ジャズの世界は更に激しい
昨日は、ジェフ・ベックの新しくリリースされたオフィシャル・ブートレグについて語った。とにかく、それはもう素晴らしい、というか凄いというか、凄まじいライブであった。感動を覚える音の太さとテクニックである。台風が来る中、暴風の中を練り歩くような、暴力的で威圧的で破壊的なジェフ・ベックのギターは凄い。
しかし、である。ジャズの世界では、このジェフ・ベックをも凌ぐ、激しく凄まじいエレクトリック・ギターを中心とした「ジャズ・ロック」が多々存在するから、ジャズの世界は恐ろしい。最近、手に入れて聴いてブッたまげたアルバムが『Electric』(写真左)。 Larry Coryell (g・写真右), Victor Bailey (b), Lenny White(ds)のトリオ演奏である。
これが凄まじいばかりのハードなエレクトリック・ギター・インストなのだ。昨日、ジェフと同様、れれき・ギターの音が太くて、切れ味抜群。加えて、ロックのギタリスト達のテクニックと比べて、ジャズのギタリストのテクニックは、その一枚いや二枚上を行く「超絶技巧」を絵に描いたような「バカテク」である。聴いていて、眩暈がしそうな、めくるめくテクニックの応酬。
ジャズ側からロック側にアプローチした演奏で、選曲もジェームス・ブラウンの「Sex Machine」や、レッド・ツェッペリンの「Black Dog」が目を惹く。でも、この2曲とも、ロック側に全く迎合しておらず、原曲の雰囲気を少しだけ残してはいるが、完全にジャズ・イディオムにデフォルメされており、見事なジャズ・フュージョン的な演奏になっている。
逆に、純ジャズからの選曲は、モーダルで先鋭的なウェイン・ショーターの「Footprints」なんかを選んでおり、これがまた、超絶技巧な演奏で、これは、どっちかといえば、純ジャズのジャンル、現代のエレクトリック・ジャズの最先端を行くレベルの演奏である。
いやいや、上には上があるというか、ラリー・コリエルのギターは、ロックよりのシャープなフレーズを弾き倒してして聴き応え満点、ベイリーとホワイトのリズム隊は、このコリエルのギターを支えるどころが、コリエルのギターに挑みかかるような、トンガったバッキングが凄い。なんせ、テクニックのレベルが違う。聴いていると唖然として、口がポカーン、である(笑)。
昨日のジェフのギターを、台風が来る中、暴風雨の中を練り歩くような、と形容した。が、コリエルのギターは、確かに、台風が来る中、暴風雨の中を練り歩くような感じは同じなんだが、台風の気圧が違う、というか、気圧が圧倒的に低い、勢力の非常に強い台風の暴風雨の中を練り歩く感じなのである。
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