オーケストラとの共演モノ
今日の千葉県北西部地方は、半袖では寒いくらいの陽気。どんより曇り空ではあるんだが、今は涼しいことの方がありがたい。
ここまで涼しくなると、もう夏は終わりやなあ、と思い、しみじみとしてしまう。とりたてて、印象的な「ひと夏の経験」があった訳ではないんだが、夏の終わりはいつの時代もしみじみとしてしまうのだ。
さて、今日は、ジャズの「オーケストラとの共演モノ」について。ウィズ・ストリングスとして、特に、サックス奏者とトランペット奏者が好んで取り組む企画モノがよく知られている。チャーリー・パーカー、キャノンボール・アダレイ、クリフォード・ブラウンなどなど、それぞれ、ウイズ・ストリングスのアルバムを出している。
でもなあ、どの「ウイズ・ストリングス」モノを聴いていて、共通の不満点がある。ストリングスのアレンジや演奏が古い、もしくは稚拙。少なくとも、凡庸なアレンジ、凡庸な演奏がほとんど。主役は、ジャズのホーン系の演奏者なんだろうが、それにしても、バックのストリングスの演奏が問題なケースが多い。
ところで、昨日、ご紹介したデイブ・ブルーベック(Dave Brubeck)は、母親から受けたクラシックのトレーニングの跡と即興のテクニックが特徴で、確かに、ブルーベックのピアノには、クラシックの雰囲気が底に流れている。このデイブ・ブルーベックのカルテットとクラシック・オーケストラとの共演盤があるのだ。
アルバム名は『Brandenburg Gate: Revisited』(写真左)。デイヴ・ブルーベックが、自分のカルテットと兄ハワードの編曲・指揮による弦楽オーケストラとの共演を試みた異色の作品。これが、実に良くできた「ウイズ・ストリングス」モノなのだ。
まず、バックの弦楽オーケストラの演奏内容が良い。アレンジも良く、オーケストラの演奏技術も優秀。そして、何よりの特徴が、もともとクラシック・オーケストラは、演奏のアクセントは「頭打ち〜オン・ビート(前拍)」なんだが、このデイブ・ブルーベック・カルテットとの共演のバックをしている演奏を聴いていると、演奏のアクセントが、ふんわりと「後打ち〜オフ・ビート(後拍)」っぽい雰囲気なのだ。
ジャズ演奏のバックを意識した、優秀な演奏内容の弦楽オーケストラを従えた「ウイズ・ストリングス盤」は無敵である(笑)。この『Brandenburg Gate: Revisited』では、全編通じて、デイブ・ブルーベック・カルテットが素晴らしくスイングし、ストリングスと実に上手く融合していて、従来の「ウイズ・ストリングス」モノにありがちな、ジャズ演奏とストリングスがバラバラという感じが全く無い。
「オーケストラとの共演モノ」の中では秀逸な出来です。ジャズ入門として、クラシック畑のファンの方達も、このアルバムは入りやすいアルバムだと思います。
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