« 「鉄ちゃん」御用達のアルバム | トップページ | 1980年代「純ジャズ復古」の頃... »

2008年12月12日 (金曜日)

アナログ・フュージョンの優秀盤

デオダートと言えば、70年代クロスオーバー〜フュージョンを代表するミュージシャン&コンポーザー&アレンジャーである。

70年代初頭、フュージョンが、まだクロスオーバーと呼ばれている時代、CTIレーベルから、『ツァラトゥストラはかく語りき』や『ラプソディー・イン・ブルー』という、クラシックとジャズの融合、当時は「クロスオーバー」と呼ばれたジャンルで一世を風靡した。

しかし、デオダートの真価は「クラシックとジャズの融合」という、実にコマーシャルな側面ではない。彼の出身はブラジル。確かに『ツァラトゥストラはかく語りき』や『ラプソディー・イン・ブルー』は優れたアルバムではあるが、彼の本当の真価はそれではない。そのブラジル出身の感性を活かした「ラテン・フュージョン」的なフレイバーが、彼の真価であり、彼の特質である。

その彼のブラジル出身の感性を活かした「ラテン・フュージョン」的なフレイバーが、花と咲いたのは、デオダートことエウミール・デオダートが1978年に残したワーナー移籍後初となるアルバム『Love Island』(写真左)からである。

当時のワーナーが抱える売れっ子プロデューサー、トミー・リピューマとの共同プロデュース。アナログちっくで、クロスオーバー的な音作りで、1978年というフュージョン全盛の当時にとっては、一聴すると「時代遅れ」と思わせるような内容だが、どうしてどうして、腰を据えて聴くと、今の耳にも新鮮な感動を与えてくれる、凡百なフュージョンとは一線を画した、実に優れた内容のアルバムである。
 

Deodato_love_island

 
収録されたどの曲にも、演奏としては、デオダートの手癖が満載だし、アレンジをとってみては、デオダートの音の重ね方が満載だし、曲想としては、デオダートならではの「ラテン・フレイバー」が満載で、聴いていて、ワクワクのしっぱなし。

音の特徴としては、このアルバムは、1978年のリリースなんだが、まだまだ「アナログ」の雰囲気がバリバリで、1980年代のデジタル臭は全くなく、デジタル編集の気安さは微塵も無い。人間が、人間の手で、超絶技巧、卓越したテクニック満載ではあるが、演奏全体の雰囲気として、実に人間っぽい、ヒューマニズム溢れるフュージョン演奏がここにある。

特にラストの「A列車で行こう」は聴けば聴くほど、名演の類に感動して、なんだか嬉しくやるなら、感動して、目頭が熱くなるやら。こんな緩やかで余裕があって優しい、それでいてテクニック優秀で、適度なテンションが心地良い「A列車で行こう」があるだろうか。しかも、アナログっぽさが色濃く、70年代のクロスオーバー〜フュージョンを、リアルタイムで聴いてきた僕にとっては、こんな嬉しくなる演奏は無い。

デオダートの弾くフェンダー・ローズは、実にデオダートっぽくて、とても良い。デオダートの弾くフェンダーローズには単なるテクニックを凌駕した、デオダートの感性を感じさせる、デオダートならではの音作りに魅せられる。

1978年のリリース。当時はフュージョン全盛時代。でも、このデオダートの音作りは、クロスオーバー時代の音作りを強く感じさせる。でも、古さは感じない。今の耳にも十分アピールする、デオダートならではの、ある種不思議なアルバムである。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 

保存

« 「鉄ちゃん」御用達のアルバム | トップページ | 1980年代「純ジャズ復古」の頃... »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アナログ・フュージョンの優秀盤:

« 「鉄ちゃん」御用達のアルバム | トップページ | 1980年代「純ジャズ復古」の頃... »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

カテゴリー