これはたまげた、驚いた〜!
長生きはしてみるものだ、とつくづく思うことがある(笑)。今回、サブプライムローン問題〜不況の影響で、思わぬレベルでの円高となった。米国に進出する企業にとってはかなり重篤な打撃となるのだが、ひょんなところに、その効果がプラスに出てくることもある。
最近、米国盤のCDが異様に安くて手に入るようになってきている。CD関連のネットショップをこまめにチェックしていると、「え〜っ」というくらい安価に、お目当てのCDが手に入る状況に遭遇する。
今回、ジェフ・ベックの80年代以降のアルバムが、千円以下で手にはいることが判った。うへ〜っ、千円以下か〜。ということで、『Jeff Beck's Guitar Shop』『Who Else! 』『You Had It Coming』『Jeff』の4枚を一気にゲット。これで、ジェフ・ベック名義の公式盤は全て手に入ったことになる。素直に嬉しい。
で、今日、早速聴いたのが『Jeff Beck's Guitar Shop』(写真左)。1989年リリースのオール・インストアルバム(効果音的なボーカルは入っていますが)。超絶技巧ドラマーであるテリー・ボジオ(Terry Bozzio)との共演。キーボードはトニー・ハイマス(Tony Hymas)。
ちょっと他に例を見ない「ベースレス・トリオ」での録音。まあ、ビートをキープするならドラムで十分、音の厚みを実現し、ギターの音の隙間を埋めるならキーボードで十分、ってところで、ベースはいらん、ということでしょう。
で、これがですね、凄い内容のギター・インスト・アルバムなんですよ。1989年という時代の録音っていうことを考えると、十分過ぎるほどの豊かなエコーがちょっと気に入らないですが、リズムは打ち込みでは無く、人間系のリズム・セクション、アナログチックな雰囲気が実に良い。そして、そのリズムが実に「トンガって」いて、低い重心で、超弩級の響き。
その超弩級のリズム・セクションの響きをバックに、ジェフがうねるように、叫ぶように、鼻歌を歌うように、とにかく「好き勝手に」ギターを弾きまくっている。超絶技巧なテクニックでグイグイ押すのでは無い。超絶技巧なテクニックで押すのであれば、1970年代の『Blow by Blow』や『Wired』が圧倒的に上を行く。
でも、このアルバムを聴いて感動するのは、エレキ・ギターって、こんなにも歌うような音色が出せるんだということ、こんなにも色彩豊かな音色が出せるんだということ、こんなにも陰影豊かな音色が出せるんだということ、こんなにも太い暴力的な音が出せるんだということ。
エレキ・ギターを歌わせる、響かせると言う点で「最高峰」のアルバムの中の一枚である。いやはや、ジェフは凄い。ロック・ギタリストの中で、インスト・ギターを聴かせる点では最高の部類やね。1989年という時代で、この「トンガッた」音を聴かせてくれていたとは。「これはたまげた、驚いた〜!」である(笑)。
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