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2009年1月の記事

2009年1月31日 (土曜日)

ジャケットは「?」だけど...

「ジャケ買い」という言葉があるが、全てが全て、優れたアルバムに、優れたジャケット・デザインを採用している訳では無い。「逆ジャケ買い」っていう状態もある訳で、まあ確率の問題っていう感じかな。

今回手に入れた、レッド・ガーランドの『I Left My Heart...』(写真左)もその一枚。ジャケットだけ見れば「これはなあ〜、あかんなあ〜」という感じで、ちょっと触手が伸びない。でも、iTunes Storeなどのダウンロード・サイトは便利なもので、30秒程度だけど「試聴」できる。この30秒の「試聴」が優れものなのだ。

この『I Left My Heart...』については、冒頭の「Will You Still Be Mine」を聴いて、「もしかしたら、このアルバムって良いかも」と思ってダウンロードしたら、これが「当たり」。

レッド・ガーランド、1955年より、マイルス・デイヴィスのバンドでの活躍が有名。左手のブロック・コードに、右手のシングルトーンという独特のスタイルで「ガーランド節」と呼ばれる。プレステイッジ・レーベルにも多くのリーダーアルバムを残す一方、サイドメンとして、多くのセッションに参加している。が、1962年に一旦引退。1970年代半ばにカムバックしたが、1984年心臓病のため死去している。

この『I Left My Heart...』は、「ガーランド節」が堪能できる、なかなかの内容のアルバムである。パーソネルは、Red Garland(p), Chris Amberger(b), Eddie Moore(ds), Leo Wright(as)。1978年5月、サンフランシスコのKeystone Kornerでのライブ録音、聴衆の暖かい反応など、ライブとしての雰囲気も実に良い感じ。
 

I_left_my_heart

 
ちなみに、LP時代は、A面はトリオ,B面にはアルトのLeo Wrightをゲストに迎えての演奏と区分けされていた。CDでは当然、そんな区分けは無いが、分けて聴いた方がそれぞれの演奏スタイルをじっくり楽しめるので、CDで聴くにしても、分けて聴いた方が良いでしょう。

実は、このアルバムでビックリしたことがあって、ガーランドの右手のシングルトーンのタッチが、ハンマーで打ち付けるように強いのだ。相当強く叩いている。故に、初めて、このアルバムを聴いた時、冒頭の「Will You Still Be Mine」を聴いた時、最初はガーランド本人とは思わず、ガーランドの若手フォロワーかと思ったくらいだ。

でも、タッチは強くても「ガーランド節」は健在。特に、フロントにアルトのLeo Wrightを据えての、バッキングに回ったガーランドは実に素晴らしい。伴奏時の能力の高さを再認識する位の素晴らしいバッキング。う〜ん、道理でマイルスが採用するはずやなあ、フロントの楽器を引き立てながら、自らの主張をしっかりとする。なかなか、こんな芸当の出来るジャズ・ピアニストは少ない。

ブルージーな「Bag's Groove」も良い雰囲気。でも僕が一番好きなのは「Please Send Me Someone To Love」。品格のあるバラードである。右手のタッチは若かりし頃より「強い」。その強いタッチに、ガーランドの矜持を感じる。実にエッジの立った、潔さを感じるスロー・バラードである。
 
良いアルバムだと思います。CDジャケットは「?」だけれど、内容は良い。「逆ジャケ買い」の一枚ですね(笑)。1950年代のレッド・ガーランドの優れたアルバムを複数枚所有していて、晩年のガーランドを聴いてみたい、という方に是非お勧めです。ジャズ喫茶でかかりそうな「隠れた佳作」です。
 
 
 
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2009年1月29日 (木曜日)

70年代ロックの不思議な一枚

70年代ロックは、ロックが一番ロックらしかった時代だと僕は思っているが、その「ロックの黄金時代」1970年代のロックの数あるヒット・アルバムの中で、「何で、このアルバムが売れたんだろう」と首を傾げたくなるアルバムが幾つかある。

その最右翼のアルバムの一枚が、Peter Framptonの『Frampton Comes Alive!』(写真左)である。1976年、全米1位、全世界で1000万枚を売り上げる驚異的な大ヒット作となった、それも二枚組のライブアルバムである。

ハンブル・パイの2枚看板の一人、ソロに転身して「Show me the way」「Baby,I Love Your Way」「Do You Feel Like We Do」の三つのシングルの大ヒットをバックにしての、満を持してのライブアルバムではあるが、これほどまでに売れるとは、当時、僕は全く思ってもみなかった。

Peter Framptonを初めてみたのは その当時NHKで不定期に放映されていたyoung music show。アイドルといっても良いほどの美形、スタイル、こりゃ〜米国で売れるはずやねえ〜、と感心したのを覚えている。1960年代後期には、英国で活動していたのにねえ。でも、ねえ。美形でスタイルが良ければ、後生に残る「サムシング」のある成果が残せるか、と言えばそうでもない。

Frampton_comes_alive

ちょうど、高校の時である。『Frampton Comes Alive!』は友達から借りて聴いた。印象的なリフ、判りやすく親しみやすいメロディー、予定調和のアドリブとパフォーマンス、ファズ・ボイスなどの大向こう受けする「ギミック」、そして端正すぎるほどのギター・ソロ。エンターテインメントとしてのロックの要素を満載したライブ・アクトである。

聴き易く、追い易いメロディー、乗り易いリズム、判り易い予定調和な展開。米国で売れる要素が満載で、今の耳で聴いても、とにかく「耳当たり」の良い、判りやすいロックである。でも、聴き終えた後、何か、サムシングが残るって、もう一度聴きたくなるのか、と思うのだが、実はそうでもない。

ほんのたまに聴きたくなるのではあるが、繰り返し聴きたくはない。僕にとっては、かなり「微妙」なアルバムである。でも、このアルバムが売れた理由というのは良く判る。このアルバムの「Show Me the Way」なんかが、FMから流れてきたら、やっぱり「おっ」と思って、手に入れて、全てのライブ・アクトを聴いてみたい、そんな気分になるだろう。

そういう意味では、「たらし込み」の要素十分の、実に厄介なアルバムである(笑)。結局、CD化された時に買ってしもたもんな。いや〜、僕にとっては、70年代ロックの「不思議な一枚」である。
 
 
 
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2009年1月28日 (水曜日)

クールなバリトン・サックス

バリトン・サックスって、「ブリブリブリッ」とか、「ゴリッ」とか、低音の魅力、ファンキーな低音をベースに、どちらかといえば、バリトン・サックスの低音域のドライブ感がクローズアップされて、ややもすれば、ファンキーでちょっと俗っぽい「ノリ」が売りと思われがち。

確かにそうなんだけど、バリトン・サックスって、その節回し、グルーブパッセージのうねらせ方、速いセンテンスでのタイミングの良い指使いを駆使して、クールでモーダルでアーティスティックな演奏も出来るのだ。卓越したテクニックが必要にはなるんだけど・・・。

そのバリトン・サックスでの「クールでモーダルでアーティスティックな演奏」を楽しむことの出来る一枚が、ペッパー・アダムスの『トゥエルフル・アンド・ピングリー(Twelfth & Pingree)』。

ペッパー・アダムスが、1975年欧州滞在時にミュンヘンの名門クラブ「ドミシル」でのライヴ盤。ファースト・セットは『ジュリアン』として有名だが、本作のセカンド・セットは「隠れた名盤」。パーソネルは、ペッパー・アダムス(bs), ウォルター・ノリス(p), ジョージ・ムラーツ(b), マカヤ・ウンショコ(ds)。

冒頭のタイトル曲「トゥエルフス・アンド・ピングリー」からして、実にクールでモーダル。マカヤ・ウンショコのドラムがクールに滑り出し、ジョージ・ムラーツがクールにベースラインを決めて、ピアノのウォルター・ノリスが、ちょいとフリーキーなノリで先陣を切り、そして、真打ちペッパー・アダムスのバリトンがクールでモーダルな旋律を奏でる。実に落ち着いた、アーティスティックな展開。ついつい聴き込んでしまう。

Twelfth_pingree

2曲目の「ア・チャイルド・イズ・ボーン」は、前半部分は、ジョージ・ムラーツのベース・ソロが大活躍。ピッチの合った、太くて堅いエッジの効いたベースが素晴らしい。そして、出てくるペッパー・アダムスのバリトン。アダムスのテクニックは素晴らしく、このスローなバラード曲のインプロビゼーションをバリトンをバリバリ鳴り響かせながら、速いパッセージをモーダルに吹き上げていく音は圧巻。

有名曲である3曲目の「ウェル・ユー・ニードント」も、ベースのムラーツとバリトンのアダムスが大活躍。「ウェル・ユー・ニードゥント」の複雑な旋律やその旋律を基にしたインプロビゼーションを、破綻無く、事も無げに吹き進めて行くアダムスのバリトンは頼もしい限り。

ドラムのマカヤ・ウンショコ、ピアノのウォルター・ノリスの堅実サポートがアダムスを自由に歌わせている。そうそう、ウォルター・ノリスのピアノ・ソロもモーダルでアグレッシブで個性溢れる響きを供給する。もうご機嫌な「ウェル・ユー・ニードント」である。

ラストは速めのボサノバ曲である「ボッサ・ヌーヴォー」。バリトン・サックスで、よくこれだけ速いパッセージを吹けるなあ、と感心することしきり。しかも、ペッパー・アダムスのバリトンは切れが良い。特に速いパッセージにおいては「電光石火のような」切れである。

良いアルバムです。今回は『トゥエルフル・アンド・ピングリー』だけ入手出来ましたが、ファースト・セットの『ジュリアン』を是非聴いてみたいですね。早速、頑張ってみようと思います(笑)。

この『トゥエルフル・アンド・ピングリー』は、バリトン・サックスの「クールでモーダルでアーティスティックな演奏」が堪能できて、聴き終えた後、なんだか、ほんわりとした幸福感に浸れます。
 
 
 
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2009年1月27日 (火曜日)

バリトン・サックス、至福の時

バリトン・サックスが好きである。中学生の時、ブラスバンドをやっていた時から、バリトン・サックスの音色が好きである。あの「ブリッ」「ゴリッ」「ブブブブ〜」という、得も言われぬ低音がたまらない。

ジャズの世界では、バリトン・サックスのミュージシャンは、いつの時代も一定数存在する。ジャズ・ビッグバンドの編成の中では、バリトン・サックスは欠かせない存在。ビッグバンドの低音域を「ブリッ」と支える、ハーモニーとユニゾンを底支えする、欠かせない存在なので、バリトン・サックスは、ジャズ界では不可欠。

とにかく、図体がでかい。ある程度、背丈のある人でないと、取り扱いに困る位の大きさ。しかも重い(笑)。でも、あの図体のでかい、見るからにメカニカルなバリトン・サックスを、悠々と吹きたおすミュージシャンの姿は神々しい。

今日は、そのバリトン・サックス奏者の雄、ペッパー・アダムスの『The Adams Effect』(写真左)を聴く。冒頭の「Binary」の、疾走感溢れるファンキーな4ビートの曲に、思わず「仰け反る」。イントロで流れてくるトミー・フラナガンのピアノのノリに「ニヤリ」とし、テーマの格好いいユニゾンに惚れ惚れし、ペッパー・アダムスのバリトンは「ブリブリブリッ」と炸裂し、バンド全体が一丸となって疾走する。爽快感抜群、バリトン感最高な1曲である。

The_adams_effect

2曲目は打って変わって、スローなバラード「Valse Celtique」。アダムスのバリトンが緩やかに情感豊かな低音でテーマを「ブリブリブリ」。う〜ん、ええなあ。バリトン・サックスって、その大きさ故、スローなフレーズを安定して吹き続けるのは、結構難しいはずなんだが、アダムスは悠然と吹き上げていく。感動のバラード。バラードの伴奏をさせれば天下一品の、フラナガンのピアノ伴奏も秀逸。

パーソネルは、Pepper Adams(bs), Frank Foster(ts), Tommy Flanagan(p), Ron Carter(b), Billy Hart(ds)。素晴らしいラインアップである。特に、フランク・フォスターのテナーは、アダムスのバリトンとの相性抜群。フォスターとアダムスのユニゾン、ハーモニーは息もあって素晴らしく、聴いていて惚れ惚れ、うっとり。おっと、こんなところにも、ベースのロン。そして、地味ながら小粋なドラミングを聴かせるビリー・ハートも良い。

1985年6月の録音。ペッパー・アダムスは1986年に亡くなっているので、鬼籍に入る一年前、最晩年のアルバムになりますが、これがどうしてどうして、若かりし頃と同じ「迫力のバリトン・サックス」を聴かせてくれています。ここまでくれば「超人」やね〜。

このアルバムが、ペッパー・アダムスの最後のアルバムとなった訳ですが、最晩年(当時まだ55歳でした)だからバリトンの音があまり出ていないんじゃないか・・・という心配は御無用。凄い迫力の、プロの技を堪能できます。バリトン・サックス好きの人には絶対の「お勧め」です。 
 
 
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2009年1月26日 (月曜日)

俺の他に誰がいる?

『Who Else! 』。なんて格好いいアルバム・タイトルだろう。日本語にすると「俺の他に誰がいる?」って感じだろうか。ギター職人ジェフ・ベックが、1989年リリースの『Jeff Beck's Guitar Shop』以来、10年ぶりに発表した1999年アルバム。10年ぶりだけに「はじけまくって」いる(笑)。

『Jeff Beck's Guitar Shop』については、2009年1月19日のブログ(左をクリック)をご覧頂きたい。今日は、この1999年リリースの『Who Else! 』(写真左)である。

テクノを大胆に取入れたディスコっぽい曲、出色のブルース、トラディショナルでケルト風な曲などなど、もうギター職人ジェフ御大のギター弾きまくり、好き勝手にやりまくり、である(笑)。

のっけからぶっ飛ばす。冒頭「What Mama Said」の格好良いこと。大胆にもディスコっぽいアプローチであるが、これがなんと「古くない」。このギター職人のおっさんは「化け物」か?(笑)。今の耳にも十分耐えるというか、ジェフ独特の個性溢れる、ジェフしか出来ない「ディスコ」である。踊れるロック・ギター、ジェフの面目躍如である。
 

Who_else

 
2曲目以降も「ぶっ飛ばし」の手を緩めない。テクニック優先のギターではない、聴かせるギター満載である。超絶技巧ではないのに、このエレキギターは何人にも真似できない。孤高のインスト・ギターがここにある。

ラストを飾る「アナザー・プレイス」は実に印象的。ノリノリのエレキギター大会を聴かせたと思えば、こんな美しい曲を、さらりとエレギでやってしまう。はあ〜、天才の仕業というのは、このことでしょうね。

「俺はノスタルジアではないぜ」というジェフの声が聞こえそう。過去の栄光である『Blow By Blow』や『Wired』をなぞらない、常に最先端で、常にヒップなエレキギターのインストを聴かせるジェフは「化け物」である。

「Who Else!」=「俺の他に誰がいる?」。いやいや、ジェフ・ベック御大しかいません。これだけのトンガッたギター・インストを聴かせるのは、ジェフ御大以外におりませぬ。いや〜、参りました。1989年リリースの『Jeff Beck's Guitar Shop』もたまげましたが、この『Who Else!』は「たまげた」を通り越して「脱帽」です。
 
 
 
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2009年1月25日 (日曜日)

「ジャズへの招待状」の更新!

バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」の純ジャズ系のコーナー『ジャズへの招待状』の「ベース」の項を、久々(実に約7年ぶり!)に更新しました。

「ジャズへの招待状・ベース」のコーナーの更新は「ロン・カーター」の特集です。いや〜、ベーシストがリーダーのアルバム選定とアルバム評をまとめるのって、結構手間取りました。足かけ3年の作業でした。

「ジャズへの招待状・ベース」のコーナーの次の特集ミュージシャンとして、「ロン・カーター」にターゲットを絞ったのが、2006年の6月。所有するロンのリーダー作が6枚ほどあったので、それに加えること、初リーダー作の頃、1960年代〜1970年代のロンのリーダー作を数枚補強して、ロンの評価を固めていくのだが、これが手間取った。

ロンがどうの、というより、そもそもベーシストがリーダーのアルバムっていうのは、どういう意義、意味があるのか、ってことに「詰まった」。

そもそも、ベースは、ソロ楽器(トランペットやサックスなど)とは違い、リズムセクションの重要なパートを担う楽器ゆえ、その演奏上の特長が現れにくい楽器である。それ故、ベース奏者のリーダー・アルバムは、そのコンセプトを打ち出しにくく、その数が非常に少ない。

Ron_banner

それでもベーシストがリーダーのアルバムには2つの傾向がある。ひとつは、ベースの演奏自体が非常に特徴的な場合は、その特徴的な演奏内容を全面に押し出したスタイル。もうひとつは、ベーシストが卓越した作曲能力、編曲能力を有する場合で、この作曲能力、編曲能力にスポットを当てて、リーダー・アルバムを演出するケースである。ただ、どちらもグループ・サウンズとして、バランスを欠いたケースがほとんどで、純粋なベーシストとしてのリーダー作とは言い難い。

いや〜、手間取りましたねえ〜。ベーシストのリーダーアルバムって、ホントに難しいですね。僕が思うに、理想的なのは、ジャズ演奏の中での理想的なベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックを、グループ・サウンズを通じて演出するやり方です。ジャズ演奏におけるベースの役割の明確化と理想的なベースの演奏モデルの提示。これが本来のベーシストがリーダーを張る、リーダー・アルバムのあるべき姿だと思います。

その「ベーシストとしてのリーダー・アルバムはどうあるべきか」。その一つの答えが、最近のロン・カーターのリーダー・アルバムにあると僕は思っています。今回は、そのロン・カーターの最近作から、4枚をピックアップし、その特長をご紹介しています。

さあ、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」(左をクリック)までお越し下さい。今回のロン・カーターの特集は、『ジャズへの招待状』のコーナーの中の「ベース」の項にあります。では、バーチャル音楽喫茶『松和』でお待ちしています m(_ _)m。
 
 
 
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2009年1月24日 (土曜日)

ジャズの小径・1月号の更新です

今日は朝のうち雲が残るが、昼からは晴れるなんて天気予報だったが「大外れ」。朝からどんより鉛色の厚い雲が垂れ込め、シンシンと冷え込んでくる。これは雪になるか、と思っていてら、案の定、昼前「にわか雪」になった。午後には雪は上がったが、曇り空のまま。寒い一日。

あいにくの寒い土曜日。暖かい部屋の中では、いつもと違って、静かなジャズを聴きたくなる。静かなジャズと言えば、ピアノ・ソロかな。ピアノ・ソロと言っても、ファンキーなソロだとノリノリになるので、相応しくない。遠い昔、クラシックの礎となった、古典音楽として、即興演奏的な「ピアノ・ソロ」が相応しい。

ということで、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」の定期更新です。「ジャズの小径」2009年1月号をアップしました。

遠い昔、クラシックの礎となった、古典音楽としての即興演奏的な「ピアノ・ソロ」といえば、その最右翼となるジャズ・ピアニストは、やはりキース・ジャレットに落ち着くだろう。キース・ジャレットのソロ・ピアノで、最近、ちょくちょく出してきては、聴き進めているボックスセットがある。それが『サンベア・コンサート』。

今月の「ジャズの小径」は、この『サンベア・コンサート』についてです。

Keith_solo

キース・ジャレットの『サンベア・コンサート』、発売当初は、LPレコード10枚組のボックス・セット。キース・ジャレットの、76年11月、日本縦断ソロ・コンサート・ツアーの集大成。

CDになって、6枚組ボックスセット。全8公演の内、本作に収録されたのは京都(京都会館)、大阪(サンケイホール)、名古屋(愛知文化講堂)、東京(中野サンプラザ)、札幌(厚生年金ホール)の5公演。各会場の演奏がそれぞれ1枚のCDに収められていて、6枚目には札幌・東京・名古屋におけるアンコール演奏が一括して収録してある。

当時のキース・ジャレットの生の姿がここにあります。今でも、善悪混沌とした、様々な評価がなされる、即興演奏をベースとした「ソロ・ピアノ」です。私の周りでの話ですが、このライブ・ボックスセットの評価で面白いのは、ピアノを自ら弾くことの出来る人は「素晴らしい」というのが、おおよその評価で、冗長な部分を指摘する時ですら、キースになんらかの「リスペクトの念」を持っているということ。

逆に、楽器演奏の経験が全くない人は、「冗長でつまらない」とバッサリの評価の方が多いですね。即興演奏をベースとした「ピアノ・ソロ」なので、耳で旋律が追える「印象的なフレーズ」が散りばめられている訳では無いので、ポップス音楽的な面を求めるならば、かなり辛い演奏が満載ですね〜(笑)。
 
この『サンベア・コンサート』は、聴き手を選ぶ、アーティスティックな内容を持った「芸術的成果」だと思います。それだけに「CD6枚組ボックスセット」の発売で正解なのだと思います。一般万民に勧めるべきではない、そんな「取扱注意」なアルバムだと思っています(笑)。

さあ、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」(左をクリック)まで、お越し下さい。壁紙など「バレンタイン」仕様で、皆様をお迎えいたしております(笑)。
 
 
 
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2009年1月23日 (金曜日)

たまには「こんなこと」もある

最近、ネットの音楽ダウンロードサイトが充実してきている。僕は長年のMacユーザーなので、ダウンロードサイトといえば、iTunes Store になる。なんせ、Macに完全対応だからね。アップされている音源もかなり充実されていて、ジャズのコーナーはなかなか探索していて楽しい。

今までの見たこともないアルバムを見つけては「こんなアルバムがあるんや〜」とか「うへ〜安い〜」とか独り言を言いながら、ふらふらとiTunes Storeの中を探索している。

但し、ネットの音楽ダウンロードサイトはアルバムに関する記述や解説がほとんど無いので、ダウンロードしてから、「このアルバムって何時の時代のアルバムだっけ」と判らず、慌てることがある。

そんな時は、早速ググっては事無きを得ることが多いのだが、Googleを検索しても、適当な解説のあるサイトに引っかからずに、結局、何のアルバムだか、サッパリ判らないままの「困ったアルバム」も、たまに出てくる。

今回、その「困ったアルバム」になったのが、Gerry Mulligan(ジェリー・マリガン)の『That Old Feeling』(写真左)である。独か英で、2007年に発売されたアルバムらしいのだが、それ以上のことが判らない。演奏毎のパーソネルは、ダウンロードした時に曲目と共に記述があったので判るのだが、どうも、幾つかのアルバムからの寄せ集めのような感じなのだ。
 

Gerry_mulligan_that_old_feeling

 
ちなみに曲名とパーソネルは、以下のとおり。

1.That Old Feeling
(Gerry Mulligan, Lou Levy, Ray Brown, Stan Getz & Stan Levey)
2.Anything Goes
(Gerry Mulligan, Lou Levy, Ray Brown, Stan Getz & Stan Levey)
3.Line for Lyons
(Gerry Mulligan, Joe Benjamin, Paul Desmond, Paul Desmond Quartet & Stan Levey)
4.I'm Beginning to See the Light
(Carson Smith, Chet Baker, Gerry Mulligan & Larry Bunker)
5.Moonlight In Vermont
(Carson Smith, Chet Baker, Chico  Hamilton & Gerry Mulligan)
6.Frenesi
(Bob Whitlock, Chet Baker, Chico  Hamilton & Gerry Mulligan)
7.Lullaby of the Leaves
(Bob Whitlock, Chet Baker, Chico  Hamilton & Gerry Mulligan)
8.Laura
(Bob Brookmeyer, Frank Isola, Gerry Mulligan & Red Mitchell)
9.Five Brothers
(Bob Brookmeyer, Frank Isola, Gerry Mulligan & Red Mitchell)
10.Makin' Whoopee
(Bob Brookmeyer, Frank Isola, Gerry Mulligan & Red Mitchell)
11.Walkin' Shoes
(Bob Brookmeyer, Frank Isola, Gerry Mulligan & Red Mitchell)
12.Bernie's Tune
(Bob Brookmeyer, Frank Isola, Gerry Mulligan & Red Mitchell)
13.The Lady Is a Tramp
(Gerry Mulligan,Bob Brookmeyer, Dave Bailey, Gerry Mulligan, John Eardley, Peck Morrison & Zoot Sims)
14.Nights of the Turntable
(Gerry Mulligan,Bob Brookmeyer, Dave Bailey, Gerry Mulligan, John Eardley, Peck Morrison & Zoot Sims)

出所が判らないのが、ちょっと精神的に気持ち悪いのだが、収録された演奏はどれもなかなか味わいのあるものばかり。西海岸ジャズらしく、ジェリー・マリガンらしく、適度に絶妙にアレンジされた楽曲が、実に小粋に響く。音の重ね方、チェイスの仕方、ユニゾンとハーモニーの塩梅、どれをとっても、1950年代の西海岸ジャズの香りがプンプンする。

アルバムタイトルの『That Old Feeling』というのが、とても「言い得て妙」で、ドラムのリズム、ベースのライン、ハーモニーの響き、フロント楽器の節回し、どれもが、スイング・ジャズの雰囲気が溢れており、曲によっては、デキシーランド・ジャズの微かな香りがする。

アルバム・ジャケットが実に今風で、ちょっと「洒落て」いるので、中身の演奏を聴くと、いったい、いつの時代のアルバムかが判らなくなって面白い。このアルバム、ジャズ喫茶でかかっていたら、このアルバム・ジャケットと中身の演奏を比較して、訳が分からなくなるだろうなあ。

出所が判らないのは、ちょっと不満だけれど、中身の演奏はなかなかなので良しとするか。部屋で本を読みながらのBGMには、もってこいの、ちょっとライトな西海岸ジャズ。雰囲気で聴くジャズとしては、良いアルバムでしょう。価格も安いですし・・・。

音楽ライフを長年やっていると、たまには「こんなこと」もある。でも、出所が判らないのは、ちょっと辛いなあ。誰か知っている人は教えて下さいな〜(笑)。
 
 
 
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2009年1月21日 (水曜日)

たまには「空振り」もある・・・

長年、ジャズのアルバムをコレクションしていると、たまには「空振り」もある。買う前には、ちょっと吟味して「これは」というものをゲットするように心がけてはいるんだが、時折「すけべ心」が出て、失敗することが、たまにある。

今回の「空振り」は、Eddie Henderson(エディ・ヘンダーソン)の『Manhattan In Blue(邦題:黄昏色のマンハッタン)』(写真左)。邦題の「黄昏色のマンハッタン」を見て、これは胡散臭いなあとは思っていたんだが・・・。

エディ・ヘンダーソンの名誉の為に言っておくが、エディ・ヘンダーソンが悪いのではない。このアルバムのプロデュースが悪いのだ。おおよそ、日本のレコード会社に言い含められたのだろう。結果、なんだか訳の分からないアルバムになってしまっている。

エディ・ヘンダーソンのトランペットが、とにかく変。ミュートはマイルス・デイビスの様に吹き、オープンはフレディ・ハバードの様に吹く。といって、どちらの場合も中途半端。心から進んで、こんなペットを吹いているとは思えない。とにかく、聴き手に迎合する吹き方なのだ。誰が言い含めたんだ?

バックもなんだか判らん。中途半端で煮え切らない、消化不良の様なハードバップのリズム。パーソネルを見れば、ピアノはケヴィン・ヘイズ (Kevin Hays) 、ベースがエド・ハワード (Ed Howard)、ドラムスはルイス・ナッシュ (Lewis Nash)ではないか。
 

Eddie_manhattan

 
このメンバーでこのリズム・セクションは無いだろう。型にはまった、煮え切らないリズム・セクション。これではフロントも盛り上がらんだろう。

そして、このアルバムのひとつの「売り」「サプライズ」が、フュージョン・アルトの雄、グローヴァー・ワシントン JR. (Grover Washington Jr.) の参加。かのフュージョンの名盤『ワインライト』をリリースし、「クリスタルの恋人たち」で一世を風靡した、伝説のアルト・サックス奏者である。このフュージョン・アルトの雄が、ソプラノ・サックスを携えて、純ジャズのセッションに参加しているのだ。

で、結果は「イマイチ」。実にショボいソプラノである。聴いていて「がっかり」する。これは完全にミスチョイス。企画としては「これはいけるぜ」と思ったんだろうが、結果は×。それでもリリースしてしまうところが日本のレコード会社らしい。恐らく、ライオン率いるブルーノート・レーベルだったら、いや、他のジャズ・レーベルでも、これは「お蔵入り」ではないか。

ずら〜っと並ぶ、日本人好みの「ど」スタンダード曲のオンパレード、そして、雰囲気優先の邦題「黄昏色のマンハッタン」。どうしてこうなるんだろう。「売りたい気分」丸見えである。それでも「空振り」してしまうんだから、とにかく反省。僕も偉そうに言えたものではない。

パーソネルを見渡すと、なかなかの陣容なのに、この「スカスカ」の、全く引っかかりの無い内容はない。「日本人ジャズ・ファンの好み」という型にはめて、音の出し方からリズムまで、事細かに指示した結果だろう。演奏の水準はまずまずなのに、このメンバーなのに、もうちょっと、なんとかなったのでは・・・。

完全なプロデュース・ミスである。世界のジャズ・ファンに、これが日本人のジャズ・プロデュース能力だと思われたら困るなあ。しかも、スイングジャーナルの「ゴールドディスク」に選定されているとは恐れ入った。

最後にもう一度言うが、演奏メンバーの責任では無い。プロデュースする側の問題だ。いかに優れたミュージシャンでも、良いプロデュースが無いと、優れた才能も台無しになる、『Manhattan In Blue(邦題:黄昏色のマンハッタン)』は、そんな「好例」である。
 

 
 
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2009年1月20日 (火曜日)

隠れた名盤の一枚に浸りきる

いろいろジャズやロックをとっかえひっかえ聴いていると、ふと原点に戻りたくなる。やっぱり、僕の原点と言えば、ハードバップ。ブルーノート。ジャズを聴き始めた頃、なけなしのバイト代をつぎ込んでは、ブルーノート盤を買って、夜な夜な繰り返し聴いては、首をひねったり、感動したり。

今日は、Dexter Gordon(デクスター・ゴードン、愛称デックス)の『One Flight Up』(写真左)を久々に聴く。ブルーノートの4176番。1964年6月2日の録音。1964年といえば、ハードバップ全盛は過ぎ、ジャズのトレンドは、モーダルとフリー、そしてファンキー・ジャズ。デックスといえば、1940年代後半〜1950年代初頭、ビ・バップ時代の人。内容はどうなのか。大丈夫なのか?

パーソネルを見ると、その不安に拍車をかける。Donald Byrd (tp), Dexter Gordon (ts), Kenny Drew (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b), Art Taylor (ds), Frank Wolff (prod) 。ほとんどが、ハードバップ時代の人。

冒頭の「Tanya」を聴いて唖然とする。何度聴いてもこの「Tanya」は、ジャズの、ブルーノートの奇跡だと思う。実に格好良いモーダルな曲を、悠然と憂いタップリにデックスが聴かせてくれる。
 

One_flight_up

 
この曲、ドナルド・バードの筆なる曲と知って、更に唖然とする。なんとジャズは奥が深いのか。デックスがこんなに格好良く、モーダルにサックスを吹くとは想像できなかった。

ペットのドナルド・バードも得意の中音域を活かして、モーダルに吹き進む。ペデルセンのベースは、ピッチがばっちり合って、ブンブン響き渡る。テイラーのドラムスも控えめながらも、決めるところは決めて、メリハリの効いた職人芸を聴かせる。ピアノのドリューも堅実実直ながらも、ちょいと黒いサウンドでサポート。

ミディアムな曲が主で、これがまた聴かせる。バップ時代のバリバリのバップ演奏家達が、ポスト・バップな、実にモダンでモーダルな演奏を繰り広げる。収録された演奏はどれも、モダンで格好良い。ブルーノートらしくリハーサルを十分に積んだんだろう、ミスらしいミスが見当たらない、完璧な演奏。実にアーティスティック。

1枚のアルバムで、アーティスティックなジャズを感じたい、という人にはこのアルバムを聴かせたい。ジャズ入門書を賑わす人気盤と比べても、説得力はこの『One Flight Up』も負けてはいない。

こういうアルバムは、小粋な雰囲気のあるジャズ喫茶で聴きたいねえ。「隠れた名盤」というのは、やっぱり、隠れたものとして「ジャズ喫茶などで語り継がれる」というのも「オツ」かなあ、とも思ってしまうのだ。
 
 
 
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2009年1月19日 (月曜日)

これはたまげた、驚いた〜!

長生きはしてみるものだ、とつくづく思うことがある(笑)。今回、サブプライムローン問題〜不況の影響で、思わぬレベルでの円高となった。米国に進出する企業にとってはかなり重篤な打撃となるのだが、ひょんなところに、その効果がプラスに出てくることもある。

最近、米国盤のCDが異様に安くて手に入るようになってきている。CD関連のネットショップをこまめにチェックしていると、「え〜っ」というくらい安価に、お目当てのCDが手に入る状況に遭遇する。

今回、ジェフ・ベックの80年代以降のアルバムが、千円以下で手にはいることが判った。うへ〜っ、千円以下か〜。ということで、『Jeff Beck's Guitar Shop』『Who Else! 』『You Had It Coming』『Jeff』の4枚を一気にゲット。これで、ジェフ・ベック名義の公式盤は全て手に入ったことになる。素直に嬉しい。

で、今日、早速聴いたのが『Jeff Beck's Guitar Shop』(写真左)。1989年リリースのオール・インストアルバム(効果音的なボーカルは入っていますが)。超絶技巧ドラマーであるテリー・ボジオ(Terry Bozzio)との共演。キーボードはトニー・ハイマス(Tony Hymas)。
 

Guiter_shop

 
ちょっと他に例を見ない「ベースレス・トリオ」での録音。まあ、ビートをキープするならドラムで十分、音の厚みを実現し、ギターの音の隙間を埋めるならキーボードで十分、ってところで、ベースはいらん、ということでしょう。

で、これがですね、凄い内容のギター・インスト・アルバムなんですよ。1989年という時代の録音っていうことを考えると、十分過ぎるほどの豊かなエコーがちょっと気に入らないですが、リズムは打ち込みでは無く、人間系のリズム・セクション、アナログチックな雰囲気が実に良い。そして、そのリズムが実に「トンガって」いて、低い重心で、超弩級の響き。

その超弩級のリズム・セクションの響きをバックに、ジェフがうねるように、叫ぶように、鼻歌を歌うように、とにかく「好き勝手に」ギターを弾きまくっている。超絶技巧なテクニックでグイグイ押すのでは無い。超絶技巧なテクニックで押すのであれば、1970年代の『Blow by Blow』や『Wired』が圧倒的に上を行く。

でも、このアルバムを聴いて感動するのは、エレキ・ギターって、こんなにも歌うような音色が出せるんだということ、こんなにも色彩豊かな音色が出せるんだということ、こんなにも陰影豊かな音色が出せるんだということ、こんなにも太い暴力的な音が出せるんだということ。

エレキ・ギターを歌わせる、響かせると言う点で「最高峰」のアルバムの中の一枚である。いやはや、ジェフは凄い。ロック・ギタリストの中で、インスト・ギターを聴かせる点では最高の部類やね。1989年という時代で、この「トンガッた」音を聴かせてくれていたとは。「これはたまげた、驚いた〜!」である(笑)。
 
 
 
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2009年1月18日 (日曜日)

隠れた名盤は意外と沢山ある

ジャズの世界は意外と広くて深い。ジャズの入門本やアルバムの紹介本で紹介されている、名盤、佳作の類はほんの一部、氷山の一角であって、隠れた名盤ってやつは意外と沢山ある。だから、ジャズのアルバム蒐集って趣味は面白いってこと。

今回、出会った隠れた名盤は『ダンディズム』(写真左)。日本ジャズ界のジャズ・ギターの雄、渡辺香津美とジャズ・ピアノの雄、小曽根真(写真右)のデュオである。

このアルバムに惹かれた動機は1曲目の収録されている「スペイン」という曲の存在。以前にもこのブログで書いたとは思うが、僕はこの曲が大好きで、この曲を含むアルバムは、見境なく購入してしまう傾向にある。その傾向の中で、有無を言わせず即ゲット。
 

Dandyism

 
で、このデュオ・アルバム、「スペイン」はとにかく健闘している。日本人ジャズ・ミュージシャンがこのスパニッシュ色濃厚な、この演奏難易度の高い「スペイン」をここまで弾きこなすとは思わなかった。

ちょっと堅さが気になるが、スタジオ録音っていう環境もあるだろう。ライブで聴きたい。日本ジャズのミュージシャンのレベルもいよいよ世界レベルになってきたなあ、ということを実感する。

全編通じて、非常に生真面目で、日本人らしさを感じる、素敵なデュオです。もう少しノリが欲しいなあというところもありますが、それだけ、ギターとピアノのデュオは難しいということ。ここまで出来れば御の字です。逆に、ビル・エバンスとジム・ホールの『アンダーカレント』というアルバムは奇跡に近い成果と言えると思います。

「平成の『アンダーカレント』と呼ばれれば嬉しい」と渡辺香津美はのたもうたらしいが、なるほど、それだけの内容がある素敵なデュオである。いや〜、良いものを聴かせてもらった。このアルバムも隠れた名盤の一枚である。
 
 
 
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2009年1月17日 (土曜日)

栴檀(せんだん)は双葉より芳し

栴檀(せんだん)は双葉より芳し、という言葉がある。大成する人物は、子供のときから人並み外れて優れたところがあるということ。香木である栴檀は双葉のころから芳香を放つ。音楽の世界でもこの諺があてはまる。優れたミュージシャンは、若い頃から人並み外れて優れたところがある。そして、若い頃からの個性はいつまでも個性でありつつける。

最近、ジャズ・ギターを聴き直して、いや〜勉強し直しているというのが正確なところかな、ジャズ・ギターを良く聴く。そんな中、久しぶりに聴き直して、その内容に改めて感心したのが、John Scofield(ジョン・スコフィールド)の『John Scofield Live』(写真左)。

1977年のリリースである。1977年、ベルリン・ジャズ・フェスティバル出演のためにドイツを訪れていたスコフィールドのグループが、ミュンヘンのライブハウス「DOMICIL」で行ったギグの様子をライブ録音として収録したもの。

パーソネルは、JOHN SCOFIELD (g), RICHIE BEIRACH (p), GEORGE MRAZ (b), JOE LABARBERA (ds)。実に強力なメンバーである。当時、中堅として先端を走っていたリッチー・バイラーク・トリオに、ジョンスコが乗っかった格好。
 

John_scofield_live

 
当時の十八番だったオリジナルの「V」からスタート、ジョンスコ節全開!。この「ジョンスコ節」というのがカギ。音が空中に浮かぶような浮遊感を伴った、そして、特徴あるフレーズはモーダルな雰囲気。1960年代までのジャズの成果を継承し、その成果をエレキギターで表現し、更に発展させていく、そんなジョンスコの太い音色の「強くてマイルド」なギターが素晴らしい。

躍動感抜群。そして、1977年の録音らしい、今までのジャズの世界にない新鮮な響きが癖になる、麻薬的なライブアルバムです。う〜ん、いつの時代も、逆風の時代でも、ジャズは発展するんやなあ。フュージョンでは無い、といって、1960年代までのハードバップを基調としたレガシーな響きでもない、エレクトリック・マイルスの音を基調としながらも、純ジャズ寄りに全体の雰囲気をシフトした「新しい響き」。

ジョンスコが、変態になりきる少し前の、ノーマルな寄りのギタープレイが聴くことが出来るのが、このアルバムの最大の価値。発売当時は、もちろんLPで収録曲は4曲。ちょっと蛇足っぽく、CD化で2曲が追加収録されています(4曲目「Air Pakistan」、5曲目「Jeanie」がそれにあたる)。でも、内容的に、より優れているのは、当然のことながら、オリジナル収録の4曲でしょう。

ラストの「Softly, As in a Morning Sunrise」は、実にユニークな出来。ジョンスコでしか表現できない、ワン・アンド・オンリーなスタンダード解釈がここにある。当時ジャズ喫茶で頻繁にリクエストされていたそうですが、至極納得の素晴らしい出来、斬新な響きの「Softly, As in a Morning Sunrise」です。

1977年は「フュージョン全盛時代」の後半。そのフュージョン全盛の中で、純ジャズの世界で、これだけの成果が残されている訳ですから、ジャズっていう音楽ジャンルって、奥が深くて、懐が深い。
 
 
 
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2009年1月16日 (金曜日)

孤高の人、ニール・ヤング

昨日、1960年代の終わりから1970年代初頭にかけては、猫も杓子も「スワンプ」な時代、と書いたが、そんな「スワンプ」全盛時代にも関わらず、我関せずと、自分流のロックを悠然とやっている奴らもいる。

僕が昔から「孤高の人」として敬愛して止まないニール・ヤングも、その一人である。「懐かしの70年代館」の時代からは、ちょっとだけ外れるので、反則と言えば反則なのだが、今日は、Neil Young & Crazy Horseの『Everybody Knows This Is Nowhere(邦題:ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース)』(写真左)を聴く。

1969年5月のリリースなので、「スワンプ」真っ只中でのリリースなんだが、これが悠然と「ニール・ヤング」の個性をドップリと振りまいて、それはそれは個性的な音楽に仕上がっているのだ。周りは皆、あからさまに「スワンプ」しているのにね。

とにかく、バック・バンドのクレイジー・ホースが、重心の低い、悠然とハードなロック・ビートを前面に押し出して、独特の個性を獲得していることが大きい。この独特な個性を既に獲得しているクレイジー・ホースをバックに従えているところに、ニール・ヤングの先進性と普遍性がある。
 

Everybody_knows

 
でも、しっかりと耳を傾けると、バックバンドのクレイジー・ホースの演奏の中に、サイケデリック・ロックの流行フレーズがちょこっと顔を出したりするところが、実に可愛い。でも、ギターとベースの重心の低さとフレーズの荒々しさが故に、明らかにサイケデリック・ロックにはならないところが「ミソ」。

穏やかなカントリー・フォーク調の「Round & Round (It Won't Be Long)」などを聴くと、クレイジー・ホースのハードな演奏の中に、そこはかと無く、隠し味的に「アメリカン・ルーツ・ロック」のエッセンスを散りばめているところが実に「ニクイ」。そう、隠し味的に「スワンプ」色を漂わしているところが、実にセンスが良い。

そして、ニール・ヤングの独特のギター・スタイルと、丸く「くぐもるような」個性的なボーカル、そして、あふれ出るような歌心。たまりませんね。

他の「スワンプ」色を全面押し出したアルバムは、今の耳で聴くと、どうしても古さや懐かしさが先に立ってしまいがちだが、この『Everybody Knows This Is Nowhere』は違う。隠し味的に「スワンプ」色を漂わしているセンスが、今の耳でこのアルバムを聴いても、全く古さや懐かしさを感じさせない。

う〜ん、「孤高の人」ニール・ヤングの面目躍如やねえ。
 
 
 
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2009年1月15日 (木曜日)

猫も杓子も「スワンプ」な時代

1960年代の終わりから1970年代初頭、ロック界は「スワンプ」な時代だった。猫も杓子も「スワンプ」な時代。1960年代半ばは、ブルースな時代。ブルース・ロックに飽きて、次はスワンプ・ロック。特に、英国系ロック・ミュージシャンほど、スワンプへの憧れは強かった。

スワンプとは、もともとはアメリカ南部の湿地帯を指す言葉。ロックの世界では、ゴスペルやブルース、それにカントリーやリズム&ブルースといった米国南部の音楽に憧れ、様々な米国南部の音楽をミックスしたロックのことを指す。そのスワンプは、サイケデリック・ミュージック全盛時代に出現し、ポジションを入れ替わるようにしてシーンの主流となった。

英国ロック・ミュージシャンにその傾向が強かったが、米国西海岸も負けてはいない。Creedence Clearwater Revival を始めとして、こぞって「スワンプ」。まあ、英国ロックよりも米国西海岸の方が、スワンプへの傾倒はスマートだったけど。サイケデリック・ロックの喧噪の後、癒しを強く求めていたのが西海岸。米国南部そのもののゴツゴツしたスワンプより、洒落てスマートなスワンプが求められたのだろう。

1970年にリリースされた、Stephen Stills(ステーブン・スティルス)の『Stephen Stills』(写真左)も、バリバリ「スワンプ」な一枚。

Stephen_stills

冒頭の「Love the One You're With(邦題:愛の賛歌)」は、ゴスペルチックな高揚感を湛えたスワンプ・フォーキー・ファンクとも言うべき名曲。というか、これってもうゴスペル。あまりに「ど真ん中」なゴスペルなノリには、ちょっと苦笑。冒頭の「Love the One You're With」だけでは無い。このアルバム全編に渡って、ゴスペル的な雰囲気が蔓延している。

リズム&ブルース的雰囲気はどこへ行ったと思ったら、4曲目「Old Times Good Times」、5曲目「Go Back Home」に辺りからしっかり漂っていました。と思ったら、4曲目はジミ・ヘンのギター、5曲目はクラプトンのギターが大活躍。この2曲のリズム&ブルース的雰囲気は、この2大伝説的ギタリストに負うところが大きい。でも、このアルバムの後半からラストに進むに従って、リズム&ブルース大会になって、あまりのリズム&ブルースさに、これもちょっと苦笑気味。

いや〜、1960年代の終わりから1970年代初頭って、ホントにロック界は「スワンプ」な時代だったんですね。ラストの「We Are Not Helpless」は、これまたゴスペル色満点。

いやいや、『Stephen Stills』ってアルバム、スワンプというよりは、ズバリ、ゴスペル調とリズム&ブルース調ロックの大宴会の様なアルバムですね。クールなオルガンの音色、パーカッションが弾むリズム、軽快に刻まれるギター、ゴスペル色の強いハッピーなコーラス。アメリカン・ルーツ・ロックが好きな方には絶対お勧めの名盤です。
 
 
 
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2009年1月14日 (水曜日)

味のあるキャノンボールを愛でる

ジャズの入門書やそのミュージシャンの紹介記事にも、ほとんど顔を出さないアルバムだけれども、自分の中で、密かに愛聴しているアルバムがある。

このキャノンボール・アダレイの『Cannonball Takes Charge』(写真左)。ハードバップ全盛期の1959年4月の録音。パーソネルは、Cannonball Adderley (as) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Jimmy Cobb (ds)。アルトのキャノンボールに、ケリーのピアノ・トリオがバックについた、いかにもハードバップらしい布陣である。

ワンホーン・カルテットということもあり、キャノンボールの歌心が満喫できる。曲目もスタンダード中心で、聴きやすく魅力的。キャノンボールは、軽やかにノリのいいアルトを満喫させてくれる。いや〜、ホントに上手いですね。しかも歌心もあり、そこはかとなく漂うファンキーの香りも芳しく、心からスカッとしますね。

過去、上手すぎるとか、健康優良児っぽい「明るすぎる」アルトとか、ファンクの商人などと、とかく陰口を叩かれがちなキャノンボールであるが、絶対にそうではない。
 

Takes_charge

 
上手くてどこが悪いのか。憂いを帯びていなくて「明るすぎる」などと誰が言うのか。ファンキーさが受けて、ヒットして売れてどこが悪いのだろう。どうも過去のジャズメンに対する評価は屈折していていけない。ジャズに何か途方もない別の何か求めていたんだろう。

2曲目のバラード「 I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry」を聴いて欲しい。フレーズの美しさ、愁いを帯びたダルな雰囲気も良い。キャノンボールの引きずるような感じのアルトが癖になる。キャノンボールは、脳天気なアルトでは無い。これだけ優れた演奏が出来る、数少ない伝説のアルト奏者なのだ。

収録されているどの曲も聴いても、惚れ惚れするわ、楽しいわ、ノリノリになるわ、グッと聴きこむわ、どの曲もアピール・ポイントがしっかりとあって、良い出来の演奏ばかりです。気軽に聴ける割に、聴くとどんどん引き込まれて、ついつい聴きこんでしまう、磁力のような不思議な魅力のあるアルバムです。

バックのウィントン・ケリーを始めとするピアノ・トリオも良いバッキングをしています。特に、ケリーは、ハッピースインガーな面をグッと押さえて、シックにまとめているところがニクイ。

決して、ジャズの入門書やキャノンボールのアルバム紹介には、なかなか顔を出さないアルバムですが、お勧めです。キャノンボール・アダレイは優れたアルト奏者です。このアルバム一押しです。
 
 
 
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2009年1月13日 (火曜日)

聴き手を悩ませるアルバム

ジャズのアルバムを聴く楽しみの一つに、演奏を聴きながら、誰のプレイなのか、その癖、その音色を聴きながら類推する、いわゆる「ブラインド・テスト」的な聴き方がある。

ジャス・ミュージシャンというのは、それぞれ、個性のかたまりなので、音を聴くだけで、大体誰が演奏しているかが、なんとなく判る。これは誰それ、これは誰それ、と思いながら、パーソネルを確認し、当たったら、何となく一人でご満悦なのだ(笑)。

しかし、時には、誰のプレイなのか、さっぱり判らなくて、オロオロしてしまうアルバムがある。その一枚が『コルトレーン・タイム』(写真左)。コルトレーンの名が冠されているので、コルトレーンのリーダー作と思ったら、これが大間違い。

フリージャズ・ピアノの先駆者セシル・テイラー(写真右)のリーダー作として制作されたもので、当初のタイトルは『ハード・ドライヴィング』。それが途中から現在のタイトルに変更され、あたかもコルトレーンのリーダー作のように扱われるようになったもの。

パーソネルは、ジョン・コルトレーン(ts), セシル・テイラー(p), ケニー・ドーハム(tp), チャック・イスラエル(b), ルイス・ヘイズ(ds)。アルバムを聴き進めると、コルトレーンのテナーはすぐ判る。ドーハムのトランペットも暫くすると判る。

セシル・テイラーは、フリージャズ・ピアノのスタイルの先駆者。清濁相見え、混沌としたフリー・ジャズの世界の中で、音楽性を前面に押し出したフリー・ピアノを成立させた孤高の存在。でも、このアルバムが録音されたのは、1958年。ハードバップ全盛期の中、フリー・ピアノの怪人・セシル・テイラーは、びっくりするほどオーソドックスなハードバップをやっている。
 

Coltrane_time

 
よって、ピアノが誰なのかが判らない。ソロの部分を聴くと、セロニアス・モンクか?と思うが、モンク独特のタイム感覚とは違う、意外と普通のタイム感覚で「モンク風」に弾いているので、モンクでは無い、ということは判る。

フロントのバッキングに回ると、これは一聴するとすぐモンクでは無いのが判る。バッキングのコンピングが明らかに「普通」というか、あまりに普通すぎて「素人か」とも思ってしまうほど。でも、和音の重ね方は独特のものがあって、しばらく聴いていると「ただ者」で無いことが判るから困る。

誰だ〜これは〜、と、この『コルトレーン・タイム』を初めて聴いた時は、激しく戸惑った。パーソネルを確認してみて、ちょっと納得、セシル・テイラーだったんですね。いや〜、フリー・ピアノの怪人セシル・テイラーも、この頃は、ハードバップ全盛の中で、ちょっと「トンガって」いたんですね〜。

今の耳で聴くと、このセシル・テイラーの「モンクもどき」のピアノをバックに、上手く隙間を見つけながら、ソロをドライビングしていくコルトレーンには、改めて感心した。さすがコルトレーンである。コルトレーンはハード・バップ、モード、フリーを駆け抜けたジャズ・ジャイアントであっただけに、彼の未来を予感するような演奏である。

逆に、このセシル・テイラーの「モンクもどき」のピアノをバックに、全く乗り切れないのが、トランペットのケニー・ドーハム。らしくないフレーズを奏でながら苦戦しています。そうやね、ドーハムにフリーは似合わない(笑)。
 
 
 
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2009年1月12日 (月曜日)

「懐かしの70年代館」の更新です

久しぶりに「懐かしの70年代館」を更新しました。コンテンツにアップするには、ちょっといろんな角度から研究する必要がある、難物なミュージシャンが残ってきて、この半年間、勉強期間として、アルバムを聴いたり、本を読み漁ったりしてきました。

今回の更新は『My Favorite Rock』の部屋、「ウエストコースト・ロック」のコーナーの更新です。やっとこさ、「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(Creedence Clearwater Revival)」のコンテンツをアップしました。

このCCRって結構難物なんですよね。CCRの本質は「サイケデリック・ロック」。特に、John Fogerty(ジョン・フォガティ)のリード・ギターのフレーズ、Stuart Cook(ステュアート・クック)のベース・ラインに「サイケデリック・ロック」的な雰囲気が色濃く出ています。

Ccr_pict

1960年代後半のサイケデリック・ロックの雰囲気を引きずりながら、アメリカン・ルーツ・ミュージックの雰囲気を採り入れて、独特の個性を持ったバンドだった「CCR」。

イーグルスとドゥービー・ブラザースに挟まれて、1960年代後半、ヒッピー・ムーヴメントから生まれたサイケディック・ロックの生き残りとしての音を、そこはかとなく香らせながら、微妙な位置をキープしていた1970年代を中心に、CCRをご紹介しています。

内容的には、このブログで語ってきた「CCR」に関する記事をホームページ向けに再編集したものですが(^_^;)。足かけ2年でやっとこさ、「懐かしの70年代館」にアップできました。

そうそう、ついでに「ジャズ・フュージョン館」の壁紙やアニメをお正月バージョンにお色直ししておきました。よくよく見たら、クリスマス・バージョンのままでした(笑)。
 
さあ、バーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」(左をクリック)に是非一度お越し下さい。
 
 
 
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2009年1月11日 (日曜日)

時には初心に帰って・・・

大学に入って、ジャズに出会って、最初のアイドルは、マイルス・デイビスとビル・エバンス、そして、チック・コリアだった。特に、チックの音楽は、他の二人に比べて分かりやすく、純ジャズとフュージョンの両刀遣いというのも、ロックからジャズに移行した僕にとっては好都合だった。

チックの純ジャズ系の出会いは、ジャズ入門書をそのまま鵜呑みにして、『Now He Sings, Now He Sobs』であった。1曲目「Matrix」にはワクワクしたもんだ。でも、ジャズ聴き始めの頃、チックはフュージョン系全盛期。当時は、フュージョン系アルバムを聴き漁った。

チックのデビューの頃、1960年代後半〜1970年代前半の時代の「純ジャズ」系のアルバムを聴くようになったのは、1990年代に入ってから。CDフォーマットが市場に定着し、LP時代のアルバムが、CDにて再発されるようになってからである。

そんなチック初期の「純ジャズ」系アルバムの中で、今日は、Chick Corea『Inner Space』(写真左)を聴く。
 

Inner_space

 
このアルバム、ちょっと内容が複雑で、1曲目「Straight Up And Down」と2曲目「Litha」が、1966年録音の初リーダー作である「Tones For Joan's Bones」から。3曲目「Inner Space」と5曲目「Guijira」が同アルバムの未発表曲である。4曲目「Windows」と6曲目「Trio For Flute, Bassoon And Piano」は、Hubert Lawsの1968年録音「Laws' Cause」からの曲。これらを集めて、1973年に発売されたアルバムが、この『Inner Space』。

チック初期のベスト・アルバムとでも言いたげな選曲ではあるが、どうしてこんな変則アルバムを出したのか不思議である。発売年が1973年ということから考えると、かの大傑作大名盤『Return To Forever』の大ヒットにあやかった、便乗リリースだったのかもしれない。

でも、このアルバム、内容は良い。新主流派の奏法に沿いながらも、前衛風、近代音楽風の演奏スタイルを、そこはかとなく織り交ぜて、タッチは硬質、それでいて奏でる旋律はメロディアス。明るさの中にメランコリックな影の部分を織り交ぜた、陰影のある曲想。チック・コリアの個性が、もうこのチックの初期のアルバムに明確に出ている。

確かに、この頃のチックの純ジャズ系のアルバムには、ジャズ・ピアノとして、今までに無い「新しい風」を感じる。チックの「知性」を感じることの出来る佳作の一枚でしょう。

時には初心に帰って、若い頃からのお気に入りのミュージシャンのアルバムを、だ〜っと聴き倒すというのも楽しくて良いですね〜。いや〜、スカッとしますわ。良い汗かいた感じです(笑)。
 
 
 
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2009年1月10日 (土曜日)

V.S.O.P.「ライブ・イン・USA」

ちょっと昨日は本音を出し過ぎた。僕は大丈夫です。これしきのことで、挫けることはありません。逆にやる気が出てきています。邪魔があればあるほど、今まで僕は本気を出してきました。

さて、僕の中で、フレディ・ハバードの追悼はまだまだ続いている。学生時代、ジャズを聴き始めた僕がフレディ・ハバードに出会ったのは、ハービー・ハンコックが主催したV.S.O.P.(Very Special Onetime Performance)の『ニューポートの追想』。こんなに上手いトランペッターがいるんや、ジャズって凄いなあって、正直に思った。

そのV.S.O.P.のアルバムを順番に聴いている。V.S.O.P.The Quintetでのライヴ録音は幾枚か出ているが、その中で、一番愛着があって、一番良く聴いているアルバムが『The Quintet(邦題:ライブ・イン・USA)』(写真左)。V.S.O.P.のライブ・アルバムの中で、一番、まとまっていて、一番、メンバーが熱いパフォーマンスを繰り広げている。

でも、ジャズを聴き始めた大学の頃には、そんなことはさっぱり判らなかった。ただ、2曲目のロン・カーター作曲の「サード・プレーン」の、ほのぼのとした柔らかい曲調が好きで、この、ほのぼのとした、聴いて楽しい「サード・プレーン」の存在だけで、この『The Quintet(邦題:ライブ・イン・USA)』を聴き続けたのが本当のところ。

今の耳で聴くと、メンバーそれぞれが、素晴らしいパフォーマンスを繰り広げている。テナーのウェイン・ショーターは、自分のライブ・パフォーマンスについては、とても辛くて、なかなか自分のライブ・パフォーマンスをアルバムに残すことを良しとしない。そのショーターがOKを出しているアルバムである。当然、彼のパフォーマンスは素晴らしい。

Vsop_the_quintet

リーダーのハービーは当然素晴らしい。やはり、ハービーは脇役に回った、伴奏に回った時は、実に素晴らしい。ソロなど鬼気迫るほど。70年代の彼のベスト・パフォーマンスのひとつがこのアルバムに記録されている。

ドラムのトニー・ウィリアムスは、それはそれは、天才的なドラミングを惜しげもなく披露する。何本手があるんや、何本足があるんや、と戸惑うばかりのポリリズム。ロックのドラマーなど、そのほとんどが足下にも及ばない。

そして、ベースのロン・カーター。これがこれが、アタッチメント付けてブヨンブヨンという音ではありながら、なんとピッチがまずまず合っていて、芯があるベースを供給する。ロンの真価を感じることができる、なかなかに凄みのあるベースである。

そして、トランペットのフレディ・ハバードと言えば、絶好調である。出だしの「One of a Kind」から絶好調。それもそのはず、この「One of a Kind」は、ハバードの作であった(笑)。ラストの「Birdlike」もそう。スピード感満点のトランペットが素晴らしい。ハービー・ハンコック作の「Darts」から「Dolores」に至っては、ハードに吹きまくるだけ吹きまくって、実にカッコ良い。

今の耳で振り返ってみて、このV.S.O.P.の『The Quintet』は、70年代のハードバップ・ジャズの最高峰を示すアルバムの一枚だと思います。モード的な演奏も、全く違和感なく演奏できるバンドって、そうそうあるものではないと思います。そういう意味で、このV.S.O.P.は凄いバンドでした。そして、それぞれのメンバーも素晴らしい。

そんな中に、トランペッターとして参加したハバード。今から思えば、実に幸せな、実に運の良いミュージシャンだったと言えるのではないでしょうか。
 
 
 
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2009年1月 9日 (金曜日)

滅入った時に「In My Life」

本業の突発事故で、昨日のブログはお休みした。突発事故とはいっても、そんなに重大なトラブルでは無い。重大なトラブルの方が対応のし甲斐もあるし、ブログの休み甲斐もあるってもんだ。そうでないから、心が滅入る、そうでないから、心底疲れる。

人間は一人では生きられない。人は人に支えられて生きている。ビジネスは人が創る。人と人との繋がりがビジネスを創っていく。人と人とが歴史を創っていく。僕はそう信じて疑わない。今でも強く信じている。でも、その「人」って、最低限の人格と品格を兼ね備えた「大人」の人達でなければならない。

今回の突発事故は、実に子供じみた、実にプロとして情けない仕業だけに、心が滅入る。心底疲れる。彼らには、残された時間は無尽蔵にあるのだろう。でも、僕に残された時間は思ったよりも限られている。彼らには帰る場所があるんだろう。僕には帰る場所が保証されている訳ではない。まあ、その緊張感が、今でも現役を務めあげることが出来ている原動力にはなっているんだけどね。

心が心底疲れた時、心が心底滅入った時、聴きたくなる楽曲は、子供の頃、ロックに目覚め始めた中学の頃、心底、感動した楽曲が聴きたくなる。今日は、ビートルズの「イン・マイ・ライフ」が無性に聴きたくなる。「イン・マイ・ライフ」は、ビートルズ後期の傑作『ラバー・ソウル』(写真左)に収録された、ジョン・レノンの楽曲の中でも、僕にとっては大のお気に入りの1曲。

In_my_life

There are places I remember
All my life though some have changed
Some forever not for better
Some have gone and some remain
All these places had their moments
With lovers and friends I still can recall
Some are dead and some are living
In my life I've loved them all
............

心に残る 場所がある
もう変わってしまった場所
苦い思いがつきまとう場所
忘れ去ったり 心に留まり続ける場所
それぞれに大切な瞬間がある

大切な かけがえのない人達とともに 今も思い出す 
すでに逝ってしまった人 元気でいる人
僕が心から大切に思うすべての人達
............


とにかく、疲れた。それでも、一波乱は去った。でも、最低限の人格と品格を兼ね備えることのない、子供の様な人々の仕業である。また、一波乱あるだろう。でも、今はゆっくり眠りたい。今晩から明朝にかけて、ぐっすりと眠りたい。とにかく、僕の進む道を邪魔しないで欲しい。僕に残された時間は案外に短い。
 
 
 
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2009年1月 7日 (水曜日)

フレディ・ハバードと言えば・3

今日もフレディ・ハバードの追悼である。ハバードの生前、僕は、熱心なハバードのファンでは無かった。ブルーノートのハバードの諸作は聴いてはいたが、1970年代以降のハバードの諸作については、はっきり言ってサボっていた。

今回、ハバードの訃報に接して、ハバードのアルバムを集中して聴くにつけ、ハバードの才能の素晴らしさに改めて感動した。

ハバードについては、上手すぎるとか、テクニックをひけらかしすぎるとか、上手すぎて面白く無いとか、結構、トランペットを吹いたことの無い、素人の俄評論家の人達に「心無い評価」をされ過ぎた。上手くて何が悪い、テクニックがあって何が悪い。特に日本では、ジャズに何か見当違いなものを求める人達に、妙な評価、観点を好きに語らせ過ぎたきらいがある。

プロで無い素人が、トランペットを吹いたことのない素人が、まずはリスペクトの念を持たずに、好き勝手に、プロに向かって、上手すぎるとか、テクニックをひけらかしすぎるとか、上手すぎて面白く無いとか、身勝手な評価をするべきではないだろう。そんな身勝手な評価は、人として、公に公表すべきではないだろう。

Sweet_return

さて、ちょっと興奮したきらいがあるが、熱心なハバードのファンでは無いながら、1980年代のハバードのアルバムで、一番好きなアルバムが『Sweet Return』(写真左)。抑制の効いた、バックのサポートも素晴らしい、松和のマスター「一押し」の、1980年代のハバードの佳作である。

バックのメンバーを見渡すと、いやはや、今の目でみるとオールスターキャストではないか。特に目立つのは女流ピアニスト、ジョアン・ブラッキーン。最初聴いた時は誰だ、誰なんだ、と焦りに焦った(笑)。素晴らしい人選である。絵に描いた様にリリカル、ドライブ感溢れるピアノは秀逸。ロイ・ヘインズで硬軟自在、エディー・ゴメスのベースは堅実にビートの底を支え、ルー・タバキンのテナーは実に手堅い。

そして、主役のフレディ・ハバードと言えば、ここでのハバードは「抑制の効いた」ハバード。秀逸である。硬軟自在、柔軟自在、しっかりと吹き過ぎを押さえて、歌心を前面に押し出している。「Calypso Fred」の様な楽しいカリプソ・チューンもあって、ハバードの独壇場である。

恐らく、1980年代前半のハバードが、ハバードのピークの時代であったと思う。当時、新伝承派、ウィントン・マルサリスが、トランペットの神童として「もてはやされた」が、このアルバムでのハバードに比べたら足下にも及ばないではないか。

なぜ、当時のハバードが、ウィントン以上に評価されなかったのか。ここに商業主義のレコード会社の問題が露呈されていると思っている。僕たち聴き手も含めて猛省を促したい。僕も結構反省してます。
 
 
 
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2009年1月 6日 (火曜日)

フレディ・ハバードと言えば・2

今日もフレディ・ハバード追悼である。昨日『Red Clay』をご紹介したが、この『Red Clay』よりも愛聴しているハバードのアルバムがある。1963年録音の『The Body & The Soul』(写真左)である。

当時のジャズ・メッセンジャースの仲間を中心に、スモール・コンボ、ビッグ・コンボ、そして、ビッグ・コンボ+ストリングスの3種類の編成で録音されている。ハバードが25歳になる直前と直後の3回のセッションで録音されている。重ねて言うが、この時、ハバードは弱冠25歳である。

このアルバムでのハバードは、全く吹き過ぎていない。抑制の効いた、実にテクニカルで情感豊かなトランペットを聴かせてくれる。惚れ惚れする。聴き惚れてしまう。

加えて、ビッグ・コンボとストリング入りのアレンジはウェイン・ショーターが務めている。このアレンジが実に秀逸なのだ。ウェインの並外れた才能が垣間見える。実に個性的で優れたアレンジである。このウェインのアレンジについては、もっと聴かせて欲しいものだ。
 

Hubbard_body_and_soul

 
スモール・コンボのパーソネルを見るだけでも心が震える。FREDDIE HUBBARD (tp), WAYNE SHORTER (ts), ERIC DOLPHY (as & fl), CURTIS FULLER (tb), CEDER WALTON (p), REGGIE WORKMAN (b), LOUIS HAYES (ds)。改めて見渡すと、いやはや錚々たるメンバーである。特に、ドルフィーのソロが素晴らしい。ヘインズのドラムも鬼気迫るものがある。

ハード・バップの成熟の頂点を感じる、実に優れた演奏ばかりである。このアルバムを通して聴くと、ハード・バップの成熟を感じる。アレンジされた抑制されたサイドメンをバックに、それぞれがテクニカルで優れたソロを聴かせるのだ。

ハバードのアルバムの中で、松和のマスターこと、僕の一番のお気に入りのアルバムがこの『The Body & The Soul』。ハバードの作品中、あまり話題にならない作品であるが、彼の作品の中で、異色作にして「知る人ぞ知る傑作」だと思っている。
 
 
 
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2009年1月 5日 (月曜日)

フレディ・ハバードと言えば...

フレディ・ハバード追悼である。今日の音楽はハバード一色。フレディ・ハバードと言えば、やっぱり、まずはこれだろう。1970年の録音。CTIレーベルからリリースされた『Red Clay』(写真左)。

パーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Joe Henderson (ts), Herbie Hancock (el-p), Ron Carter (b,el-b-3), Lenny White (ds)。ハービーがエレピとオルガンを弾き、ロンがエレベを弾く。いや〜、時代を感じさせますなあ。

CTIレーベルというと、ずばりフュージョン。ストリングスを加えたイージーリスニング調の演奏をイメージしてしまうが、このアルバムは違う。ハービーがエレピとオルガンを弾き、ロンがエレベを弾くからといって、フュージョンでは無い。このアルバムは歴とした「ハード・バップ」である。

冒頭「Red Clay」の前奏で、ぷへ〜っ、ぷぷぷぷ〜っていう、間延びした前奏でちょっとズッコケるが、続いて出てくる、シンプルで刻むような8ビート。初めて聴いた時は、マイルスの「スタッフ」をパクってる、と思ったもんだ。でも、その後の展開は、シンプルでカッコ良い。

そう言えば、このアルバムに収録されている「Red Clay」と「Intrepid Fox」は、彼のライブで、頻繁に演奏される「十八番」のレパートリーでしたね。
 

Red_clay

 
伴奏に回ったハービーのエレピもなかなか良い雰囲気を出している。エレピを弾きこなすには、まだまだの演奏なんだが、ハード・バップのピアノをそのままエレピに置き換えた様な演奏で、今の耳で聴くと、これはこれで「あり」かなっと。

ハービーより、ロンのベースが素晴らしい。鬼気迫るようなベース・ラインに惚れ惚れとする。良く聴くと、このアルバムでのロンのベースのピッチは合っている。ピッチの合ったロンのベースは無敵やねえ。

それと、このアルバムを、よりハード・バップらしくしているのは、レニー・ホワイトのドラム。手数が適度に多くて、複合リズムの嵐。トニー・ウィリアムスに比べて重心が低く、8ビートへのノリがシンプル。それでいて、ハード・バップの雰囲気をそこはかとなく漂わせているところが、このアルバムにピッタリ。

最後に、ハバードといえば、全編吹きまくっています。吹きまくってはいるが、決して饒舌にはなっていないと僕は思います。ハバードとして、しっかり抑制を効かせながら、曲想に合ったブロウに徹しているのではなかろうかと。良いトランペットだと思います。

ハバードのトランペットに圧倒されながらの、あっと言う間の40分。今の耳で聴くと、70年代ハード・バップの傑作の一枚だと思います。
 
 
 
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2009年1月 4日 (日曜日)

追悼・フレディ・ハバード

新年早々から、訃報をこのブログに掲載することになるとは思っていなかった。

ジャズ・トランペット奏者・フレディ・ハバードが、昨年12月29日、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外の病院で亡くなった。70歳。約1カ月前に心臓発作を起こして入院中だったとのことである。

このところ、ジャズ界のみならず、日本の芸能界でも、今まで親しんできたアーティストの人達、俳優の人達が次々と鬼籍に入るので、ちょっと精神的にも参ってきているんだが、今までFavoriteだった人達の訃報に接すると、やっぱり少し落ち込むなあ。

フレディ・ハバードについては、とにかく上手い、何を吹かしても超一流のブロウをしてしまう、恐らく、ジャズ史上、クリフォード・ブラウンに次いで、優れたテクニックを持つトランペッターだろう。しかも、超一流のブロウをしてしまう上に、歌心も兼ね備え、時にはユーモアも振りまく。

Hubbard

とにかく、完璧に近いジャズ・トランペッターだった。マイルスには「あいつにはテクニックしかない」と厳しい激励の言葉をかけられたが、これも、マイルスがハバードの才能を認めた上でのこと。

彼との出会いは、ジャズを聴き始めたばかりの頃、ハービー・ハンコックの『V.S.O.P.』でである。急遽、マイルスの代打で登場したハバードであるが、とにかく「上手いな〜、格好良いな〜、凄いな〜」というのが第一印象。

ハバードを偲ぶなら、まずはブルーノートの諸作だろう。1960年代前半を中心に、ハバードはブルーノート・レコードに広範な録音を残している。ブルーノート初登場にしてバンドリーダーを務めた『Open Sesame』を皮切りに、8枚のリーダーズアルバムを残し、28枚のアルバムにサイドマンとしてその名を刻んでいる。どの演奏を取っても素晴らしい。どの演奏を取っても、ハバードの個性を楽しめる。

1980年代後半、健康状態の悪化と深刻な唇の故障からリタイア。しかし、1990年代に入り、その悪状況から立ち直り、「演奏活動に復帰した」との報に接した時には、嬉しい思いをしたものだが、ハバードが鬼籍に入ってしまったからには、それも「もう無い」。

本当に残念です。ご冥福をお祈りします。
 
 
 

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2009年1月 3日 (土曜日)

必ず新年に聴くJazzアルバム

新年を迎えて、真っ先に聴くジャズのアルバムについては、昨年の1月3日に書いた記憶がある(昨年1月3日のブログ参照・ここをクリック)。

何故か、ジャズを聴き始めた頃から、新年を迎えて、真っ先に聴くジャズのアルバムは、Art Blakey & The Jazz Messengers『Moanin'(モーニン)』(写真左)。
 
ブルーノートの4003番、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースの出直し〜復活アルバムである。このアルバムに流れる、溌剌とした、ポジティブな、新しい空気というか雰囲気が実に心地良く、明らかに新しい何かが始まる、そんなワクワク感が溢れた名盤である。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Moanin'』とくれば、表題曲の「Moanin'」と「Blues March」が、当然良い。ゴスペル調の「Moanin'」は、厳かでファンキーでイケイケって感じで「お正月向き」。マーチ調の「Blues March」は勇ましくて、元気が良くて、これも「お正月向き」。
 

Ab_jm_bn4003

 
他の楽曲も実に出来が良い。2曲目の「Are You Real ?」なんぞは、前奏出だしの覇気溢れるゴルソン・ハーモニーを聴くだけで、新しい風を感じてワクワクする。実に格好良く、華やかな曲で、これも「お正月向き」。1曲目「Moanin'」〜2曲目「Are You Real ?」の流れは明らかに「ハレ」の日向けである(笑)。

3曲目の「Along Came Betty」は、クールで落ち着きがあって、新しい音の感じが実に「お正月向き」。4曲目の「The Drum Thunder Suite」も、ドラムの音が荒々しく響き、普段の日に聴くと、ちょっとウルサイ感じなのだが、正月には太鼓の音は縁起物としてなかなか相応しく、お正月、ハレの日のアトラクションとすれば、この「The Drum Thunder Suite」もうるさく感じない。

ラストの「Come Rain Or Come Shine」もクールで落ち着きのある演奏ではあるが、この曲だけが、ジャズ・スタンダード。ジャズ・スタンダード特有の雰囲気によって、なんとなく「現実」に引き戻される感じがして、この「Come Rain Or Come Shine」を聴くと、正月が終わって、再びやって来る通常の日々を思い出す(笑)。

いや〜、今年も『Moanin'』で幕開けです。さあ、2009年のジャズライフの始まり始まりって感じです(笑)。それでは、今年もよろしくお願いします。
 
 
 
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2009年1月 2日 (金曜日)

新年に聴く楽曲・2009年版

毎年、正月に聴くアルバムというのは、この歳になると、だいたい固定されている。2008年正月のブログ(2008年1月2日のブログ参照・ここをクリック)にも書いたが、70年代ロックのジャンルからは、エマーソン・レイク&パーマー(ELP)のファースト・アルバムが、ダントツで選ばれる。

もし、バーチャル音楽喫茶『松和』が実際するなら、「懐かしの70年代館」には、正月2日の新年の営業開始日には、このELPのファーストが、恐らく半日間、鳴り響いているだろう(笑)。

でも、今年は違うぞ。今年は「懐かしの70年代館」の「My Favorite Rock」での、「ビートルズ・ソロ・ワークス」のコーナーで、そろそろ、ジョン・レノンについて、まとめなければ、と思っている。

ビートルズの4人の中では、ダントツで、ジョン・レノンが僕の憧れである。ジョンの楽曲が好きだ。「人生の生き方のスタンス」には憧れるが、私生活については、う〜ん「・・・・(笑)」。でも、ええんや、ジョンのミュージシャンとしての才能・才覚が好きなのさ。

で、ジョン・レノンの楽曲の中で一番好きな楽曲は、と問われれば「マインド・ゲームス」と答える。生まれてこの方、ロックを聴き始めて、初めてリアルタイムで聴いたジョンのシングルが、この「マインド・ゲームス」である。イントロの、鐘が鳴り響くような「1フレーズ」を聴いただけで、もうイチコロ。

John_lennon_mind_games

中学3年生の時、高校受験の年でありながら、いきなり11月に転校の憂き目にあい、精神的に相当に辛かった時代。そして、高校に入って、そこにあった自由に戸惑いながらも、馴染みながら、徐々に自分を取り戻していった時代。ジョンの歌は、それこそ僕の「人生の応援歌」だった。

We're playing those mind games together
Pushing the barriers, planting seeds
Playing the mind guerrilla
Chanting the mantra, peace on earth
We all been playing those mind games forever
Some kinda druid dudes lifting the veil
Doing the mind guerrilla
Some call it magic, the search for the grail
.........

メロディー、アレンジ、フレーズの全てが素晴らしいこの「マインド・ゲームス」。僕は、この歌の歌詞が意外と好きです。歌詞の内容については、それまでの政治的・社会的な要素は薄くなり、ジョン個人の気持ちが歌われていて、それが逆に凄みになっていて、実に潔い。

さあ、2009年が始まった。今年も、「一昨年、昨年より悪くなることは絶対に無い」がキャッチフレーズで、ポジティブに生きていくのだ(笑)。
 
 
 
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2009年1月 1日 (木曜日)

明けましておめでとうございます

皆様、明けましておめでとうございます。今年も、我が、バーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いいたします m(_ _)m。

今年は、是非とも、ホームページの方で別館を立ち上げたいと思っています。特に、僕の大好きなミュージシャンである、マイルス・デイビス、チック・コリア、ビル・エバンス、それぞれの特集サイトを立ち上げたいと思っています。

でも、単なるアルバム紹介だと、もう他の方々のホームページで、さんざん紹介されているミュージシャン達なので、面白くないと思っています。アルバム紹介でも、もう少し個性的にならないものか、と企画中です。どちらにしろ、この3人の大のお気に入りミュージシャンについては、本音で語ってみたいと思っています(今も本音ばかりですけど・・・笑)。

なにか良いアイデアがあれば、コメントでもメールでも、なんなりとお送り下さい。新しいホームページ立ち上げの参考にさせて頂きます m(_ _)m。

さあ、2009年もスタート。今年も「昨年、一昨年に比べれば、きっと良くなるに違いない」の想いを継続して、頑張っていきたいと思っています。

では、皆さん、今年もよろしくお願いします。
  
   
  
Hatsu_hinode_3
 
 
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