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2008年12月20日 (土曜日)

暴風雨の中を練り歩くギター

70年代ロックのヒーローの中で、今でもまだまだ現役で頑張っているミュージシャンは沢山いる。70年代は人間のテクニックのみで音楽を演奏していた時代。とにかく誤魔化しが効かない時代だったので、70年代ロックの著名なミュージシャンは皆、テクニック的には人並み外れたものを持っている。その人並み外れたテクニックが基本となって、今でもまだまだ現役で通用するんだろうな。

で、今日の話題はジェフ・ベックである。先月、ジェフの新しいオフィシャル・ブートレグが出た。Jeff Beck『Performing This Week: Live at Ronnie Scott's Jazz Club』(写真左)。邦題は『ライブ・ベック3~ライブ・アット・ロニー・スコッツ・クラブ』。邦題から判るように、3枚目のオフィシャル・ブートレグである。

過去2枚のオフィシャル・ブートレグも内容は良かった。が、今回の『ライブ・ベック3』は、前の2枚とは次元が違う、それはもう素晴らしい、というか凄いというか、凄まじいライブである。ジェフ・ベックは、1944年6月生まれだから、今年で64歳になる。とても64歳のギタリストが弾いているとは思えない、テンションの高い、音の太い、尖った演奏の嵐である。

まず、前の2枚のオフィシャル・ブートレグと比べて、音が格段に良い。特にジェフのギターの音が生々しく伝わる。そして太い。バックの音の分離も良く、迫力と厚みのある音に仕上がっている。
 

Jeff_beck_live3

 
まあ、21世紀の時代、音の根本はデジタルで、70年代のジェフのギターの音と比べると、どうしても、今の音は「デジタル臭い」。でも、その「デジタル臭さ」を補って余りある、というか、そんなものどうでも良いと思わせてくれるような、溌剌としたテンションの高いジェフのギターである。

選曲を眺めると面白いのは、やはりジェフの最大のヒット・アルバム『Blow By Blow』と『Wired』の2枚からのセレクションが多いこと。我々ファンの気持ちとジェフ本人の気持ちが同じというで、この選曲には、70年代ジェフ・ベックのファンの僕としても納得のいく選曲ですね。でも、その2枚に偏らず、バラエティーに富んだ選曲も、この新ライブ・アルバムの魅力です。

冒頭の「Beck's Bolero」の音の太さとテクニックにはビックリ。感動を覚える音の太さとテクニックである。台風が来る中、暴風雨の中を練り歩くような、暴力的で威圧的で破壊的なジェフ・ベックのギターは凄い。

例えば、日本が世界に誇るギタリスト、布袋寅泰をもってしても、鮎川誠をもってしても、全盛期のチャーをもってしても、その3人が束になってかかっていっても敵わないような、圧倒的なギターである。

今回の新オフィシャル・ブートレグを聴いて、ジェフのギターの素晴らしさを再認識した。しかし、64歳とは思えんなあ。どこまで進化するんやろか。いやはや、70年代ロッカーは筋金入りである。
 
 
 
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