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2008年9月の記事

2008年9月30日 (火曜日)

AORの「伊達男」・その1

僕が密かに、AORの「伊達男」と呼んでいる男がいる。その男の名前を言う前に、AORとはなんぞや、という問いに答えておく。日本で「AOR」とは、「Adult Oriented Rock(大人が心を向けたロック)」の略と解釈される。まあ、大人向けのロックということですか。1970年代後半から1980年代にかけて流行しました。

さて、AORの「伊達男」とは、ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs・写真右)のこと。ボズ・スキャッグスは、オハイオ州出身の米国ミュージシャン。AORサウンドを代表するシンガー。R&B色が濃い泥臭い音楽を中心に、サンフランシスコを拠点に活動していたが、ちっとも売れなかった。しかし、1976年、突如、大幅なイメージ・チェンジを断行、ソフィスティケートされた『シルクディグリーズ』(写真左)というアルバムを出して、一躍、AORの代表格になった。

「ウィアー・オール・アローン(二人だけ)」という曲は、実に良い曲である。この曲を初めて聴いた時、良い曲だなあ、と感じ入ったのを覚えている。1976年のことである。この「ウィアー・オール・アローン」をLPのB面のラストに収録した、「AORの名盤」と誉れ高いアルバムが『シルク・ディグリーズ』。

この『シルク・ディグリーズ』というアルバム、確かに良く出来ている。まず、ボズ・スキャッグスの声が、太く丸くて、少しくぐもっていて、ソフトな声なので、この声を活かすには、ポップで、ソフィストケートされた雰囲気が必要。
 

Silk_degrees

 
そのソフィストケートされた雰囲気を出すのにはどうしたらいいか、ロック・ファンのみならず、一般の人々にアピールするにはどうしたらいいか、FMで取り上げられてバンバン、オンエアされるにはどうしたらいいか、を考え抜いて考え抜いて、このアルバムにある「秀逸なアレンジ」が生まれたんだろう、と思う。

とにかく、アレンジが素晴らしいんですね。ブラスの使い方、女性コーラスの使い方、弦の使い方、エレピの使い方、どれもが、後のAORアルバムに応用され尽くした、数々の「定番アレンジ」がてんこ盛り。良いステレオ装置で、じっくりと聴き返すと、ほんと、良くできたアレンジに感じ入ってしまう。

でも、この『シルク・ディグリーズ』、ブラスと弦、女性コーラスを大々的に前面に押し出したおかげで、ロックのアルバムというよりは、ちょっと硬派なアメリカン・ポップ的な雰囲気になってしまって、ロック・ファンからすると、ソフト&メロウな世界へ行き過ぎた感じは否めない。

でも、それがかえって、ロック・ファンというマニアックな世界から飛び出して、一般の人々にも十分にアピールし、当時としては爆発的に売れた。AORの初期の代表的なアルバムになり、ボズ・スキャッグスの代表盤となった。

最後に「ウィアー・オール・アローン」という曲なんだが、曲としてはとても良く出来ているんだが、この曲だけはアレンジがいただけない。弦が、あからさまに出過ぎていて、どうしても、なんだかチープな感じがしてならない。

この「ウィアー・オール・アローン」を聴く度に、ビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を思い出す。弦を入れたら良いってもんじゃない。弦の入れ方ひとつで、曲の印象はガラリと変わる。この「ウィアー・オール・アローン」って、良い曲なのになあ〜。弦の入れ方だけがいただけなくて、この『シルク・ディグリーズ』、僕の中では佳作どまりなのである。
 
 
 
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2008年9月29日 (月曜日)

これは「ジャズ入門盤」じゃない

涼しくなったというか、寒くなった。今日の東京は、11月中旬の陽気とか。冷たい雨、冷たい風。風邪をひかぬよう気をつけないと。家に帰り着くと、ホッとする。家の中が暖かいと感じるようになった。秋たけなわである。

さて、ジャズの話を。ジャズ入門書には、当然のことながら、ジャズ初心者向けのお勧めアルバムがズラズラと並んでいる訳であるが、その中には、どうしても、これは「ジャズ入門盤」じゃないやろう、と思われるアルバムが幾つか含まれているから不思議だ。

その一枚が、キース・ジャレットの『Somewhere Before(サムフォエア・ビフォア)』(写真左)である。1968年10月の録音。パーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, reco) Charlie Haden (b) Paul Motian (d)。「セピア色の旧市街といった風景写真」のジャケットは、実にノスタルジックで、魅力的。

でも、このジャケットから想起されるような内容ではないんですよね、このアルバムって。率直に言うと、このアルバムが、どうして「ジャズ入門盤」に推されているのかが判らない。実は、僕も、ジャズ初心者の時代、このアルバムを手にして、何が良いか良く判らず、暫く、自分の耳と感性がおかしいのか、と思って悩んだ思い出がある。
 

Somewhere_before1

 
  
冒頭の「My Back Pages」も、そんなに良いとは思わない。確かに、キースのピアノはリリカルで、たっぷりエコーのかかった音は魅力的。でも、演奏全体を見渡すと、アレンジ、展開共に、優秀とは言い難い。

他の収録曲についても、アレンジ、展開共に、ストレートで素直なものは無く、なんとなく、捻くれた感じのする演奏ばかりで、どう聴いたって、ジャズ初心者向けではないだろう。収録曲の中には、「Moving Soon」の様な、完全にフリーな演奏もあるが、このフリーな演奏も、フリー・ジャズとして成功していると思えない。

当時のキースって、新しいジャズのアプローチ、新しいジャズの響きについて、模索、チャレンジ、実験を繰り返している時代である、その成果のひとつである、この『Somewhere Before』だって、キースの発展途上の記録のひとつであって、決して、完成された内容のアルバムではない。

どうして、このアルバムが「ジャズ入門盤」なのかが判らんなあ。譲って、ジャズ中級者向け。完成された内容では無く、キースの発展途上の記録として考えると、キース・マニアとしてのコレクターズ・アイテムだろう。

ジャズ入門書に「ジャズ入門盤」として挙がっているからといって、安心してはいけない。複数のジャズ入門書を読み比べたり、ネットの情報をしっかり収集したりしないと、たまには、とんでもない「ジャズ入門盤」を手にしてしまったりするので、ご用心、ご用心。
 
 
 
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2008年9月28日 (日曜日)

クインテットの「ビル・エバンス」

ビル・エバンスというピアニストは、トリオ編成の時が一番素晴らしい、というような「フォーマット限定」のピアニストではない、と昨日書いた。

昨日は、キャノンボール・アダレイと組んだ「Know What I Mean?」をご紹介したが、今日は、トランペットのフレディー・ハバード、ギターのジム・ホールと組んだ、クインテット構成のリーダー・アルバムをご紹介したい。そのアルバム・タイトルは『Interplay(インタープレイ)』(写真左)。

1962年7月の録音。パーソネルは、Freddie Hubbard (tp) Bill Evans (p) Jim Hall (g) Percy Heath (b) Philly Joe Jones (d)のクインテット構成。当時、若き精鋭トランペッターのフレディー・ハバードをフロントの管に添え、バッキングの彩りに、ジム・ホールのギターを加えた、ちょっと異色とも言えるクインテット構成である(普通は、もう一本、サックスなどの管を加えるんだけど)。

ドラムに、フィリー・ジョー・ジョーンズが座っており、このアグレッシブなバップ・ドラミングを供給するフィリー・ジョーの存在が、このアルバムの全体トーンを決めている。それというのも、以前、このブログでも書いたが、エバンスは、演奏の時、組むドラマーの特性に合わせた弾き方をする。フィリー・ジョーの時には、実に楽しそうに、アグレッシブにピアノをドライブさせる傾向にある。

恐らく、相性が合うんだろう。そして、良く聴いてみると、アグレッシブで荒くれっぽいという先入観のあるフィリー・ジョーのドラミングだが、4曲目のタイトル曲「Interplay」では、意外とセンシティブなドラミングも披露していて、フィリー・ジョーのドラマーとしての特性を見直したりするのだから面白い。

Interplay

『Undercurrent』『Intermodulation』の2枚の傑作デュオ・アルバムの存在を見ても判るとおり、ギターのジム・ホールとエバンスの相性は「抜群」。

ギターもピアノも、コード楽器とリズム楽器の両面を持つ、ある意味、厄介な楽器なんだが、エバンスとホールは、コード楽器として、音を重複させることなく、「ギター+ピアノ」での相乗効果が出るような、効果的な弾き方を披露し、バンド演奏の裾野を拡げている。そして、リズム楽器としては、ドラムのビートをベースに、役割分担よろしく、ギターが旋律を奏でる時はピアノがリズムを、ピアノが旋律を奏でる時はギターがリズムを担当している。この役割分担が、このアルバムでは絶妙である。

フレディー・ハバードは、当時、若き精鋭、マイルスや亡きクリフォード・ブラウンの後を継ぐものとして、テクニック抜群、歌心抜群、将来を嘱望されたトランペッターである。

確かに上手い。確かに、必要最低限の歌心も備えている。基本的に不満は無い。でもなあ〜。ハバードのソロを聴いていると、マイルスそっくりなのが、どうも気になる。オープンもミュートもマイルスの影がつきまとい、歌心を見せる面でも、マイルスの「歌い方」そっくり。このハバードの存在が、不満と言えば不満かな。もう少し、癖のある、中堅トランペッター(ヶニー・ドーハムとか)をもってきたほうが、面白かったと思う。

それでも、このアルバムには、ジャズの楽しさが、一杯に詰まっています。どの曲も実にスインギーに、実に楽しそうに演奏されていて、これぞ「インテリジェンス・ハード・バップ」って感じで、スタンダード楽曲を中心に、理知的に、ドライブ感溢れる演奏を繰り広げています。

僕も、ジャズ初心者の時代には、大変、お世話になったアルバムで、意外と録音状態やバランスも良く、何度聴いても聴き飽きない、優れた内容のアルバムです。ジャズ初心者の方には、お勧めの佳作だと思います。
 
 
 
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2008年9月27日 (土曜日)

Know What I Mean?

日本では、ビル・エバンスと言えば「ピアノ・トリオ」でないと許さない、的な雰囲気があるが、何も、ビル・エバンスというピアニストは、トリオ編成の時が一番素晴らしい、というような「フォーマット限定」のピアニストではない。

逆にフロントに管楽器を持ってくると、管楽器が旋律を浮きだたせ、加えて、エバンスの優れたバッキングが管楽器を引き立たせる、という相乗効果で、聴き応えのあるアルバムが生まれ出るケースが幾つかある(もともと、エバンスは、管楽器をフロントにしたカルテット以上の構成での録音が、トリオほど多くない)。

管楽器と組むことで、聴き応えのあるアルバムとなった一枚が『Know What I Mean?』(写真左)。フロントに、アルトサックスのキャノンボール・アダレイを立てたカルテット構成。パーソネルは、Cannonball Adderley (as) Bill Evans (p) Percy Heath (b) Connie Kay (d)。1961年の1月〜3月の間、3回のセッションを経て作成されたアルバムである。

タイトルの「Know What I Mean?」は、和訳すると「俺の言ってること、判るかい?」。当時、キャノンボール・アダレイの口癖。この口癖をタイトルに、エバンスはオリジナルを書いています(アルバムのラストに収録されていますね)。

さて、このアルバムの内容は、冒頭の有名曲「Waltz For Debby」の出だし3分で保証されたようなもの。リリカルで叙情的なエバンスのピアノの前奏から、主題をキャノンボールのアルトサックスが可愛く軽やかに吹く。
 

Know_what_i_mean

 
「Waltz For Debby」の美しいテーマの旋律が、アルトサックスによって、クッキリ浮かび上がってきて、優しく可愛らしい中に、力強さが漲る、ピアノ・トリオの時とはまた違った「Waltz For Debby」が聴ける。躍動感溢れる「Waltz For Debby」。良い感じである。

リリカルで叙情的なエバンスのピアノと、ファンキーで陽気なキャノンボールのアルトサックスとは、水と油で合わない、とする向きもあるが、そうとは思わない。エバンスのバッキングの技術、能力は、そんな並のものではない。ファンキーで陽気なキャノンボールのアルトサックスを上手く活かす、それでいて、自分の主張はしっかりと通す、という、非常に優れたバッキングを提供している。

キャノンボールも、このアルバムでは、圧倒的にファンキーで明るく陽気なアルトは封印し、エバンスのバッキングに上手く乗るような、柔らかく優しい、ちょっと可愛らしい、明るくはあるが抑制のとれたアルトサックスを聴かせる。このアルバムのキャノンボールのアルトを聴くと、キャノンボールの演奏家としての能力の高さが理解できる。

2曲目の「Goodbye」以降、「Who Cares?」「Venice」「Toy」「Elsa」「Nancy (With the Laughing Face)」、ラストの「Know What I Mean?」まで、ポジティブで明るい、それでいて抑制の効いた、リリカルな演奏が繰り広げられる。どの曲の演奏も優秀。曲によって、バラツキが無いのはさすが。エバンスとキャノンボールのコラボの妙が堪能できる優れた演奏ばかりです。

このアルバムは、聴く人によって評価がコロコロ変わる、不思議なアルバムですが、僕は好きです。ジャズ初心者向けに格好のアルバムの一枚だと思います。

ちなみに、2曲目の「Goodbye」は、夜、寝る前によく聴きます。僕にとって「ナイト・キャップ」的な、お気に入り曲のひとつです。ユッタリしみじみして、心が洗われるような雰囲気に包まれる、実に叙情的な演奏で、その日の寝付きが確実に良くなります(笑)。
 
 
 
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2008年9月25日 (木曜日)

レッド・ツェッペリン Ⅱ

レッド・ツェッペリン(以下ゼップと略す)の『デフィニティヴ・ボックスセット』を手に入れての、ゼップ聴き直しシリーズの第2弾である。当然、聴き直しアルバム名は『レッド・ツェッペリン Ⅱ』(写真)。

この『レッド・ツェッペリン Ⅱ』、ゼップの傑作の誉れ高いロック名盤のひとつ。冒頭「胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love)」の格好良すぎるイントロのリフから、ラスト「ブリング・イット・オン・ホーム(Bring It on Home)」の、ブルースを洒落たギター・エンディングまで、ロックンロールからブルースまで、ロックの楽しさが詰まった、何度聴いてもいい、名作中の名作である。

今回、『デフィニティヴ・ボックスセット』は、E式(UK盤)ジャケットでの紙ジャケ、SHM-CDでの提供であるが、まず、ジャケットについては実に丁寧な作りで、素晴らしい出来である。E式の特徴をしっかりと反映し、所有欲を十分に満たしてくれる優れもの。手に入れて良かった、と改めて思う。

そして、SHM-CDの音質は「なかなかに良好」。このCDは、ジミー・ペイジ自らの手による「1994年リマスター」を使用しており、この「1994年リマスター」はもともと素晴らしいリマスタリングなので、音の基本は変わらない。

Zep_2

しかし、音の粒立ち、輪郭がクッキリし、音の分離が更に良くなった印象があって、昔、高校時代、僕の安価なステレオセットでは、もっこりと音の塊になって分離できなかった、メンバーそれぞれの楽器の音がしっかりと浮かび上がってくるところは、なかなかに聴かせる。もともと『レッド・ツェッペリン Ⅱ』って録音状態って良くなかったからなあ。

そのメンバーそれぞれの楽器の音がしっかりと浮かび上がってくる中で、認識を新たにしたのは、ジョン・ポール・ジョーンズ(以下ジョンジーと略す)のベースのテクニック。3曲目「レモン・ソング(The Lemon Song)」でのジョンジーのベースは凄まじいものがある。とにかく上手い。格好良い。特に間奏部分のベースソロには聴き惚れてしまう。

加えて、音の分離が良くなったところで、6曲目(B面2曲目)「リヴィング・ラヴィング・メイド(Livin' Lovin' Maid)」のジョンジーのベースには鬼気迫るものがある。う〜ん、ペイジのギター、ボーナムのドラムに相対するベース、やはり只者ではなかった。やはり、ゼップのベーシストは凄かった。
 
ジョンジーのベースの素晴らしさを再認識できたのは、SHM-CDの恩恵だろう。いろいろ異論はあるだろうが、このSHM-CDの音質は素晴らしい。少なくとも、従来盤には無い「音の粒立ち・明確な輪郭・音の分離」がある。
 
この『レッド・ツェッペリン Ⅱ』は何度聴いても興奮する。そして、叙情的な4曲目「サンキュー(Thank You)」を何度か繰り返し聴いて、しみじみしてしまうのだ。
 
 
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2008年9月24日 (水曜日)

レッド・ツェッペリン Ⅰ

レッド・ツェッペリンの『デフィニティヴ・ボックスセット』を手に入れて、早4日が経過した。その経緯については、9月20日のブログでご説明したが、おかげ様で、順調に聴き直しが進んでいます(笑)。

まずは「レッド・ツェッペリンⅠ」(写真)を聴き返したんだが、やっぱり良い。レッド・ツェッペリン(以下ゼップと略す)って良いねえ〜。とにかく、リフ一発、フレーズ一発、シャウト一発、ロックの基本中の基本が詰まっていて、全編、あっという間に聴き終えてしまう。

さすが、ジェフ・ベックの後を受けて、ヤードバーズの最終リード・ギタリストになった、ジミー・ペイジ。ただでは終わらない。次なるバンド結成に向けて、新しい楽曲のテストを積み重ね、遂には、ゼップのメンバーに、メンバーを入れ替えて、ニュー・ヤードバーズとして、新しい楽曲のリハーサルを重ねる入念さ。
 

Zep_1

 
とにかく、「レッド・ツェッペリンⅠ」に収録された楽曲は全て、当時、絶対に売れる「売れ筋」を入念に分析し、その「売れ筋」の音的要素を全て詰め込んだ「用意周到さ」が素晴らしい。ロックンロールに必須な「印象的なリフとフレーズ」、当時絶対的人気を誇った「ブルース調」、そして、まだまだ根強い人気を維持していた「サイケディックな曲調」がしっかり詰まっている。

売れないはずないよな〜。でも、ゼップの素晴らしいところって、当時の「売れ筋」の全てを踏襲しているんだが、今の耳で聴いても、古さを感じないこと。どころか、新しい発見があったりするところ、これって、今でもイケるんじゃないの、と思わせる「音の普遍性、先進性」が素晴らしい。

今でも冒頭出だしの「Good times bad times」のイントロのリフを聴くだけでワクワクするし、「Dazed and confused」の怪しさに惚れ惚れし、「Communication breakdown」の疾走感にドキドキする。

やっぱり、ゼップは、僕にとって、永遠の、最大の「ロック・スター」だということを再認識した次第です。
 
 
 
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2008年9月23日 (火曜日)

ジャズの小径・9月号の更新です

今日は秋分の日。朝〜午前中は肌寒い、半袖よ、さようなら〜、って陽気だったが、午後から一転、夏の名残の日差しが照りつけ、ちょっと蒸し暑い陽気に。変な気候やねえ。でも、夕方には涼しい風が吹き始め、いよいよ秋到来である。

さて、我が、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」更新のお知らせです。「ジャズ・フュージョン館」の月次定期更新の名物コーナー「ジャズの小径」の9月号の更新です。今月は23日と、9月号の更新、うっかりしてて、ちょっと遅れました。危ない危ない。

「ジャズの小径」9月号の話題は「フリー・ジャズ」。さて、そもそも「フリー・ジャズ」とは何か。

ジャズの演奏には「ルール(演奏の方法や表現の仕方など)」があります。この「ルール」は、それぞれの時代で、ジャズ界で、ミュージシャンらの多数決によって決められた「ルール」であって、その「ルール」では「自分ならでは表現できない」と主張するミュージシャンが出てくるのは当然だと思います。じゃあ、自分だけの「ルール」を作ってしまおう、ということで、突如、現れたのがフリージャズです。この新しい表現方法は、1960年代、瞬く間にジャズ界に浸透していくのですね。

Free_jazz_1

この「フリー・ジャズ」というジャンルの演奏って、ジャズ初心者の方々には荷が重い、と思っています。ずばり、個人的な意見を言わせていただくと、フリー・ジャズの演奏は、よほどジャズを聴き慣れていないと、聴くのが苦痛以外の何物でもありません。単純に、心のおもむくまま、感じるまま、楽器を吹き鳴らしているとしか、思えないですからね。秩序も何もあったもんじゃない、聴き続けるのが苦痛になる、そんな厄介なジャズのジャンルが「フリー・ジャズ」です。

僕も、ジャズ初心者の時、「フリー・ジャズ」って、さっぱり判りませんでした。ジャズを聴き続けて、10年くらい経ってからですかね、何となく、抵抗なくすんなり聴けるようになったのは・・・・。「フリー・ジャズ」にも、ミュージシャン固有の「ルール」があるんだ、ということが判るようになれば、しめたものなんですが、これがなかなか判らない。

といって、「フリー・ジャズ」というジャンルがある以上、一度は経験しなければならないし、ジャズの達人道を歩もうとすれば避けられない(笑)。ジャズ初心者の方々でも、怖い物見たさで、一度聴いてみたいとも思う(笑)。

で、今回は「フリー・ジャズ」のジャンルの演奏から、入門盤として取っつき易いアルバムを2枚ご紹介します。もちろん、ジャズ初心者の方には「聴くな」とは言いませんが、聴く時は十分、精神状態と体調に気をつけて聴いて下さい(笑)。

バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」。左をクリックして、是非、遊びに来てみて下さいね〜。秋の装いに衣替えして、お待ちしております m(_ _)m。
 
 
 
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2008年9月22日 (月曜日)

Electricジャズ...後を継ぐ者

なかなか天気が回復しない千葉県北西部地方である。朝から日中は時々雨。この夕方になって、雲が割れて、ちょっぴり青空が覗き出した。しかし、今日は朝から肌寒い。半袖では外を歩けない。一気に秋に突入したって感じです。

さて、一ヶ月ほど前、8月13日のブログで、「純ジャズ...後を継ぐ者」と題して、純ジャズの流れを継承する若手ジャズミュージシャンについて語ったわけだが、ふと今日、あるアルバムを聴いていて、じゃあ、エレクトリック・ジャズはどうなんだ、と思った。

エレクトリック・ジャズの起源は、マイルス・デイヴィスに端を発する。1968年録音の『Miles In The Sky』が発端だろう。それから、しばらくはマイルスの独壇場だったが、そのマイルス配下から、チック・コリア、ジョー・ザビヌル、ハービー・ハンコックらがエレクトリック・ジャズで活躍し、その動きが、ロック、ポップスの音楽手法、表現手法と融合し、フュージョン・ジャズというムーブメントが生まれた。

このエレクトリック・ジャズの発展は、1988年、ギル・エバンスの逝去と共に失速し始め、1991年、マイルスの逝去で更に失速、2007年、ジョー・ザビヌルの逝去で、ベテラン・ミュージシャンが中心のエレクトリック・ジャズの発展は終焉を迎えた。

チック・コリアとハービー・ハンコックがいるではないか、という声も聞こえるが、両者とも、純ジャズとエレクトリック・ジャズを行ったり来たり、双方のジャンルを股にかけるコンポーザー&アレンジジャーであるため、エレクトリック・ジャズ専門の演奏家では無い。
 

Pat_metheny_live_euro

 
じゃあ、現在のエレクトリック・ジャズのリーダーは誰なんだ、と考えたら、いましたいました、パット・メセニーがいるじゃないですか。彼はもともとエレクトリック・ギターの出身、現在のパット・メセニー・グループは、エレクトリック・ジャズの最先端のバンドとして君臨しています。

今日、聴いたアルバムが『The Road to You: Recorded Live in Europe』(写真左)。1993年に発表された、パット・メセニー・グループによる、1991年のヨーロッパツアーの模様を収録したライブアルバム。ちょっと古いんだけど、このパット・メセニー・グループのエレクトリック・ジャズとしてのパフォーマンスには圧倒的なものがある。

基本的には『スティル・ライフ』から『レター・フロム・ホーム』に至る時代のコンセプトをライヴで再現したものですが、冒頭の2曲『Have You Heard』と『First Circle』が特に素晴らしい。メセニーのギターの音色と、メイズのキーボードの音色と、ペドロ・アズナールのボーカルの音色、その3者の「音的な相性」がピッタリなのが良く分かる。パットのギター・シンセが目立つオリジナル曲も多く収録されていて、エレクトリック・ジャズにギターが重要な要素のひとつであることを再認識できる。

最新盤にはリマスターが施され、実にハイ・クオリティな音質となった。演奏も素晴らしいが、同時に音質もこれまた素晴らしい。文句なしに、エレクトリック・ジャズを牽引する、素晴らしいライブ音源です。

もうちょっとですね〜、チックとハービーに、エレクトリック・ジャズを頑張って引っ張って貰って、中堅〜ベテラン層は、チック、ハービー、パットの3巨頭でエレクトリック・ジャズを牽引しつつ、将来ある優秀な若手の台頭を待つ、って図式、どうでしょうか。とにかく、エレクトリック・ジャズのジャンルでの若手の台頭が待たれます。 
 
 
 
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2008年9月21日 (日曜日)

お気に入りチック・ワールド

今日はかなり早起きをして、嫁はんの実家へ。彼岸なので墓参りである。さすがに、朝7時前に出ると、高速道路は空いているので、運転が楽。帰りも昼過ぎに早めに出て、ちょっと事故渋滞に巻き込まれたが、それでも軽めの渋滞で、楽々日帰り往復である。

さて、ジャズのミュージシャンで、一番お気に入りのミュージシャンは、と問われれば、マイルス・デイビス。では2番目は、と問われれば、チック・コリア(Chick Corea)と答える。とにかく、チックのピアノ、キーボードは、その手癖、その音の重ね方、等々、全てが好きである。

そんなチックのアルバムは、当然、正式にリリースされたものは、LP時代のものはCDに買い換えて、ほとんど所有しているが、そんなお気に入りのチックのアルバムでも、何の因果か、相性が悪いのか、なかなか手に入れることの出来ないアルバムが2、3枚ある。

その一枚が『Secret Agent(シークレット・エージェント)』(写真左)である。チック・コリアのリーダー作で、2005年になるまで、CD化されていなかった1枚で、リイシュー当時は、待望のCD化と思った。が、なぜか、すぐ入手せずに「スルー」。そのまま、見過ごしてしまった。するとである。昨年半ば頃に、フッと思い出して、ネット・ショップを徘徊したのだが、これが、廃盤状態で在庫が無い。
 

Secret_agent

 
僕の長年のコレクターとしての経験として「欲しいCDと本は見つけた時に、借金してでも買っておけ」という信念があるのですが、この『Secret Agent』の時は、ちょっと「ゆるんだ」。しばらくすると、在庫有の状態に復活することもあるんだが、タイミングが合わずに購入するに至らず、そうこうするうちに、また、在庫が無い状態に。

「しまった〜」と思って詳細を調べてみると、この『Secret Agent』って、日本限定のCD化だった。国内盤か〜、ヤバっ〜、在庫がもう無いかも。で、やっとこ、在庫が回復して、先月手に入れました。

本当に久々に聴いたんですが、良いですね〜。冒頭のピアノの叩き方を聴いただけで、チック・ワールドが広がります。シンセの使い方、音の使い方、ブラスの音の重ね方、等々、どこを取っても、チック・ワールド。どの曲を聴いても、チック・ワールドです。

1978年の録音で、チックがフュージョン路線を極めた感のある時期のアルバムで、まあ、中にはちょっと問題もありますが(ゲストのAl Jarreauとの相性には疑問符が付くし,バルトーク作「バガテル 4」は、明らかに蛇足・やり過ぎの類でしょう)、相当に聴き応えがあります。

この『Secret Agent』って、チックの代表作の位置を占めるアルバムではないのですが、チック・ファンにとっては、チックのシンセが堪能できる、たまらないアルバムです。

そして、極めつけ、チックの十八番であるラテン調の名演として、ラストの「Central Park」は外せない。チック・フレーバーに溢れた素晴らしい曲と演奏を存分に楽しめます。
 
 
 
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2008年9月20日 (土曜日)

悩んだあげく、遂にゲット

昨晩は遅くまで飲んで帰って、最寄りの駅に着いたら、土砂降りの雨。そうか、台風が来てたんや。しかしながら、心配していたほど、荒れた天気にはならず、今日は、日差しは少し強いけど、台風一過の爽やかな一日。すっかり秋の気配濃厚の千葉県北西部地方です。

さて、一昨日、小川隆夫さんのJAZZ blog『Keep Swingin'』を拝読していたら、最近気になったボックス・セットとして、レッド・ツェッペリンの『デフィニティヴ・ボックスセット』(写真下左)を取り上げておられて、評価も良好とのこと。一度は購入を検討したものの、ちょっと高額なので、今回は購入を見送った経緯があるんだが、この小川さんのブログ記事を見て、僕の中のコレクター魂に火がついた。

Zep_boxset

これまで、レッド・ツェッペリンの紙ジャケは何度か発売されてはいるが、そのジャケットの仕様はUS盤仕様(A式)に準じていた。もともと英国のバンドなのに、なんで紙ジャケの仕様がA式に準じているか、理解しかねる。が、悲しきはコレクター、ブツブツ良いながらも、A式に準じた、レッド・ツェッペリンの全てのアルバムの紙ジャケを手に入れた。

が、である。今回のレッド・ツェッペリンの紙ジャケは、なんとUK盤仕様(E式)でのリリースなのだ。う〜ん、さすがにこれには悩んだ。もうひとつの「売り」である、SHM-CDでのリリースについては、僕にとってはどうでもいい話で、E式でのリリースというのが大問題なのだ。

しかも、デビュー・アルバム『レッド・ツェッペリン』は、英国での初回プレス盤として発表され、ファンの間で“幻”とも呼ばれる「ターコイズ・ブルー(水色)ロゴ」のジャケットを世界で初めて再現し、加えて、ボックス盤では、お宝特典として、当時LPで発売された『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』の別ジャケット5種+1stアルバム『レッド・ツェッペリン』のオレンジ・インク・ジャケットの計6枚(ジャケットのみ)が封入される、ときた。

Zep_boxset2

欲しい、でも高い。A式仕様で全てのアルバムの紙ジャケを持っているし、『Complete Studio Recordings』も持っている。とりあえずは「購入見送り」の結論は出したんだけどなあ。『デフィニティヴ・ボックスセット』の発売後、あちらこちらのブログでその評価は気にして見ていたんだが、なんか評判が良い。しかも、限定5,000セットという制限も頭の中をよぎる。考え直すなら早くしないと、在庫無しの状態になったら最悪だ。

で、小川隆夫さんのブログの記事が決め手となって、悩んだあげく、翻って、遂に、このレッド・ツェッペリンの『デフィニティヴ・ボックスセット』をゲットしてしまいました。手にして、ジャケットの出来などを軽くチェックしましたが、なかなか良いですね〜。少なくとも、A式よりも出来が良さそう。コーティングや紙の質感も良い感じです。

気になる『レッド・ツェッペリンⅢ』や『フィジカル・グラフィティ』のような、特殊ジャケットの出来も良いです(これはA式の時も良かったけど)。全くのアナログ盤(LP盤)のミニチュア化で、LP盤で育った僕にとっては、実に懐かしい感じがします。

そうそうSHM-CDについては、もともとジミー・ペイジの手になる1994年リマスターは、大変、出来がよいので、音の根本は変わりません。ただ、表面を覆っている薄いベールを取り除いたような、音のクッキリ感はあります。

今回のレッド・ツェッペリンの紙ジャケ・リリースは、SHM-CDでのリリースより、E式仕様での紙ジャケ化の方が、コレクターやマニアにとってはポイントでしょう。逆に、E式仕様での紙ジャケ化に全く興味の無い方にとっては、今回の紙ジャケ・リリースはあんまり触手が伸びるものではないですよね。

ちょっと高額なボックスセットでしたが、僕にとっては、思い切って翻って購入して良かったです。この内容、この出来からすると、手に入れていなかったら、かなり後悔していたと思いますね〜。
 
 
 
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2008年9月18日 (木曜日)

ピアノ・トリオの傑作ライブ

ビル・エバンスの話の続き。ビル・エバンスのキャリアの前半、その前半のハイライトは、やはり、ベーシスト=スコット・ラファロ、ドラムス=ポール・モチアンの「伝説のトリオ」だろう。

昨日、語った『ポートレイト・イン・ジャズ』から、『エクスプロレイションズ』の2枚のスタジオ録音。そして、そのスタジオ録音を上回る、ライブ録音盤が『ワルツ・フォー・デビィ』(写真左)と『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(写真右)の2枚。

どちらも、1961年6月、ニューヨークのライブハウス、ビレッジバンガードのライブ録音。一期一会というか、奇跡的というか、ピアノ・トリオとしての、インタープレイの最高峰の演奏が聴ける、類い希なる名盤である。

Bill_villagevanguard

ビル・エバンスの、明らかにクラシックに影響を受けたであろう印象派的な和音の重ね方、創意に富んだアレンジ、明快で端正なピアノ・タッチ、インター・プレイの積極的な導入が、ライブという、紛れもない、ジャズとしての基本的なシチュエーションで追体験することができる。

改めて聴き直してみると鳥肌が立つ。これだけ、自由奔放かつ精巧緻密なインタープレイは、なかなか、お目にかかれない(お耳にかかれない、か)。曲の特徴を掴みつつ、どうすれば自らのトリオが際だつのかを良く考えたアレンジの妙。そして、現在に至るまで、後生のピアニストに影響を与え続けて「当たり前」と思わせる「端正で柔軟で明快で端正なピアノ・タッチ」。エバンスのベースとなる全ての要素がこのライブ盤に凝縮されている。

特に鬼気迫るのは『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』。このライブ演奏の11日後、自動車事故でこの世を去った、スコット・ラファロの追悼盤。ベースのスコット・ラファロが対等な立場で、ピアノのエバンス、リーダーのエバンスに挑みかかる。ドラムのポール・モチアンが、そのインタープレイを「ドカッ」と支える。自由なベース、それを統制するピアノ、それを支えるドラム。「ピアノ・トリオ」のインタープレイの見本がここにある。

『ワルツ・フォー・デビィ』については「言葉はいらない」。その美しさ、その煌めきは筆舌に尽くしがたい。これこそ、たった一言「聴けば判る」。このアルバムは凄い。全ての人達に、大なり小なり、奏でられる音楽について、感動の思いを持たせてくれる、類い希な名盤中の名盤である。
 
 
 
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2008年9月17日 (水曜日)

アレンジの妙と和音の重ね方

涼しくなったのに合わせて、最近、ビル・エバンスを聴き直している毎日である。

ビル・エバンスは、明らかにクラシックに影響を受けたであろう印象派的な和音の重ね方、創意に富んだアレンジ、明快で端正なピアノ・タッチ、インター・プレイの積極的な導入が特徴。「リリカルで耽美的、繊細」の面ばかりがクローズアップされがちだが、この見方は偏った見方。

エバンスは、曲毎に、創意工夫あふれるアレンジの才を発揮、そのアレンジに応じて、ピアノの奏法を変えることの出来た、テクニックに優れたジャズ・ピアニストである。アグレッシブなピアノが要求されればアグレッシブなピアノを弾き、リリカルで繊細なピアノが要求されれば、リリカルで繊細なピアノを弾くことの出来る、優れたピアニストであった。

その「印象派的な和音の重ね方、創意に富んだアレンジ、明快で端正なピアノ・タッチ、インター・プレイの積極的な導入」が明確に理解できるアルバムが『ポートレイト・イン・ジャズ』(写真左)。

実は、ジャズ初心者の頃、僕はこのアルバムを初めて手にした時、このアルバムの良さがさっぱり判らなかった。確かに、それぞれ収録された曲は美しい。冒頭の「Come Rain or Come Shine」、5曲目「When I Fall in Love」、8曲目「Spring Is Here」は確かに、リリカルで繊細。確かに、エバンスのピアノタッチは美しい。でも、それだけか?って感じだった。
 

Portrait_in_jazz_pict

 
有名な「枯葉」の2バージョン(モノラルとステレオの2バージョン)も確かに、美しい演奏なのだが、それだけ?って感じだった。当時、ジャズ入門書には、エバンスは「リリカルで耽美的、繊細」なピアニストとばかり紹介されていて、じゃあ、「Spring Is Here」「Peri's Scope」の弾むような、明るく、端正なタッチってなんなんだ、と思って、訳が分からなかった。

ビル・エバンスのピアノって、そのアレンジに応じて、ピアノの奏法を変えることの出来た、テクニックに優れたジャズ・ピアニストなんだ、って気づいたのは、かなり後になってから。自分なりに、ビル・エバンスのピアノについて、ビル・エバンスというミュージシャンについて、自分なりの解釈が出来るようになってから、ビル・エバンスのアルバムを聴くのが、楽しくなった。

そのアレンジの妙を一番感じ取れるのが『ポートレイト・イン・ジャズ』。「枯葉」などは、先に、キャノンボール・アダレイ名義で吹き込まれた『サムシン・エルス』に収録されたマイルス・デイヴィスの決定打があるんだが、これは、若干スローテンポなバラード。エバンスは、その逆、弾むような若干アップ・テンポなアレンジ、マイルスとは全く違った表情の「枯葉」を聴かせてくれる。加えて、イントロのアレンジ。これは圧倒的にエバンスの勝ち(だと僕は思う)。

『ポートレイト・イン・ジャズ』に収録された、どの曲もどの演奏も、実に良くアレンジされている。この優れたアレンジがあって、三者一丸となったインタープレイが可能になる。そして、エバンスの様々な表情を持ったピアノが堪能できる。そして、エバンスのピアノの最大の特徴は「明らかにクラシックに影響を受けたであろう印象派的な和音の重ね方」だということが理解できる。

エバンスのフォロワーは多いけど、エバンス・オリジナルのピアノの聴き分けポイントは、この「和音の重ね方」にあると、僕は思っている。
 
 
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2008年9月16日 (火曜日)

リック・ライトが死去

ピンク・フロイドのオリジナル・メンバーでキーボード奏者のリック・ライト(リチャード・ライト/Richard Wright)が9月15日、癌のため死去したとのことです。65歳。早すぎる。

リック・ライトのキーボードは、決して上手くは無いのですが、味があるというか、カラーがあるというか、バンドの奏でる音に色彩を付けるようなキーボードで、何もキーボードはテクニックだけでは無い、と思わせてくれる、独特の存在でした。

Rick_wright

そんな彼のベスト・プレイは、やっぱり『狂気』(写真左)でしょう。このピンク・フロイドの代表作で、リック・ライトのキーボードが堪能できます。

デヴィッド・ギルモアは、「誰もリック・ライトの代わりはできない。彼は僕の音楽パートナーであり友人であった」と追悼のコメントを発表したそうです。納得できるコメントですね。

デヴィッド・ギルモアのギター無しにピンク・フロイドが語れないように、リック・ライトのキーボード無しには、ピンク・フロイドは語れません。もうオリジナル・メンバーでの再結成は無くなりました。残念でなりません。ご冥福をお祈りします。合掌。
 
 
 
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2008年9月15日 (月曜日)

「まだまだロックキッズ」更新です

久々に、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」(左をクリック)を更新しました。「まだまだロックキッズ」のコーナーを更新です。

「まだまだロックキッズ」のコーナーとは、70年代ロックの中で、ちょっとマイナー、ちょっとマニアなミュージシャンの話題や、なんやかんやで聴きそびれたままの70年代ロックの名盤、最近、新たに発売された70年代ロック・ミュージシャンのアルバムを中心にご紹介するコーナー。

70年代後半は、リンダ・ロンシュタットを筆頭に、ウェスト・コースト系の女性シンガーの名作が続出し、夢のような時代。そのリンダ・ロンシュタットのアルバムに取り上げられて一躍名をあげたシンガー・ソング・ライターが「カーラ・ボノフ」。今回は「ウエストコーストの歌姫たち・その2」として「カーラ・ボノフ」(写真左 : 近影、写真右 : 79年のカーラ)を取り上げてみました。

Karla_bonoff_picture

僕にとって、米国西海岸ロックの歌姫と言われて、まず、頭に浮かぶのは「カーラ・ボノフ」です。アメリカの清純派系シンガー・ソングライターで、西海岸ロック歌姫の筆頭、リンダ・ロンシュタットに沢山の曲を提供しています。

このリンダとボノフって、実に対象的で、リンダが薔薇の花とすれば、カーラは百合の花。リンダが明るい人気者なら、カーラは内気で目立たないタイプ。同じ曲を歌っても、リンダはパンチがあって天真爛漫、カーラのほうは、ひっそりと清楚な佇まい。僕は、この「清楚な佇まい」ってところが好きなんですね。今回は、カーラの代表的なアルバム2枚をご紹介しています。
 
どうぞ、一度、バーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」(左をクリック)にお越し下さい。「まだまだロックキッズ」のコーナーにアップしています。
 
 
 
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2008年9月14日 (日曜日)

ジャクソン・ブラウンの新作です!

先週の木曜日(11日)のブログで、「J.D.サウザー、久々の新作です」ってお話しをしたら、そうそう、ジャクソン・ブラウンも、この9月23日に米国にて新作をリリース(日本では10月1日)するんだってことを思い出しました。

ウェストコースト・ロックの重鎮、今やベテラン・シンガー・ソングライターである、ジャクソン・ブラウン。今年の10月9日で60歳となるんですね〜。月日の経つのは「恐ろしい」(笑)。

カルフォルニアの抜けるような青空の下、受け取り手が誰か不確かな、その虚空に投げ上げるような、透き通ったメッセージ。しかし、それは無責任ではない。それは、世界のどこかで同調してくれるであろう同士への力強いメッセージ。そんな「青さ」が素敵なジャクソン・ブラウンの70年代のアルバムの数々。僕は、1972年のファーストアルバムから、1980年『ホールド・アウト』までが、とにかく好きですね〜。

1980年代になって、その「青臭さ」が抜けて、レコード製作を通して社会的な発言を行うだけではなく、実際に様々な行動を起こして積極的に活動。徐々に政治的な内容を多く含む曲を発表するようになる訳ですが、これはこれで、僕は嫌いではありません。ファンとはそういうものです(苦笑)。しかしながら、1993年『アイム・アライブ』、1996年『ルッキング・イースト』で、再び、内省的な曲作りに回帰するところなんぞは、これまた人間臭くて良いですね。ファンとはそういうものです(苦笑)。

Time_conquiror

で、今回の新作なんですが、タイトルは『Time the Conqueror (邦題:時の征者・写真左)』1999年に自身のレーベル「Inside Recordings」を立ち上げ、これまでに、05年『ソロ・アコースティック第一集』、08年『ソロ・アコースティック第二集』というアコースティック・ソロ・ライヴの模様を収録した作品を続けてリリースしてきましたが、スタジオ録音としては、約6年ぶり、この作品は02年『ネイキッド・ライド・ホーム』以来の作品となります。

長年のサポートメンバーであるギターのマーク・ゴールデンバーグ、ベースのケヴィン・マコーミック、キーボートのジェフ・ヤング、ドラムのマウリシオ・リワークのほかシャヴォンヌ・モリスとアレサ・ミルズをゲスト・ヴォーカルに迎え、全10曲を収録。シンプルで爽やかで温かい、相変わらずのジャクソン・ブラウンが聴けるみたいで、往年のファンとしては、期待が高まります。

なお、国内盤には、ボーナス・トラックとして盟友デヴィッド・リンドレーとのライヴ・ヴァージョンによる名曲「レイト・フォー・ザ・スカイ」も収録される予定とのこと。いつもながら、この国内盤のみのボーナストラックの存在が良く判らんが、僕はいつものように、US盤を手に入れることになります。
 
そうそう、ジャクソン・ブラウンについては、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」に、「ウエストコーストの吟遊詩人/ジャクソン・ブラウン」(左をクリック)として、アルバム紹介をアップしていますので、よろしければ、是非、こちらもご覧下さい。

『ソロ・アコースティック第二集』も良かった。さあ、発売日の9月23日が待ち遠しいなあ。
 
 
 
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2008年9月13日 (土曜日)

久しぶりのフリー・ジャズ系

昨日は、遅くまで働いていて、さすがに家に帰り着いてブログを打つのも、なんとなく精神的に疲れていたので、お休みしました。でも、今日から3連休。このところ、精神的に仕事に忙殺されていた分、ノンビリ、ユックリ、ゴロゴロ過ごしたいと思っています。
 
で、ほんとに今日一日については、音楽を聴きながら、ノンビリ、ユックリ、ゴロゴロの一日でした。今日は、嫁はんが友達と遊びに出かけて、昼間は家の中で一人。日頃、嫁はんに遠慮して、メインのステレオではなかなか聴けない、フリー・ジャズ系のアルバムを中心に聴き進めました。

さすがに、フリー・ジャズの演奏は、よほどジャズを聴き慣れていないと、聴くのが苦痛以外の何者でもありませんからね。でも、たまにはちゃんとしたステレオ・セットで聴かないと、その演奏の素晴らしさが実感出来ない、という問題もあるんで、今日は、フリー・ジャズを堪能。

今日のフリー・ジャズ系の掘り出し物は、ファラオ・サンダースの『ブラック・ユニティ』(写真左)。

パーソネルは、Marvin Peterson (tp, per) Pharoah Sanders (ss, ts, balaphone) Carlos Garnett (ts, fl) Joe Bonner (p) Stanley Clarke, Cecil McBee (b) Norman Connors, Billy Hart (d) Lawrence Killian (cga, talking d, balaphone)。1971年11月の録音。パーソネルの半分は知らないミュージシャン。でも、ペットはマービン・ピーターソン、ベースは、セシル・マクビーとスタンリー・クラークなど、押さえるところは押さえていて、期待の持てるラインアップである。

ファラオは、コルトレーンの晩年に行動を共にし、コルトレーンの死後、後継者として一番名乗りを挙げたサックス奏者。力強いブロウ、スピリチュアルな演奏、長いフレーズと極端に短いフレーズを組み合わせたグニャグニャ・ラインが特徴。このグニャグニャ・ラインが、はまると「癖になる」。

Pharoah_black_unity

少し前、iTunes Store を徘徊していて、たまたま、アルバート・アイラーのアルバムを物色していた時に、フッと思い立って、ファラオ・サンダースに展開。そこに、この『ブラック・ユニティ』が、アルバム一枚、150円で置いてあった。150円?、確かに、このアルバムには、タイトル曲1曲しか入ってないけど、1曲の長さが、37分23秒もあるんですけど(笑)。しかも、リマスター盤の音源をアップしてくれていて、音も良い。恐らく価格設定ミスではないかと思いつつ、即ゲットです。

37分23秒の長尺、タイトル曲「Black Unity」1曲のみで勝負。LP時代は、A面、B面に2分割されていたので、CDになってから、この曲は、切れ目無く通して聴けるようになった。よって、この「Black Unity」はCDで手に入れるべきでしょう。

完全に「自由気まま・勝手気まま」に演奏する「フリーをはき違えた」演奏では無く、混沌とした中にも、リズムとビートの底には秩序があり、実に聴き応えがあります。ツインテナーに、ツインベースに、ツインドラムの編成で、冒頭から、ブラック・ファンク炸裂。疾風怒濤、音の塊のようなグルーブ感でグイグイ引っ張りながら、全員、全速力で走り始めます。

そして、徐々に姿を見せるファラオのサックス。バリバリと吹きまくります。長いフレーズと極端に短いフレーズを組み合わせて、グニャグニャと吹き上げながら、時々咆哮ようなサックスが突き抜けます。ツインテナーに、ツインベースに、ツインドラムの編成の怒濤のバック演奏を従えて、疾走し続けます。

なかなか格好良い、フリー・ジャズです。もちろん、ジャズ初心者の方には「聴くな」とは言いませんが、聴く時は十分、精神状態と体調に気をつけて聴いて下さい。体に合わない、と思ったら、我慢せずに聴くのを中止して下さいね(笑)。

久しぶりに、メイン・ステレオで、十分な音量をかけて、フリー・ジャズ系のアルバムを複数枚聴いた。なんとなく、精神的にスカッとした。
 
 
 
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2008年9月11日 (木曜日)

J.D.サウザー、久々の新作です

70年代のウエストコースト・ロック好きに朗報です。70年代ウエストコースト・ロックのキーマンの一人、「6人目のイーグルス」とも呼ばれた、シンガー・ソングライターのJ.D.サウザー(J.D. Souther/ジョン・デヴィッド・サウザー)が、なんと、24年ぶりに新作を出すそうです。
 
タイトル名は『If The World Was You』(写真左)。米国にて10月14日にリリース予定とのこと。前作『ホーム・バイ・ダウン』が1984年のリリースですから、実に「24年ぶり」となる新作です。ほえ〜、24年ぶりかあ〜。

新作は、5人編成のジャズ・アンサンブルでレコーディングされているらしく、ジャズ・オタクの、私、松和のマスターにとっても、興味津々。12分を超える「The Secret Handshake Of Fate」など、全11曲を収録とのこと。

現在、彼のホームページでは、収録曲「The Border Guard」をダウンロードできるとのことで、早速、ダウンロードして試聴してみましたが、良いですね〜。あの頃のままです。ソング・ライターとして、まだまだ現役あることを証明する、素晴らしい雰囲気でした。新作が期待できます。

Jd_souther_new_album

5人編成のジャズ・アンサンブルでレコーディングについては、気にすることはありません。この「The Border Guard」を聴く限りでは、しっかりとウエストコースト・ロックしてます。逆に、バックのジャジーな演奏とその雰囲気が、70年代の「時代の音」を再現してくれているようです。

J.D.サウザーと言えば、不朽の名曲「You're Only Lonely」。ロイ・オービソン風の1979年のヒット・ソングが、真っ先に思い浮かびます。僕もこの曲が含まれたアルバム『You're Only Lonely』(写真右)は、今でも愛聴盤で、「ツンタタツッタ、ツンタタツッタ・・・」の前奏を聴くと、あの頃、多感な頃、疾風怒濤の大学時代の思い出が甦って、なんとなく切なくなります。永遠の名曲ですね。

そうそう、J.D.サウザーについては、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」に、「West Coast Rock の仕掛け人/J.D.Souther」(左をクリック)として、アルバム紹介をアップしていますので、よろしければ、是非、こちらもご覧下さい。

さあ、早速、予約しよっと。ちなみに、現在のところ、日本盤のリリースは未定とのことです。
 
 
 
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2008年9月10日 (水曜日)

このアレンジャーは凄い・4

秋の空気が流れ込み、先週の記録的大雨情報もどこへやら。朝のみならず夜も涼しくなった。我が千葉県北西部地方は「秋」である。涼しくなると、ドッと夏の疲れが出てくる。この2〜3日、体調は良くない。まあ、歳のせいもあるんだけどね〜(笑)。

さて、「このアレンジャーは凄い」のタイトルで、クインシー・ジョーンズをご紹介してきた。『愛のコリーダ』で終わっていたのに気がついて、あと一枚、クインシー・ワールドとして、ご紹介しておきたいアルバムがある。『バック・オン・ザ・ブロック』(写真左)である。1989年12月のリリース。クインシー・ジョーンズの最大の成果、ピークを示す名盤である。

アメリカン・ルーツ・ミュージックの源流のひとつ、ゴスペルから始まり、アカペラ、ソウル、R&B、フュージョン、ディスコ、ヒップホップ、スクラッチなどなど、アメリカン・ルーツ・ミュージックから、ジャズ、そして、アメリカン・ミュージックの当時最先端の流行まで、この『バック・オン・ザ・ブロック』一枚のアルバムの中に、黒人音楽の全ての要素がギュッと凝縮されている。

Back_on_the_block

とにかく、その凝縮度といったら並では無い。とにかくのてんこ盛り。どの曲もどの曲も、その完成度といったら、全く隙の無い、完璧なまでのクインシー・ワールド。楽曲、アレンジ、演奏、サウンド、全ての面で完璧な世界。

ジャズから始まって、ジャズの懐の深さ、ジャズの他の音楽要素への柔軟さに着目し、本当の意味での「フュージョン(融合)」を突き詰め、追求し、極めていった結果の「大傑作」アルバムである。

で、このアルバム、あまりに内容が濃すぎて、全編通して聴き通すのは、かなり辛い所業となる。僕は、前半、後半と7曲ずつ分けて聴いている。あまりの完成度の高さ故の話ではあるんだが、「大傑作」アルバムだからといって、愛聴盤になるかと言えば、それは違うんだろう。

ちなみに、クインシー・ジョーンズのアルバムの中で、僕の愛聴盤はと言えばですね〜、そうそう『Sounds...And Stuff Like That!!』やね。今まで何度聴いたか知れない、僕にとってのクインシー・ジョーンズの最高傑作。このアルバムついては、2008年8月 7日のブログをご覧下さいね。
 
 
 
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2008年9月 9日 (火曜日)

続・ビル・エバンスを愛でる一枚

今日は朝から快晴。空気は秋の爽やかな、湿度の少ない空気。風が適度にあって、風に当たり続けると肌寒ささえ覚える。夜、会社からの帰り道、道すがらの畑や公園から、虫の声が聞こえる。一週間前の日中はまだ蝉が鳴いていたのになあ。この夏から秋の季節の変わり目は、いつも劇的に展開する。
 
さて、昨日、ビル・エバンスを愛でる一枚として、『At Shelly's Manne-Hole』をご紹介した。今日も、気分は純ジャズ。この涼しさ、この爽やかさ、やっぱりビル・エバンスでしょう。今日もビル・エバンスの隠れ名盤をご紹介したい。今日も、リバーサイドからの一枚である。

そのアルバムとは、『How My Heart Sings! 』(写真左)。1962年5月、6月の録音である。パーソネルは、Bill Evans (p) Chuck Israels (b) Paul Motian (d)。ラファロ亡き後の最初のセッション。妖艶な女性顔のジャケットで有名な『Moon Beams』と対をなすアルバムである。
 
How_my_herart_sings

このアルバムでは、そこはかとなく覇気溢れるエバンスのピアノが聴ける。地味という評価を良く聴くが、僕はそうは思わない。確かに、シンプルな展開が主。ひねりを入れた、複雑な展開はこのアルバムでは影を潜めている。全体的にリラックスしたミディアムテンポの曲が多い。Chuck Israelsのベースに合わせた演奏スタイルと言えなくも無い。

しかしながら、ここでのエバンスのピアノは、肩の力が抜けた、タッチの柔らかい、それでいて、しっかりした「音立ち」。そこはかとなくドライブ感のあるインプロビゼーション。テクニックと才能を尽くした、複雑な展開だけがジャズではない。

シンプルな展開ではあるが、単純に聴こえないのは、ただ単純にバリバリ弾き続けるのではない、エバンスが、そのピアノ・タッチに、実に繊細に、技術を尽くして、緩急と幽玄自在なイントネーションを与えているからだ。どの曲も聴き応えのある、どう聴いてもエバンスの個性溢れる演奏である。

ベースがスコット・ラファロじゃない為、軽視されがちなアルバムですが、良いです。シンプルで、そこはかとなく覇気溢れるタッチのエバンスを体験するなら、このアルバムが良いのではないかと。

ジャケット写真を見る度に「こりゃ〜、ミシェル・ペトルチアーニではないか」と思うのは、僕だけでしょうか(笑)。
  
  
 
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2008年9月 8日 (月曜日)

ビル・エバンスを愛でる一枚

今朝は、ちょっと湿度が下がって、なんか、ちょっと秋を感じる朝。湿度が下がると、日差しが強くても、結構、凌げるものだ。ちょっと機嫌が良い今朝の通勤。

ちょっと秋を感じる朝、やはり、音楽はジャズになる。ちょっと機嫌が良い時には、好きなジャズ・ピアノが聴きたくなる。好きなジャズ・ピアノは多々あるが、今朝は、久しぶりにビル・エバンスを選ぶ。ビル・エバンスと言えば、ピアノ・トリオ。ちょいと隠れ名盤を。

ビル・エバンスの『At Shelly's Manne-Hole』(写真左)。パーソネルは、Bill Evans (p) Chuck Israels (b) Larry Bunker (d)。米国西海岸「Shelly's Manne-Hole」でのライブ録音。1963年5月の録音。

ビル・エバンスと言えば、耽美的な、繊細な、美的感覚溢れる、どちらかといえば「女性的な」ピアノと評されることがあるが、とんでもない。それは、彼のピアノの一部にしか過ぎない。彼のピアノは、如何に美しく、如何に印象的に、如何にジャズ的に、如何にシンプルに、如何にダイナミックに、ピアノでジャズを奏でるか、に集中している。

Bill_evans_shelly_manne_hall

このアルバムでの、エバンスのピアノは、適度にリラックスしていて、ダイナミック。速いテンポの曲でも弾きすぎることは無く、適度に音数を選んで、シンプルに弾き進めていく。力強いタッチと繊細なタッチが上手く合わさって、実にダイナミックなジャズ・ピアノが聴ける。

加えて、エバンス独特の音の重ね方、左手と右手のバランスによって、美しい旋律の響きの中に、ブルージーな響きが漂って、決して、イージーリスニング的にならない、あくまでもジャズとしての矜持の中で、素晴らしいインプロビゼーションが繰り広げられる。

どの曲も美しい。真似できそうで真似できない、ワン・アンド・オンリーな、エバンスならではのピアノ・インプロビゼーションが素晴らしい。ブラシのうまいバンカーのドラム、イスラエルのベースも自信たっぷり。楽しいライブ・アルバムである。

エヴァンスの数多い作品の中でも「隠れ名盤」的な傑作だと思います。東のビレッジ・ヴァンガード、西のシェリーズ・マンホールって感じです。
 
 
 
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2008年9月 7日 (日曜日)

分類不可能な「ポップ・ロック」

まだまだ蒸し暑い日が続きますね〜。さすがに9月になってからは、朝10時ぐらいまでは涼しい風が吹いたりして、なんとか暑さもしのげるんですが、昼前からは日差しが強くて、グングン気温が上がって、昼過ぎには「蒸し暑さ」最高点です。

それでも、7〜8月上旬の「酷暑」的な暑さを振り返ると、まだまだ涼しくなったほうだと実感します。アルバム鑑賞の方も、「酷暑」の頃はさすがに、ジャズやロックは聴く気を無くしましたが、今では、なんとかジャズもロックも毎日聴いてますものね。

そんなこんなで、最近、ロックの方は、米国のプログレッシブ・ロック事情について、再整理しています。米国って、内容の難しいもの、分かり難いものって駄目みたいで、プログレッシブ・ロックにしたって、内容的、テクニック的に勝っている「イエス」「キング・クリムゾン」よりは、「ピンク・フロイド」や「EL&P」の方が人気が高い。つまり、難しいのものは駄目なんですね。

僕のプログレッシブ・ロックの定義は、演奏形態は「インストルメンタル中心」で、「曲が長く(つまり長尺モノということ)、歌詞は思索的であり(つまりは理屈っぽく)、クラシックやジャズの要素がふんだんに散りばめられており(つまりはアデミックっぽい)、しかも、変速拍子の嵐(単調でなく、バラエティに富む)」。
 

Boston_1_2

 
ちなみに、昔、「ボストン(Boston)」という、インスト中心のバンドがあるんだが、この「ボストン」がプログレッシブ・ロックの範疇に属するのか否かという議論を良く聞いたなあ。

ボストン(Boston) は、トム・ショルツによる作詞作曲、編曲、演奏、サウンド・エンジニアリング、総合プロデュースとレコーディング・プロセスの殆ど全てを行ったソロ・プロジェクト。代表的なアルバムは、『幻想飛行』(写真左)、『ドント・ルック・バック』(写真右)の2枚が挙げられる。「No Computers」「No Synthesizer Used」とか「ハンドクラップは全て本物の手拍子」のクレジットが、その「ヲタク」度を増幅させる(笑)。

その音楽は、「チューブラー・ベルズ」のマイク・オールドフィールドや「エイジャ」のスティーリー・ダンと同類の録音ヲタクが、その技術の限りを尽くして制作したもので、これがまあ、AORの雰囲気をプンプンさせながら、その音の作りは、仰々しくてドラマチックな「プログレ」そのもの。商業ロックの到達点のひとつとして君臨するもの。

しかしながら、前述のプログレッシブ・ロックの定義に照らし合わせると、インスト中心ではあるんだが、曲はそう長くなく、組曲風でもない。歌詞は思索的どころか、青春ドラマのように判り易く、クラシックやジャズの要素はほとんど無い。しかし、変則拍子は結構多用している。こうやってみると、ボストン(Boston)は、どうしても「分類不可能」となる。

プログレッシブ・ロックと言うよりは、イギリスのハード・ロックと、プログレッシブ・ロックの良いところを、アメリカ人ならではのセンスでポップに消化したもの、と思っている。まあ、プログレッシブ・ロックでは無いでしょう。アメリカン・ポップ・ロックの位置付けかな。

とにかく、米国ロックならではの、判り易くて、ノリ易い、メリハリの効いた演奏がふんだんに盛り込まれている。この『幻想飛行』〜『ドント・ルック・バック』の2枚を聴き通したら、結構、疲れます(笑)。
 
 
 
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2008年9月 6日 (土曜日)

海につれて行って・・・(^_^)

朝は涼しいんだが、日が高くなるにつれ、昼前から真夏の蒸し暑さとなるんだよな。まだまだ暑いですね。特に、今年は蒸し暑い。この蒸し暑さが、結構、体にこたえる。このところ、昼ご飯を食べた後、毎日、睡魔に襲われています。

さて、それでも、夏は僕の大好きな季節。四季の中で一番好きな季節は、と問われれば、絶対に「夏」と答える。夏の雰囲気に合ったアルバムは多々あるが、今日は、70年代Jポップ、いわゆるニューミュージックのジャンルから、渡辺真知子の『海につれて行って』(写真左)を選択。

渡辺真知子(写真右)は、1956年生まれ。神奈川県横須賀市出身。現在でも、バリバリ現役のシンガーソングライターである。天真爛漫な人柄みたいで、ライブやテレビ出演時などでは、軽妙で明るいなトークが良いですね。僕は「迷い道」でデビューして以来、密やかなファンの一人として、長年、応援してきています。
 

Machiko_uminitsu

 
渡辺真知子は横須賀市出身ということで、海にまつわる曲が多い。1977年のデビューアルバムは、ズバリ『海につれて行って』。このアルバム、船山基紀がアレンジを一手に引き受けていて、内容的にはなかなかのもの。改めて聴いてみて思うのは、渡辺真知子は歌が上手い。今の耳でも十分に聴ける、ニューミュージック時代の佳作といえるでしょう。

当時のニューミュージックの他のミュージシャンのアルバムとは、ちょっと雰囲気が違うところが、僕には良い。どう違うかというと、他のミュージシャンのアルバムは、音のベースが「ロック&ポップス」。ビートルズやアメリカン・ポップスが音の根底にある感じ。

しかし、渡辺真知子のアルバムの根底には、音の根底には「ジャズやフュージョン」がある感じ。彼女の声量が豊かなことも影響していると思うが、実にジャジーな感じがする。テンポの速い曲はフュージョンの雰囲気。口先のボーカルとバックの演奏の雰囲気で誤魔化す、当時の流行とは一線を画した「正統派」な感じが実に良い。

アルバムの出だし「海のテーマ」から「海につれていって」につながるところは、いつ聴いても「いいなあ」と思う。そして続くは名曲「かもめが翔んだ日」。この冒頭の3曲は、全く持って「海の雰囲気」。

夏の雰囲気にピッタリのアルバム。特に、涼風吹き始めたこの季節にピッタリで、この季節に、思い出しては、棚から引きずり出して聴く、お気に入りのアルバムの一枚です。
 
 
 
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2008年9月 5日 (金曜日)

ELPの本質は、このアルバムに

昨晩は歓送迎会。二次会まで流れて、家に帰り着いたのは「午前様」。よって、今日は朝から眠たくて眠たくて仕方が無い。このところ、本業の方は激動の一ヶ月。はっきり言って疲れた。

疲れた時は、70年代ロックで、高校時代の思い出などに浸りながら、心の底までリラックスするのが良い。

今日、聴いたアルバムは、エマーソン・レイク&パーマー(以下ELPと略す)のファースト・アルバム(写真左)。ナイスのキース・エマーソン、キング・クリムゾンのグレッグ・レイク、アトミック・ルースターのカール・パーマーにより結成されたELP。1970年11月20日発表。彼らのデビュー・アルバム。

ELPと言えば、2nd『タルカス』、3rd『展覧会の絵』、5th『恐怖の頭脳改革』の3枚がクローズアップされる。プログレファンとして、この3枚は絶対に外せないアルバムだろう。聴き応え十分。クラシックとジャズを融合した「プログレ」の先駆け的存在のアルバムである。

Elp_2

しかしながら、ELPの本質は『ファースト』、4th『トリロジー』、6th『レディース・アンド・ジェントルメン(3枚組ライブ盤)』にあると思っている。ELPの原点が記録された『ファースト』、サウンド、テクニックとも頂点に達した『トリロジー』、体育会系プログレバンドの面目躍如、体力と知力で勝負の『レディース・アンド・ジェントルメン』。この3つのアルバムに、ELPの本質が集約されている。

特に、僕が好きなのは『ファースト』。重量感溢れるエレクトリックな『The Barbarian』で始まる本作。2曲目『Take A Pebble』のプリペアド・ピアノ的なアプローチ。4曲目『The Three Fates』の3部からなる組曲形式の理論整然とした演奏。どの曲も実に攻撃的で、アグレッシブで、先進的な演奏。今の耳で聴いても、実に聴き応えのある演奏ばかりがズラリ。

このファースト・アルバムの本質はアコースティックであると僕は思う。ジャズ・ホンキートンク・カントリーといったアメリカン・ルーツ・ミュージックにクラシック的な要素を加えて、多種多様な音楽を消化。単に、体力勝負の馬鹿テクなプログレ集団では無い、自らの美意識と自尊心を根底に、ELP音楽のショーケースの様なアルバムである。これぞプログレ。

ラストの「Lucky Man」は、名曲&名演。シンプルなグレッグ・レイクのアコースティック・ギター。エンディングを彩る、旋律的で暴力的なキース・エマーソンのシンセサイザー。意外と繊細で歌心のあるカール・パーマーのドラミング。このラストの「Luckey Man」は、今日から続く「明日」を感じる、実に楽観的な、実にポジティヴな名曲名演である。

本業に疲れた精神には、この今日から続く「明日」を感じる、実に楽観的な、実にポジティヴな雰囲気が、特効薬として、心の面に良く効くのだ。このELPのファーストを聴いて、心の底までリラックス。良いアルバムは、時代を超えて、いつ聴いても良いもんだ。
 
 
 
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2008年9月 3日 (水曜日)

気になるけど、なかなか・・・

さて、長年、ジャズと付き合っていて、ふと振り返ってみると、いろいろと面白いことに気が付いたりする。

ジャズ初心者の頃、「これ、なんか良いアルバムっぽいんやけどなあ」と手に取るが、購入するまでに思い切ることが出来ず、一旦諦め、また、幾季節か過ぎて、「そう言えば、これって昔、良いアルバムっぽいんやけどなあ、って思ったことがあるなあ」と思って手に取るんだが、結局、購入にまで至らない。

そうこうしているうちに幾年月。ジャズを聴き始めて、早30余年。こんな基本的なアルバムも持ってないんや、と思うアルバムが幾枚かある。つまりは、縁が無いんやね。

最近、初めてレコード屋で手にして以来、30年経って、やっと今回目出度く手に入れたアルバムが、チャールズ・ミンガスの『道化師』(写真左)。

この『道化師』のジャケット、LPサイズで見ると、結構迫力のあるもの。このアルバムを初めて手に取ったのは、ジャズを聴き始めてまだ2年位の「超ジャズ初心者」の頃。収録されている曲名を見ると、「ハイチ人の戦闘の歌」や「ラヴバードの蘇生」など、魅力的な邦題が並ぶ。なんか良さそうだ、と思うんだが、この迫力あるジャケットデザイン、道化師のアップに気圧されて、購入には至らず。

The_clown

やっと最近手に入れたんだが、聴いてみると、さすがチャールズ・ミンガス、ミンガス・ミュージック満載の内容。ミンガス独特の癖のある旋律、癖のあるアレンジ。そして、ミンガス・ミュージックを最大限に表現する素晴らしいバンド・メンバー。これぞジャズ、これぞモダン・ジャズって雰囲気で満足、満足。

ミンガス独特の癖のある曲がズラリと並ぶので、やっぱりジャズ初心者の方は、初めて聴いた時、面食らうかもしれない。でも、繰り返し聴くうちに、その癖がジャズ独特の響きを伴った、言い換えると、ミンガスの癖のある音を追う毎に、ジャズ演奏の特徴を感じて、聴くのが面白くなる、そんな不思議な魅力を持ったアルバムではある。

学生時代、例の「隠れ家的な音楽喫茶店」で、この『道化師』をリクエストしたことがある。僕以外、誰も他の客がいない時を見計らってリクエストした。一瞬「えっ」という顔をする妙齢の女性店主。でも、ちょっと微笑んで、すっとこのアルバムが出てくるところが、この音楽喫茶店の素晴らしいところ。

店内に流れるミンガスの『道化師』。癖のあるミンガスの旋律。ミンガス・ミュージックを最大限に表現する、素晴らしいメンバーの演奏。「良いアルバムですよね、これ」と妙齢の女性店主。「まだ初心者なんで、良く判らないんですが、良い感じだと思います」と僕。「ご自分が良いと思えば、良いアルバムなんですよ」と微笑む店主。「そうですよね」と僕。学生時代の懐かしい、そして、甘酸っぱい思い出である。
 
  
  
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2008年9月 2日 (火曜日)

フュージョンの完成形

我が千葉県北西部地方から東京。蒸し暑い日々が戻ってきてしまった。とにかく蒸し暑い。10分も歩くと、汗だくになる。涼しくなったと思ったのになあ。今日から、またまた、クールビズ対応のジャケットが再登場。再び、ノーネクタイでの通勤と相成った。

さて、昨日は、Bob James and David Sanborn『Double Vision』のお話しをしたんだが、今日は、もう少し、フュージョンの風に吹かれてみよう。今日は、アール・クルーの『Heart String』(写真左)。1979年の作品。フュージョンの完成形のような作品である。

心地良いナイロン弦ギターの響き、端正なリズムセクション、ムーディーなアレンジ。とにかく聴いていて心地良く、ムード満点。これぞ、ムード・ジャズって感じの演奏がズラリ。特に、リズム・セクションが、いわゆる「打ち込み」では無い、明らかに、人間の手によってリズムが刻まれていることを感じることが出来る、アナログな響きが実に良い。

Heart_string

破綻の無い、どこをとっても端正なアレンジと端正な演奏。完成度の非常に高い、高品位かつハイ・テクニックな演奏が満載で、そこが「面白くない」と評価するジャズ・ファンも多い。しかしながら、ここまで高品位かつハイ・テクニックな演奏はなかなかお目にかかれない。この『Heart String』を全編聴き通して思うのは、これって凄いことじゃないのか、ってこと。

「淡々」、「さりげなく」、そして美しい「メロディー」。どの曲も大変聴きやすい。旋律を追えること、メロディーを追えること。これぞ、フュージョンの完成形のひとつと言って良いほどの完成度の高さ。

あまりの完成度の高さ故、いきなりアール・クルーの代表作として持ち上げるには、ちょっと憚られる、それほどまでに、良くできた、アナログ的雰囲気の良く出たフュージョン・アルバムである。

アール・クルーについては、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」の一室、「フュージョンの風に吹かれて」のコーナーに、「ナイロン弦の心地よい響き/アール・クルー」(左をクリック)として、アップしていますので、ご興味のあるかたはどうぞ。
 
 
 
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2008年9月 1日 (月曜日)

もともと硬派なアルトなんだけど

蒸し暑い日が戻ってきた。この2〜3日の悪天候の末、どうも湿気を含んだ暖かい空気が、冷たい空気を押し切ったらしい。まあ、まだ9月1日だからね。例年であれば、朝夕はちょっと涼しくなるが、まだまだ残暑が続く頃。でも、先週末までの涼しい日々を体験してしまうと、蒸し暑い空気がやたら体にこたえる。

さて、今日は久々に、Bob James and David Sanborn『Double Vision』(写真左)を聴く。1986年の作品。パーソネルは以下のとおり。Bob James(key), David Sanborn(as), Marcus Miller(b), Steve Gadd(ds), Paul Milton Jackson Jr.(g), Al Jarreau(vo), Eric Gale(g), Paulinho Da Costa(per)。いやはや、そうそうたるメンバーである。

デイヴィッド・サンボーン(David Sanborn・写真右)は、1945年、フロリダ州タンパ生まれ。ジャズ・フュージョン界で活躍するアルトサックス奏者。彼のアルトは、エッジの立った、切れ込むような金属的で力強い音が特徴。一度聴いたら忘れられない、一聴したらそれと判る特徴的な音。また、歌うように奏でるその音色は「泣きのサンボーン」とも呼ばれる。
 

Double_vision

 
サンボーンは、ギル・エバンス・オーケストラへの参加など、もともと硬派なアルトサックス奏者なのだが、フュージョンのフォーマットに乗った彼のアルバムは、「泣きのサンボーン」が前面に出過ぎて、ムード・ジャズ、スムース・ジャズになってしまうケースが多々あって、僕としては、少々不満。

でも、この『Double Vision』は、さすが、ボブ・ジェームス御大のプロデュースとアレンジよろしく、いつものサンボーンとは一味違った、「硬派な」サンボーンのアルトが堪能できる。

収録曲のテンポがミディアムからバラードと、アップテンポの曲が無いにもかかわらず、ムード・ジャズ、スムース・ジャズな雰囲気がしない。特徴的な音で、メロディアスなサンボーンのアルトが、適度にハードに響いて、これぞ、サンボーンの真骨頂という感じがとても良い。

バックのリズム隊も、ベースはマーカス・ミラー、ドラムはスティーヴ・ガッドですから、適度にファンクで、純ジャズ的なハードな展開もあって、「硬派な」サンボーンを後押しする。

このアルバムでのサンボーンは、聴き応え十分。サンボーンは、ムード・ジャズ、スムース・ジャズの範疇だろう、なんて思っている人は一度、このアルバムを聴いてみてはいかが。サンボーンの本質である「硬派な」一面を感じることが出来て、なかなかいけますよ。
 
 
 
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