孤高の人、ニール・ヤング
昨日、1960年代の終わりから1970年代初頭にかけては、猫も杓子も「スワンプ」な時代、と書いたが、そんな「スワンプ」全盛時代にも関わらず、我関せずと、自分流のロックを悠然とやっている奴らもいる。
僕が昔から「孤高の人」として敬愛して止まないニール・ヤングも、その一人である。「懐かしの70年代館」の時代からは、ちょっとだけ外れるので、反則と言えば反則なのだが、今日は、Neil Young & Crazy Horseの『Everybody Knows This Is Nowhere(邦題:ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース)』(写真左)を聴く。
1969年5月のリリースなので、「スワンプ」真っ只中でのリリースなんだが、これが悠然と「ニール・ヤング」の個性をドップリと振りまいて、それはそれは個性的な音楽に仕上がっているのだ。周りは皆、あからさまに「スワンプ」しているのにね。
とにかく、バック・バンドのクレイジー・ホースが、重心の低い、悠然とハードなロック・ビートを前面に押し出して、独特の個性を獲得していることが大きい。この独特な個性を既に獲得しているクレイジー・ホースをバックに従えているところに、ニール・ヤングの先進性と普遍性がある。
でも、しっかりと耳を傾けると、バックバンドのクレイジー・ホースの演奏の中に、サイケデリック・ロックの流行フレーズがちょこっと顔を出したりするところが、実に可愛い。でも、ギターとベースの重心の低さとフレーズの荒々しさが故に、明らかにサイケデリック・ロックにはならないところが「ミソ」。
穏やかなカントリー・フォーク調の「Round & Round (It Won't Be Long)」などを聴くと、クレイジー・ホースのハードな演奏の中に、そこはかと無く、隠し味的に「アメリカン・ルーツ・ロック」のエッセンスを散りばめているところが実に「ニクイ」。そう、隠し味的に「スワンプ」色を漂わしているところが、実にセンスが良い。
そして、ニール・ヤングの独特のギター・スタイルと、丸く「くぐもるような」個性的なボーカル、そして、あふれ出るような歌心。たまりませんね。
他の「スワンプ」色を全面押し出したアルバムは、今の耳で聴くと、どうしても古さや懐かしさが先に立ってしまいがちだが、この『Everybody Knows This Is Nowhere』は違う。隠し味的に「スワンプ」色を漂わしているセンスが、今の耳でこのアルバムを聴いても、全く古さや懐かしさを感じさせない。
う〜ん、「孤高の人」ニール・ヤングの面目躍如やねえ。
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