wilさん、初めまして。松和のマスターです。
 
wilさんの御意見、どれもこれも共感することばかり。
そう、アトランティック時代のコルトレーンって、確かに
ポップですよね。うん、ポップ、確かにポップ。
  
ジャズって、そのコード・チェンジや演奏スタイルが複雑
なので、なんだか難しそうに聞こえるんですよね。
  
判り易く親しみ易い,キャッチャーでシンプルな音楽だけ
がポップでは無い、ですよね。
 

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