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2008年11月 1日 (土曜日)

RCA時代のロリンズ・その2

RCA時代のソニー・ロリンズの続きを語ろう。前回(10月27日のブログ)のおさらいから。

絶頂期のロリンズが、ジャズ界から突然姿を消したのは、1959年8月、シカゴのプレイボーイ・ジャズ・フェスティバルに出演した直後のことだった。その後、行方知れずであったが、かの有名なウィリアムズバーク橋での練習風景に代表されるように、精神的にもテクニック的にも自己研鑽を重ねに、1961年11月、ジャズシーンにカムバックする。

そのカムバック後、満を持してRCAと契約、RCAもロリンズの売上に期待した。そして、かの名盤『橋』を録音する。この『橋』から、『ホワッツニュー』、『アワ・マン・イン・ジャズ』、『3イン・ジャズ』、『ソニー・ミーツ・ホーク』と続くのであるが、レコード会社が思ったほど売れなかったらしい。

時代は、1962年頃、ジャズは、ハード・バップのピークの時代を経て、フリー・ジャズやモード・ジャズが台頭し始めた頃。マイルスの薫陶を受けた、モード・ジャズを核とした「新主流派」が新しい響きのジャズを推進し始めた頃である。徐々にジャズは複雑化、長時間化し、ジュークボックスやFMでのリクエストをベースとした娯楽音楽としての役割を負えなくなっていた。

そんな時代である。特に、ロリンズのインプロビゼーションは、一つのテーマから、バリエーションを重ね繰り返して、徐々にその内容を高めていくタイプなので、演奏時間はいきおい延びる。つまり、ロリンズは、ハード・バップやモード・ジャズに向いている訳で、そもそも、ビ・バップのような瞬間芸で、判りやすい旋律をまとめるような、ポップスライクな演奏スタイルでは無い。

Rollins_standard_rca

そんなロリンズに、大衆音楽としての、ジュークボックスやFMでのリクエストをベースとした「売上」を期待するRCAは明らかに間違いである。そういう意味で、RCAでのロリンズのアルバムって、全てにおいて、プロデュースのミスなんだが、実に惜しいアルバムばかりが、ぞろぞろ並ぶ。特に、スタンダード曲ばかりをズラリ揃えた『ナウズ・ザ・タイム』(写真左)、『スタンダード』(写真右)などは、RCA時代の、その「惜しい」アルバムの代表例。

この『ナウズ・ザ・タイム』、『スタンダード』は、演奏時間がSP(シングルレコード)並に、2分半から3分台と短時間にまとめられた演奏ばかり。どうも、長い演奏を短く編集したか、短い演奏のアレンジを余儀なくされたか。どちらにしろ、ほとんどの演奏において、ロリンズは不完全燃焼。収録された、ほとんどのブロウが素晴らしいものばかりなので、もっと長く吹かせてやれなかったのか、もっと長く聴かせてくれなかったのか。RCA時代、特にその後半は、ロリンズは、あまり恵まれなかったようだ。

『ナウズ・ザ・タイム』、『スタンダード』は決して名盤では無い。このアルバムを聴いて、ロリンズを判断して欲しくない。では、RCA時代のロリンズは、全くの不振だったのか。ウィリアムズバーク橋での練習は、自己研鑽は無駄だったのか。いやいや、そうでは無い。ビジネス的に恵まれなかったRCA時代のロリンズが、何の気兼ねもなく、スタンダード中心に、テナーを吹きまくった未発表のテープを集めた『After The Bridge』という未発表音源集がある。

このRCA時代の未発表音源集『After The Bridge』については、また後日語ることにしたい。とにかく、RCA時代のロリンズは、事情が複雑で、単純に聴けない悩ましさがある。でも、その周辺事情を理解して、その作品を聴くと、また違った世界が見えてくるのが、ジャズの面白いところですね。
 
 
 
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