もともと硬派なアルトなんだけど
蒸し暑い日が戻ってきた。この2〜3日の悪天候の末、どうも湿気を含んだ暖かい空気が、冷たい空気を押し切ったらしい。まあ、まだ9月1日だからね。例年であれば、朝夕はちょっと涼しくなるが、まだまだ残暑が続く頃。でも、先週末までの涼しい日々を体験してしまうと、蒸し暑い空気がやたら体にこたえる。
さて、今日は久々に、Bob James and David Sanborn『Double Vision』(写真左)を聴く。1986年の作品。パーソネルは以下のとおり。Bob James(key), David Sanborn(as), Marcus Miller(b), Steve Gadd(ds), Paul Milton Jackson Jr.(g), Al Jarreau(vo), Eric Gale(g), Paulinho Da Costa(per)。いやはや、そうそうたるメンバーである。
デイヴィッド・サンボーン(David Sanborn・写真右)は、1945年、フロリダ州タンパ生まれ。ジャズ・フュージョン界で活躍するアルトサックス奏者。彼のアルトは、エッジの立った、切れ込むような金属的で力強い音が特徴。一度聴いたら忘れられない、一聴したらそれと判る特徴的な音。また、歌うように奏でるその音色は「泣きのサンボーン」とも呼ばれる。
サンボーンは、ギル・エバンス・オーケストラへの参加など、もともと硬派なアルトサックス奏者なのだが、フュージョンのフォーマットに乗った彼のアルバムは、「泣きのサンボーン」が前面に出過ぎて、ムード・ジャズ、スムース・ジャズになってしまうケースが多々あって、僕としては、少々不満。
でも、この『Double Vision』は、さすが、ボブ・ジェームス御大のプロデュースとアレンジよろしく、いつものサンボーンとは一味違った、「硬派な」サンボーンのアルトが堪能できる。
収録曲のテンポがミディアムからバラードと、アップテンポの曲が無いにもかかわらず、ムード・ジャズ、スムース・ジャズな雰囲気がしない。特徴的な音で、メロディアスなサンボーンのアルトが、適度にハードに響いて、これぞ、サンボーンの真骨頂という感じがとても良い。
バックのリズム隊も、ベースはマーカス・ミラー、ドラムはスティーヴ・ガッドですから、適度にファンクで、純ジャズ的なハードな展開もあって、「硬派な」サンボーンを後押しする。
このアルバムでのサンボーンは、聴き応え十分。サンボーンは、ムード・ジャズ、スムース・ジャズの範疇だろう、なんて思っている人は一度、このアルバムを聴いてみてはいかが。サンボーンの本質である「硬派な」一面を感じることが出来て、なかなかいけますよ。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
« とてもジャジーなギター 『Introducing Kenny Burrell』 | トップページ | ギター・フュージョンの完成形 »
« とてもジャジーなギター 『Introducing Kenny Burrell』 | トップページ | ギター・フュージョンの完成形 »
コメント