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2008年10月 1日 (水曜日)

AORの「伊達男」・その2

今日も、AORの「伊達男」の話をする。AORの「伊達男」とは、ボズ・スキャッグスのこと。今日のアルバムは『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』(写真左)である。

昨日語った『シルク・ディグリーズ』は、ブラスと弦、女性コーラスを大々的に前面に押し出したおかげで、ロックのアルバムというよりは、ちょっと硬派なアメリカン・ポップ的な雰囲気になってしまって、ロック・ファンからすると、ソフト&メロウな世界へ行き過ぎた感じは否めない、とした。

今日、ご紹介する『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』は、その反省を活かしてか、ロック色と当時、トレンドだったフュージョン色に力点を置いて作成された、1976年~1980年にかけての、ボズ・スキャッグス3部作の2作目である。

冒頭「スティル・フォーリング・フォア・ユー」の前奏のギターのリフを聴いて、良い方向に発展しているのが判る。ホーンセクションと女性コーラスの活かし具合の塩梅が絶妙な、アーバンテイストなファンキーナンバー。良い。実に格好良い。AORはこうでなければならん。ソフト&メロウで、パンチが効いていて、小粋なアレンジ、そして格好良い。AORはこうでなければ・・・。
 

Down_two_then__left

 
この『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』というアルバム、全編通じて、ブラス・アレンジが秀逸。そして、ストリングスと女声コーラスが、前へ出ず後ろへ引かず、その塩梅が絶妙で、実に巧妙で実に効果的なアレンジになっていて、実に小粋で格好良い。

加えて、ギター・リフを前面に押し出した、ファンキー・フュージョン的アレンジが、これまた秀逸。リズムも見直して、リズムはフュージョンのリズムを全面的に採り入れて、メリハリの効いた、ソフト&メロウに流れ過ぎない、ロックテイストを絶妙に残した、AORのプロトタイプを提示しているところが、聴き所。

『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』の、そこかしこに、「アレンジの妙」が満載で、聴いていて全く飽きない。AORならではの、小粋なフレーズ、小粋なリフが心地良い。

この『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』って、かなり「いけてます」。ボズ・スキャッグス3部作の2作目で、2作目が故に「過渡期のアルバム」的な、無責任な評価をされることがありますが、とんでもない。これはこれで、AORの代表的名盤であります。
 
 
 
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コメント

このアルバムは僕もよく聴きました。
なんだか寂しさと紙一重のクールなカッコ良さがありますよね。
特に「Gimme the Goods」のアレンジには痺れました。

"「過渡期のアルバム」的な、無責任な評価をされることがありますが、とんでもない。これはこれで、AORの代表的名盤であります。" → まったく同意見であります。

music70sさん、いらしゃい。松和のマスターです。
 
う〜ん、『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』の、このアルバムの
良さに共感していただける方に久しぶりにお会いしました。
嬉しいです。

おっしゃるとおり「寂しさと紙一重のクールなカッコ良さ」、
同感です。ボズの歌声には、そこはかとなく「寂しさ」が底に
漂っている感じがするんですよね。そこがまた良いんですよね。
 
 

 

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