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2009年1月28日 (水曜日)

クールなバリトン・サックス

バリトン・サックスって、「ブリブリブリッ」とか、「ゴリッ」とか、低音の魅力、ファンキーな低音をベースに、どちらかといえば、バリトン・サックスの低音域のドライブ感がクローズアップされて、ややもすれば、ファンキーでちょっと俗っぽい「ノリ」が売りと思われがち。

確かにそうなんだけど、バリトン・サックスって、その節回し、グルーブパッセージのうねらせ方、速いセンテンスでのタイミングの良い指使いを駆使して、クールでモーダルでアーティスティックな演奏も出来るのだ。卓越したテクニックが必要にはなるんだけど・・・。

そのバリトン・サックスでの「クールでモーダルでアーティスティックな演奏」を楽しむことの出来る一枚が、ペッパー・アダムスの『トゥエルフル・アンド・ピングリー(Twelfth & Pingree)』。

ペッパー・アダムスが、1975年欧州滞在時にミュンヘンの名門クラブ「ドミシル」でのライヴ盤。ファースト・セットは『ジュリアン』として有名だが、本作のセカンド・セットは「隠れた名盤」。パーソネルは、ペッパー・アダムス(bs), ウォルター・ノリス(p), ジョージ・ムラーツ(b), マカヤ・ウンショコ(ds)。

冒頭のタイトル曲「トゥエルフス・アンド・ピングリー」からして、実にクールでモーダル。マカヤ・ウンショコのドラムがクールに滑り出し、ジョージ・ムラーツがクールにベースラインを決めて、ピアノのウォルター・ノリスが、ちょいとフリーキーなノリで先陣を切り、そして、真打ちペッパー・アダムスのバリトンがクールでモーダルな旋律を奏でる。実に落ち着いた、アーティスティックな展開。ついつい聴き込んでしまう。

Twelfth_pingree

2曲目の「ア・チャイルド・イズ・ボーン」は、前半部分は、ジョージ・ムラーツのベース・ソロが大活躍。ピッチの合った、太くて堅いエッジの効いたベースが素晴らしい。そして、出てくるペッパー・アダムスのバリトン。アダムスのテクニックは素晴らしく、このスローなバラード曲のインプロビゼーションをバリトンをバリバリ鳴り響かせながら、速いパッセージをモーダルに吹き上げていく音は圧巻。

有名曲である3曲目の「ウェル・ユー・ニードント」も、ベースのムラーツとバリトンのアダムスが大活躍。「ウェル・ユー・ニードゥント」の複雑な旋律やその旋律を基にしたインプロビゼーションを、破綻無く、事も無げに吹き進めて行くアダムスのバリトンは頼もしい限り。

ドラムのマカヤ・ウンショコ、ピアノのウォルター・ノリスの堅実サポートがアダムスを自由に歌わせている。そうそう、ウォルター・ノリスのピアノ・ソロもモーダルでアグレッシブで個性溢れる響きを供給する。もうご機嫌な「ウェル・ユー・ニードント」である。

ラストは速めのボサノバ曲である「ボッサ・ヌーヴォー」。バリトン・サックスで、よくこれだけ速いパッセージを吹けるなあ、と感心することしきり。しかも、ペッパー・アダムスのバリトンは切れが良い。特に速いパッセージにおいては「電光石火のような」切れである。

良いアルバムです。今回は『トゥエルフル・アンド・ピングリー』だけ入手出来ましたが、ファースト・セットの『ジュリアン』を是非聴いてみたいですね。早速、頑張ってみようと思います(笑)。

この『トゥエルフル・アンド・ピングリー』は、バリトン・サックスの「クールでモーダルでアーティスティックな演奏」が堪能できて、聴き終えた後、なんだか、ほんわりとした幸福感に浸れます。
 
 
 
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