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2008年10月24日 (金曜日)

プレスティッジのモンク・トリオ

朝から時々、土砂降りの雨。昼時、一旦、雨は上がったが、また、午後から時々、土砂降りの雨。今日は一日、雨の一日の我が千葉県北西部地方。まあ憂鬱であるんだが、今日は故あって有休なので、ちょっとだけ気楽。

さて、昨日一昨日とビル・エバンス・デーだった。一番のお気に入りのジャズ・ピアニストであるビル・エバンス。やっぱり良いですよね。そのビル・エバンスの対極にある、これまた僕のお気に入りのピアニストであるセロニアス・モンク。

現在、リバーサイド時代のセロニアス・モンクを、まとめて聴き直しているんだが、ついでも、そのリバーサイド時代の前、プレスティッジ時代のモンクも聴き直している。といっても、プレスティッジ時代のモンクは、結構、ミュージシャンとして粗末に扱われていたみたいで、これといった成果を残していない。

もともと、プレスティッジってジャズ・レーベル、かなりいい加減なところがあって、まず、スタジオ録音時、リハーサルをやらない。いきなりの一発勝負がほとんど。ブルーノートの様に、リハーサルをきっちりやり、そのリハーサルにもギャラを払うという「ジャズ・レーベルの鏡」の様なレーベルとは正反対のいい加減さ。ジャケット・デザインもいい加減。「これ何〜っ」と思わず声を上げてしまいそうな、評価不能レベルのジャケットも多々ある。

セロニアス・モンクというピアニストは、自分のインプロビゼーションについては、試行錯誤をしながら、最良を求めていくタイプである、他のハード・バップ・ピアニストの様に、お気楽に一発勝負で、「エイヤッ」で適当に合わせるタイプでは無い。そういう面でも、モンクにとって、プレスティッジは辛い。
 
録音時期は、1952年10月15日・12月18日、1954年9月22日。当時のジャズ界は、全盛を誇ったビ・バップが衰退し、ハード・バップ萌芽の時 代。そんな不遇のプレスティッジ時代ではあるが、それでも、この『Thelonious Monk Trio』(写真左)は、モンクを中心にした、内容のある、素晴らしい演奏が聴ける。1950年代前半の、最良に近いモンクのピアノが聴けるのだ。
 

Thelonipus_monk_trio

 
その原因は「ドラマー」にある。モンクのタイム感覚、和音感覚、音の重ね方、ストローク、どれを取っても普通のピアニストの感覚では無く、ドラマーとして、モンクのそれらに合わせて、ピアノ・トリオの演奏として成立させるには、相当のテクニックと相当のリズム感覚と反射神経が必要になる。

この『Thelonious Monk Trio』では、アート・ブレイキーとマックス・ローチが、ほぼ半分づつを分担して、ドラムを叩いている。このアルバムを聴き通すと、とりわけ、アート・ブレイキーとのセッションが優れている。マックス・ローチとのセッションは、内容は悪くないが、残念ながら、全体の印象からすると一段落ちる。ローチのドラミングは、あくまで、ビ・バップ時代のドラミングに留まっているのだ。

冒頭の「Blue Monk」がその代表例だろう。ドラムのブレイキーは、モンクを鼓舞するために様々な工夫を凝らし、モンクのピアノの変化にクイックに反応して、即座に合いの手を入れ、即座にチェンジ・オブ・ペースを図る。これが絶妙なのですね。

モンクは、生涯、お気に入りのドラマーとして、決めの演奏の時には、決まってブレイキーを指名したというが、実に良く理解できる話だ。恐らく、自由に弾くモンクに追従できるドラマーは、歴代のドラマーを見渡してみても、アート・ブレイキーとトニー・ウィリアムスぐらいだろう。う〜ん、トニーをバックにしてのモンクかあ、聴いてみたかったなあ。

冒頭の「Blue Monk」と、5〜8曲目「Little Rootie Tootie」「Sweet And Lovely」「Bye-Ya」「Monk's Dream」がブレイキーとのセッションで、どれも良い内容で、自由に喜々としてピアノを弾くモンクと、それを鼓舞し、それに追従するブレイキー。当時の流行であった「ビ・バップ」と比較すると圧倒的に進歩的。次に来る流行である「ハード・バップ」と比べても、最先端を行くピアノ・トリオだろう。

ピアノはしっかり調律されておらず、ピッチも狂ったまま。録音は、プレスティッジ特有の「リハ無しの一発勝負」。ジャケット・デザインも「やっつけ風」。でも、この『Thelonious Monk Trio』は、ジャズの古典的名盤の一枚だと思います。ピアノのピッチが狂ったままなので、長く聴いていると気持ち悪くなりますが、松和のマスターとしては、お気に入りの一枚です。
 
 
 
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