「ヴァーヴのエヴァンス」のライヴ盤
憂鬱な気分の底は抜けたものの、まだ、面白くない気分が漂っている今日の一日。
「お人好しもほどほどに」。昔、人生の先輩、あるお寺の和尚のアドバイスを思い出す。それでも、ちょっと気分は上向き。入れ込み過ぎず、少し距離を置いて、決して真ん中には入らない。責任を取るべき人達に責任は取って貰わんとな。
さて、70年代ロックのお陰で、憂鬱な気分の底を脱した、私こと、松和のマスター。次は、気分を変えて、「お人好しな感覚」を一気にリセットする必要がある。そんな時は、学生の頃から、大のお気に入りのジャズ・ピアノ・トリオを聴くのが一番良い。それも、ダイナミックで覇気溢れるライブ物が良い。
大のお気に入りのジャズ・ピアノ・トリオと言えば、当然、ビル・エヴァンス・トリオに落ち着く。そして、気分変えてくれるようなライブ物と言えば、ヴァーヴ時代のエヴァンスのライブということになる。
ヴァーヴ時代のエヴァンスには、優れたライブが多い。今回聴いた『Bill Evans Trio Live ~Round Midnight』(写真左)は、そのヴァーヴ時代の優れたライブの一枚。パーソネルは、Bill Evans (p), Chuck Israels (b), Larry Bunker (ds)。
ジャケットを見ると、先にリリースされた『Bill Evans at Town Hall』の写真に、趣味の悪い青色を付けただけの使い回し。アルバム・タイトルだって、素っ気ない雰囲気。なんか適当にまとめて、適当にリリースされた「捨て盤」のような雰囲気が漂って、なかなか触手が伸びないのが正直なところ。
でも、これがなかなか良いんですよ。まず、収録された曲を見渡すと、
1 Nardis
2 Someday My Prince will Come
3 Stella by Starlight
4 How My Heart Sings
5 'Round Midnight
6 What Kind of Fool Am I
7 The Boy Next Door
8 How Deep Is the Ocean
と、ビル・エヴァンスにとっての名曲・スタンダードがズラ〜リと並ぶ。特に、冒頭「Nardis」から、2曲目「Someday My Prince will Come」は、聴いていてワクワク、ドキドキ。Chuck Israelsのベース・ソロ中心の「Stella by Starlight」には肩すかしを食らうが、4曲目のエバンスの十八番「How My Heart Sings」軽やかで味わい深い。5曲目の「'Round Midnight」はちょっと失敗。それでも、6曲目以降、ラストの「How Deep Is the Ocean」まで、申し分のない、エバンスのピアノ・トリオが満喫できる。
この音源のリリースに際して、どうして、エヴァンスが首を縦に振らなかったのかと首を傾げたくなる程の出来です。リバーサイド時代のスタジオ盤から受けるロマンティクなリリシズムが中心では無く、後のエヴァンスにつながる、ダイナミックでメリハリのある、強いタッチが魅力のエバンスが聴けます。
このダイナミックでメリハリのある、強いタッチのエバンスを聴くと、元気が湧いてくる。気分を変えるピアノ・トリオ、元気の出るピアノ・トリオ。僕にとって、それは「ビル・エヴァンス」。
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