年末に聴きたくなるロック
年の瀬はあまり好きじゃない。一年が終わる寂しさというか、侘びしさというか、精神的にしみじみしてしまうのがいけないらしい。遠い昔、小学生の頃から、年末年始の季節はどうも好きじゃない。
しみじみしてしまうのがいけないのだが、一年間生活してきたのだがら、どうしても振り返ってしまう。振り返ると決まって、先に「後悔」することが、どっと思い出される。これがいけない。どうも性格的に「良い」ことより、「悪い」ことを先に思い出すように出来ているらしい。
こんな性格なので、年末の精神状態はあまり良くない。しみじみとした純ジャズで、しみじみと一年を反省し、来年こそはと思うんだが、そろそろ自分に残された時間もそんなに無いことを思い知って、これまた、しみじみしたままになってしまう。これではいけないと、70年代ロックに手を伸ばす。しみじみした状態から、なんとか前向きな状態持って行くには、やはり70年代ロックが一番だ、と昔から決めてかかっている(笑)。
この年末になると、必ず聴きたくなり、必ず聴く、70年代ロックの名盤の一枚に、ロッド・スチュワートの『Atlantic Crossing』(写真左)がある。
ロッドが、英国から米国に渡った、彼の音楽人生の中でのターニング・ポイントを捉えた名盤である。まず、アルバム・ジャケットのイラストを見て欲しい。ロッドが、ロンドンからニューヨークを股にかけている図、まずこれに「やられる」。これが良い。このアルバム・ジャケットで、このアルバムの内容が窺い知れ、このアルバムの内容は保証されたようなものだ。
LP時代は、A面が「Fast Side」、B面が「Slow Side」となっていた(と思う)のが、とても粋だと感心したんだが、CDでは連続していて、この粋さが損なわれているのが残念。
1曲目の「Three Time Loser」から、5曲目「Stone Cold Sober」までが、A面「Fast Side」。「Fast Side」とは言いながら、4曲目のレゲエ調の、ゆったりとした哀愁感溢れる「Drift Away」が素晴らしいアクセントになっている。名唱である。
そして、6曲目の「I Don't Want To Talk About It」から、ラストの「Saling」までが、B面「Slow Side」。ロッドの歌の上手さは、スローなバラードでその真価が更に発揮される。どの曲も珠玉の名唱ばかりである。特に、7曲目の「It's Not The Spotlight」には、グッと来る。そして、ラストの「Saling」は、もう永遠のエバーグリーン。皆が知っている定番中の定番バラードである。
このアルバム・タイトルの『Atlantic Crossing』に限りない「憧れと浪漫」を今も感じる。そして、年末にこのアルバムを聴いて、今年から来年への「Crossing」を感じて、「よしっ」とやる気がでるのだ。これは、このアルバムを手に入れた浪人時代から今に至るまで、全く変わっていない、僕の不思議な習慣の一つである(笑)。
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