このアレンジャーは凄い
ジャズの楽しみは、それぞれの楽器のミュージシャンの演奏を楽しむ他に、ジャズの演奏をアレンジするいわゆる「アレンジャー」の編曲とその演奏を楽しむという切り口もある。
ジャズのアレンジャーで「このアレンジャーは凄い」と思った最初のアレンジャーは、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ・写真右)。1933年生まれで、1950年代から第一線で活躍を続け、グラミー賞をはじめとする音楽賞を多数受賞。ブラック・ミュージック界最大のプロデューサー&アレンジャーである。
クインシーのアレンジで、最初に感動したアルバムが、Quincy Jones『Walking in Space』(写真左)。1969年の作。時はフュージョン時代の前、まだ、フュージョンという言葉が無く、「クロスオーバー」と呼ばれた時代の、後のフュージョン・ジャズの先駆け的なアレンジ&演奏が聴ける。
どの曲も、とても参考になる、とてもクールなアレンジが施されており、実に聴きごたえのある内容。アメリカン・ルーツ・ミュージックをベースにアレンジが施されているが、アメリカン・ルーツ・ミュージックの中でも、ジャズをベースに、ブラック・ミュージックの中で、ジャズに近いところから、アレンジに取り込んでいる。ジャズをベースに、R&B、ファンク、ソウル・ミュージック、ゴスペルが渾然一体となっており、これぞ、アメリカン・ブラック・ミュージックという雰囲気に仕上がっている。
後のエレクトリック・ジャズ・ビッグ・バンドで使用される、楽器の重ね方、楽器の使い方、音色の使い方、リズムの使い方などのアイデアが、この『Walking in Space』には満載であり、このアルバムが、1970年代のフュージョン演奏、エレクトリック・ジャズ・ビッグ・バンドのアレンジに与えた影響は大きい。
一度聴いたら絶対に忘れない音やコーラスの重ね方、リズムの使い方、ブラスの使い方。クインシー・ジョーンズの個性が、このアルバムのあちらこちらで輝いている。ジャズ・アレンジャーの成果としては白眉の出来だと思います。
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