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2009年1月17日 (土曜日)

栴檀(せんだん)は双葉より芳し

栴檀(せんだん)は双葉より芳し、という言葉がある。大成する人物は、子供のときから人並み外れて優れたところがあるということ。香木である栴檀は双葉のころから芳香を放つ。音楽の世界でもこの諺があてはまる。優れたミュージシャンは、若い頃から人並み外れて優れたところがある。そして、若い頃からの個性はいつまでも個性でありつつける。

最近、ジャズ・ギターを聴き直して、いや〜勉強し直しているというのが正確なところかな、ジャズ・ギターを良く聴く。そんな中、久しぶりに聴き直して、その内容に改めて感心したのが、John Scofield(ジョン・スコフィールド)の『John Scofield Live』(写真左)。

1977年のリリースである。1977年、ベルリン・ジャズ・フェスティバル出演のためにドイツを訪れていたスコフィールドのグループが、ミュンヘンのライブハウス「DOMICIL」で行ったギグの様子をライブ録音として収録したもの。

パーソネルは、JOHN SCOFIELD (g), RICHIE BEIRACH (p), GEORGE MRAZ (b), JOE LABARBERA (ds)。実に強力なメンバーである。当時、中堅として先端を走っていたリッチー・バイラーク・トリオに、ジョンスコが乗っかった格好。
 

John_scofield_live


当時の十八番だったオリジナルの「V」からスタート、ジョンスコ節全開!。この「ジョンスコ節」というのがカギ。音が空中に浮かぶような浮遊感を伴った、そして、特徴あるフレーズはモーダルな雰囲気。1960年代までのジャズの成果を継承し、その成果をエレキギターで表現し、更に発展させていく、そんなジョンスコの太い音色の「強くてマイルド」なギターが素晴らしい。

躍動感抜群。そして、1977年の録音らしい、今までのジャズの世界にない新鮮な響きが癖になる、麻薬的なライブアルバムです。う〜ん、いつの時代も、逆風の時代でも、ジャズは発展するんやなあ。フュージョンでは無い、といって、1960年代までのハードバップを基調としたレガシーな響きでもない、エレクトリック・マイルスの音を基調としながらも、純ジャズ寄りに全体の雰囲気をシフトした「新しい響き」。

ジョンスコが、変態になりきる少し前の、ノーマルな寄りのギタープレイが聴くことが出来るのが、このアルバムの最大の価値。発売当時は、もちろんLPで収録曲は4曲。ちょっと蛇足っぽく、CD化で2曲が追加収録されています(4曲目「Air Pakistan」、5曲目「Jeanie」がそれにあたる)。でも、内容的に、より優れているのは、当然のことながら、オリジナル収録の4曲でしょう。

ラストの「Softly, As in a Morning Sunrise」は、実にユニークな出来。ジョンスコでしか表現できない、ワン・アンド・オンリーなスタンダード解釈がここにある。当時ジャズ喫茶で頻繁にリクエストされていたそうですが、至極納得の素晴らしい出来、斬新な響きの「Softly, As in a Morning Sunrise」です。

1977年は「フュージョン全盛時代」の後半。そのフュージョン全盛の中で、純ジャズの世界で、これだけの成果が残されている訳ですから、ジャズっていう音楽ジャンルって、奥が深くて、懐が深い。
 
 
 
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