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2008年11月25日 (火曜日)

現代ジャズの成熟度と可能性

ちょっと真面目な話題である。最近、現代ジャズの成熟度と可能性について、つらつらと考えることがある。現代ジャズってどうなんだろう、と。

コルトレーンが急逝した時、「ジャズは死んだ」と言われた。フュージョンがジャズ界を席巻した時、「ジャズは堕落した」と言われた。でも、2008年の現在でも、ジャズは生き続け、ジャズは進化し続けている。

このところ、チック・コリアの『A WEEK AT THE BLUE NOTE』(写真左)を聴き直している。Chick Corea+Origin名義のライブBOX盤(6枚組)である。パーソネルは、Chick Corea(p), Avishai Cohen(ac-b), Adam Cruz(ds), Steve Davis(tb), Bob Sheppard(fl,ss,ts,b-cl), Steve wolson(fl,ss,as,cl) 。チック・コリアが集めた精鋭ジャズメン達である。

1998年1月1〜4日のNYのブルーノートでのギグのプライベート録音である。プライベート録音と言っても、チックがエンジニアに頼んで録音したDAT録音で音は良い。これが、凄まじい演奏なのだ。前に出た『Origin』は、同じ、ブルーノートのライブ録音なのだが、ちょっとお行儀が良いのが気になるが、これはこれで良い出来、良い内容。しかし、この6枚組BOX盤は次元が違う。

前作『Origin』とこのBOX盤を併せることによって、1月1、3、4日のライブがコンプリートになる。そして、このBOX盤には、前作『Origin』には収録されなかった、チック作の名曲「MATRIX」や、「BLUE MONK」,「FOUR」,「STRAIGHT NO CHASER」,「TEMPUS FUGIT」などのスタンダードが収録されており、このグループの全貌と力量が明らかになる。とにかく、凄まじい演奏である。
 

Cc_origin_bluenote

 
この1998年1月1〜4日のNYのブルーノートでのギグは、Chick Corea+Originのリハーサル的なギグだったそうだが、試運転的なギグとは思えない、素晴らしい内容である。

演奏の内容は、1960年代中盤のマイルスを中心とした、モード奏法をベースとした「伝統の範疇内での、極力フリーな演奏」である。当時、新主流派と呼ばれたモーダルで、フリーな演奏。そう、ハービー・ハンコック、トニー・ウィリアムス、ロン・カーター、ウェイン・ショーターを従えた、マイルス・デイビスの「ニュー5重奏団」の音。その音を基本に、現代ジャズとしての新しい響きを加えた、優れた内容である。

ここで、ふっと思う。現代ジャズって、相応の能力を持ったミュージシャンを集めて、優れたバンド・リーダーが指揮すれば、モード奏法をベースとした「伝統の範疇内での、極力フリーな演奏」については、相当な内容の演奏が出来るくらいに、成熟しているのではないかと。

逆に、純ジャズの演奏内容の最高峰と言われる、モード奏法をベースとした「伝統の範疇内での、極力フリーな演奏」については、既に発展の可能性は無いのではないかと。恐らく、過去、ジャズ界を席巻した「演奏スタイル」単発のみ範疇については、発展の可能性は残されていないのではないか、と考え込んでしまった。

それほどまでに、この『A WEEK AT THE BLUE NOTE』の内容は優れている。当然、このChick Corea+Originの発展の可能性は残り少なく、あと1作のアルバムを残して、このChick Corea+Originでの活動は停止している。

現代ジャズの成熟度と可能性。最近、時々、この難しいテーマについて思いを馳せる。ジャズはどこまで発展し、進化していくのだろうか。その方向性は、その方法論は残されているのか。こういう、ちょっと真面目なテーマについて考えるのも、ジャズの楽しみのひとつである。
 
 
 
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