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2008年11月19日 (水曜日)

速報!山中千尋の最新作、良い!

9月24日に発売されたのに「速報」は無いやろうマスター、ってツッコミが聞こえてきそう。はい、そうです。9月24日の発売日に、即iTunes Storeからダウンロード。それから、今まで、丁寧に聴いては聴き返し、やっと自分なりの感想がまとまりました。

「速報!」というのは、このブログで、その感想を書き出すと長くなるので、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」の月1回更新の名物コーナー「ジャズの小径」の今月号にアップしようと思っています。その「ジャズの小径」を今週の末にアップしようと思っているので、「速報!」となった訳です。

山中千尋の今回の新作「ブラヴォーグ」(写真左)は、良い出来だと思います。彼女はアルバムを出す度に、その時その時で「最高作」を出してきました。前作の『アフター・アワーズ』も良い出来でした。彼女が初めて「ジャズ・スタンダード」をピアノ・トリオで演奏したアルバム。良い出来でした。オリジナル中心にアルバムの収録曲を固めてきた山中千尋。自作のオリジナルは、自分で作曲しているので、当然、山中には弾きやすいし、表現しやすい。

ミュージシャンって、それで良いと僕は思うのですが、世間は意地悪なところがある。それって当たり前やろ、スタンダードはできるのか?って。で、『アフター・アワーズ』で、山中はスタンダードをドバーッと演った訳です。痛快でしたね〜、僕にとっては(笑)。僕の感想は「ジャズの小径 2008年4月号」(左をクリック)をご覧下さい。

で、最新作の『ブラヴォーグ』ですが、こちらは従来の路線に立ち戻って、彼女のオリジナル中心の楽曲構成。これが良いんですね。彼女独特の曲想、曲調、節回しが強烈に感じられて、どの曲も印象的なフレーズの部分で「山中千尋」って判る。それほどに、彼女の曲作りの個性が確立されています。

Bravogue

そして、その曲作りの個性以上に感心したのが、彼女のピアニストとしての「弾きまわし」の個性。フレーズの回し方、音符の重ね方、ユニゾン・ハーモニーについて、山中千尋の個性が確立されています。彼女はピアノの2つの相反する側面、「旋律楽器としての側面」と「打楽器としての側面」の両方をしっかりと表現できるジャズ・ピアニストですが、その技術がこのアルバムに満ちあふれている。

山中千尋は女性なので、腕力については男性に劣る。ピアノの「打楽器としての側面」をどう表現するか。無理して叩いても、必ず限界が見える。しかし、このアルバムの「打楽器としての側面」は違う。無理せず叩いている。彼女の日頃の精進が目に見えるようだ。努力は期待を裏切らない。彼女の克己心と矜持を強く感じるアルバムである。

とてもストイックな、内容の濃いアルバムです。でも、ちょっとクスッと笑ってしまう、ユーモアも彼女は兼ね備えている。10曲目のコミカルな「スタッカート」という曲ですが、この短いコミカルな演奏は「本当はここでアルバムは終わり」って、僕には聴こえます。次の曲が、あからさまなジャズ・スタンダードの大人気曲の「星に願いを」ですからね〜。

前作でさんざんスタンダードを演奏した山中。今回のアルバムでは、あからさまなジャズ・スタンダードの人気曲の収録は避けたかったはず。でも、レコード会社からの強い要請があったのでしょうか、取って付けたように、11曲目で唐突に「星に願いを」が、これも皆が喜びそうなスローバラード調で演奏されています。ファン・サービスと言えばファン・サービスですが・・・(笑)。蛇足でしょう。

この「星に願いを」は、僕はボーナス・トラックだと思って聴いています。『ブラヴォーグ』というアルバムには、必要な演奏では無いですからね。『ブラヴォーグ』の真価は、1曲目の「アクエリアン・メロディ」から、9曲目の「ル・フリュイ・デファンドゥ」まで。この9曲で、最新の山中千尋ワールドが堪能できます。
 
 
 
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コメント

はじめまして。

今日、彼女のトリオのライブに第一生命ホールまで行ってきました。
CDがなかなか良かったので期待していたのですが...
あの小さなホールにPAを入れてがんがんに鳴らしていた上、ドラムの音が強すぎてピアノの音がかき消される始末で...
CDなら好きな音量で聞けますが、ライブではそうも行かず...

あれが彼女の好みだというのであればしょうがないですが、アコースティックライブでないとまた行く気にはなれないです。

否定的なコメントですいません。

はじめまして、ヒゲペンさん。松和のマスターです。

ホールでのピアノ・トリオのライブですか〜。よっぽど良い音響のホールで、良いコンディションのPA装置で、腕の良い技術者がコントロールしないと、なかなかいい音では聴けないですよね。

ジャズのピアノ・トリオは、ピアノ、ベース、ドラムと生楽器系が主流なので、音的に特に難しい。ピアノなんて、打楽器と旋律楽器の両面を持ち合わせていて、音もフォルテッシモからピアニッシモまで幅広く、ダイナミックレンジが広くて音響的にも大変です。

恐らく、ヒゲペンさんの行ったコンサートは、PA的にかなり問題があったみたいで、お気の毒です。ロックのライブ的なPAが、コンサート・ホールでのジャズ・コンサートで適用されるケース、僕も何度か体験したことがあります。

演奏者側としても、直前のリハーサル時にサウンドチェックはするんですが、その時に問題が発覚しても、開催者側として、即座に音響的改善は困難ですよね(これじゃ演奏者側の意向はどこへいくんだろう)。演奏者側には全く非が無いんですがね〜。

いきおい、ジャズ・ピアノ・トリオのライブは、音響的に、ライブ・ハウス・サイズの場所が一番、ということになります。もともと、本場米国でも、ジャズの生演奏と言えば「ライブ・ハウス」が拠点ですから、そういうことなんだと思います。

生楽器の演奏に、不必要とは言わないまでも、PAは極力排除すべきですよね。
 
 


ご丁寧な解説ありがとうございました。
私がJazzのライブに行くようになったのは最近なので、とても参考になりました。
今度はライブハウスを試してみようと思います。

どうも、ヒゲペンさん。松和のマスターです。

いやいや、拙いお話しで汗顔の至りです。

でも、ジャズの場合、特に、ピアノ・トリオの場合は、絶対にライブハウスの方が良い、というのは体験的に言えます。

とにかく、コンサートホールは難しい。沢山、人が入るからといって、音を犠牲にする「商業主義」は、音楽の世界からは排除されるべきでしょうね。

ライブハウスも有名どころから選定していって下さいね。場末のライブハウスは、ライブバウスとは名ばかりで、どう考えても、音響のことを考えていないお店もありますから、ご用心ご用心です。

では、今後の良きライブ体験をお祈りしています。
 

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