追悼・フレディ・ハバード
新年早々から、訃報をこのブログに掲載することになるとは思っていなかった。
ジャズ・トランペット奏者・フレディ・ハバードが、昨年12月29日、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外の病院で亡くなった。70歳。約1カ月前に心臓発作を起こして入院中だったとのことである。
このところ、ジャズ界のみならず、日本の芸能界でも、今まで親しんできたアーティストの人達、俳優の人達が次々と鬼籍に入るので、ちょっと精神的にも参ってきているんだが、今までFavoriteだった人達の訃報に接すると、やっぱり少し落ち込むなあ。
フレディ・ハバードについては、とにかく上手い、何を吹かしても超一流のブロウをしてしまう、恐らく、ジャズ史上、クリフォード・ブラウンに次いで、優れたテクニックを持つトランペッターだろう。しかも、超一流のブロウをしてしまう上に、歌心も兼ね備え、時にはユーモアも振りまく。
とにかく、完璧に近いジャズ・トランペッターだった。マイルスには「あいつにはテクニックしかない」と厳しい激励の言葉をかけられたが、これも、マイルスがハバードの才能を認めた上でのこと。
彼との出会いは、ジャズを聴き始めたばかりの頃、ハービー・ハンコックの『V.S.O.P.』でである。急遽、マイルスの代打で登場したハバードであるが、とにかく「上手いな〜、格好良いな〜、凄いな〜」というのが第一印象。
ハバードを偲ぶなら、まずはブルーノートの諸作だろう。1960年代前半を中心に、ハバードはブルーノート・レコードに広範な録音を残している。ブルーノート初登場にしてバンドリーダーを務めた『Open Sesame』を皮切りに、8枚のリーダーズアルバムを残し、28枚のアルバムにサイドマンとしてその名を刻んでいる。どの演奏を取っても素晴らしい。どの演奏を取っても、ハバードの個性を楽しめる。
1980年代後半、健康状態の悪化と深刻な唇の故障からリタイア。しかし、1990年代に入り、その悪状況から立ち直り、「演奏活動に復帰した」との報に接した時には、嬉しい思いをしたものだが、ハバードが鬼籍に入ってしまったからには、それも「もう無い」。
本当に残念です。ご冥福をお祈りします。
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本当に残念です。からっとした音色で、粋なハードバップを高らかに歌い上げる人・・・といった印象で大好きだったんだけど。
もうそんなお歳だったなんて、それが信じられないです。
投稿: yuriko* | 2009年1月 6日 (火曜日) 03時22分
おお、 yuriko*さん、いらっしゃい。松和のマスターです。
本当に残念ですよね。 yuriko*さんの言うように「粋なハードバップ」
という表現がぴったりの、テクニック豊かなトランペッターでした。
彼のアルバムは、「吹きすぎる」アルバムと「抑制の効いた」アルバムの
2種類に分かれます。「吹きすぎる」アルバムは、ちょっと疲れますが、
「抑制の効いた」アルバムは、実に素晴らしい。
聴いていて惚れ惚れします。
投稿: 松和のマスター | 2009年1月 6日 (火曜日) 20時40分
はじめまして。
フレディの訃報を年明けの今になって知りました。
とにかく寂しい。あの、マウントフジジャズフェスティバルでも圧倒的な存在感を示していたフレディ。
数年前大阪ブルーノートにやってきた時は、コンディションが悪く、入場料が半額になった事もありました。
それでも彼は、フリュ-ゲルを一心不乱に吹いていました。多分、彼の頭の中ではメロディの洪水が起こっていたはずです。ステージ後も楽屋奥から彼が練習する音が鳴り響いていました。
もう一度・・・あのお茶目な姿を見たかったですねぇ。
今夜は、シュガーとファットチューズデイのライブを聞いて、通夜をします。
投稿: こたろう | 2009年1月20日 (火曜日) 16時48分
こたろうさん、こんばんわ。松和のマスターです。
こたろうさんは、生フレディ・ハバードを体験されているのですね。
うらやましいです。あのペットを一度、生で聴いてみたかったなあ。
フレディ・ハバードはしばらくご無沙汰していて、訃報にふれて、
最近、集中して聴き直していますが、素晴らしいトランペッター
でしたね。ほんとに惜しい。僕も追悼の日々が続いています。
投稿: 松和のマスター | 2009年1月20日 (火曜日) 20時47分