V.S.O.P.「ライブ・イン・USA」
ちょっと昨日は本音を出し過ぎた。僕は大丈夫です。これしきのことで、挫けることはありません。逆にやる気が出てきています。邪魔があればあるほど、今まで僕は本気を出してきました。
さて、僕の中で、フレディ・ハバードの追悼はまだまだ続いている。学生時代、ジャズを聴き始めた僕がフレディ・ハバードに出会ったのは、ハービー・ハンコックが主催したV.S.O.P.(Very Special Onetime Performance)の『ニューポートの追想』。こんなに上手いトランペッターがいるんや、ジャズって凄いなあって、正直に思った。
そのV.S.O.P.のアルバムを順番に聴いている。V.S.O.P.The Quintetでのライヴ録音は幾枚か出ているが、その中で、一番愛着があって、一番良く聴いているアルバムが『The Quintet(邦題:ライブ・イン・USA)』(写真左)。V.S.O.P.のライブ・アルバムの中で、一番、まとまっていて、一番、メンバーが熱いパフォーマンスを繰り広げている。
でも、ジャズを聴き始めた大学の頃には、そんなことはさっぱり判らなかった。ただ、2曲目のロン・カーター作曲の「サード・プレーン」の、ほのぼのとした柔らかい曲調が好きで、この、ほのぼのとした、聴いて楽しい「サード・プレーン」の存在だけで、この『The Quintet(邦題:ライブ・イン・USA)』を聴き続けたのが本当のところ。
今の耳で聴くと、メンバーそれぞれが、素晴らしいパフォーマンスを繰り広げている。テナーのウェイン・ショーターは、自分のライブ・パフォーマンスについては、とても辛くて、なかなか自分のライブ・パフォーマンスをアルバムに残すことを良しとしない。そのショーターがOKを出しているアルバムである。当然、彼のパフォーマンスは素晴らしい。
リーダーのハービーは当然素晴らしい。やはり、ハービーは脇役に回った、伴奏に回った時は、実に素晴らしい。ソロなど鬼気迫るほど。70年代の彼のベスト・パフォーマンスのひとつがこのアルバムに記録されている。
ドラムのトニー・ウィリアムスは、それはそれは、天才的なドラミングを惜しげもなく披露する。何本手があるんや、何本足があるんや、と戸惑うばかりのポリリズム。ロックのドラマーなど、そのほとんどが足下にも及ばない。
そして、ベースのロン・カーター。これがこれが、アタッチメント付けてブヨンブヨンという音ではありながら、なんとピッチがまずまず合っていて、芯があるベースを供給する。ロンの真価を感じることができる、なかなかに凄みのあるベースである。
そして、トランペットのフレディ・ハバードと言えば、絶好調である。出だしの「One of a Kind」から絶好調。それもそのはず、この「One of a Kind」は、ハバードの作であった(笑)。ラストの「Birdlike」もそう。スピード感満点のトランペットが素晴らしい。ハービー・ハンコック作の「Darts」から「Dolores」に至っては、ハードに吹きまくるだけ吹きまくって、実にカッコ良い。
今の耳で振り返ってみて、このV.S.O.P.の『The Quintet』は、70年代のハードバップ・ジャズの最高峰を示すアルバムの一枚だと思います。モード的な演奏も、全く違和感なく演奏できるバンドって、そうそうあるものではないと思います。そういう意味で、このV.S.O.P.は凄いバンドでした。そして、それぞれのメンバーも素晴らしい。
そんな中に、トランペッターとして参加したハバード。今から思えば、実に幸せな、実に運の良いミュージシャンだったと言えるのではないでしょうか。
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