純ジャズ...後を継ぐ者
世間は「お盆休み」なんですね。往き帰りの通勤電車の空いていること。いつもこんな感じで空いていたら、通勤も楽なのにね。来週から、また元に戻るんだろうけど、今週一杯は空いている通勤電車を楽しむこととしよう。
さて、最近のジャズ界を見渡すと、若手ミュージシャンが伸び悩んでいるように見える。ベテラン・ミュージシャンを60歳〜70歳代だとすると、中堅ミュージシャンは40歳〜50歳代。若手ミュージシャンは、20歳〜30歳代。今のジャズ界は、ベテラン・ミュージシャン〜中堅ミュージシャンが元気で、若手ミュージシャンがどうもいけない。
それでも、期待できる若手ミュージシャンはいるにはいる。トランペットのライアン・カイザーがその一人。ライアン・カイザーは、17歳でモンク・コンペティションに優勝。ミンガス・ビッグ・バンドやリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラなどで活躍。メインストリーム・ジャズ一本で勝負する、純ジャズの「後を継ぐ者」の一人である。当ブログでも、約2年前、2006年7月7日のブログで、彼の初リーダーアルバムをご紹介している。
そのライアン・カイザーつながりで、最近の純ジャズの状況を確認できる、実に良い内容のアルバムを見つけた。その名は『The Uptown Quintet / Live In New York』(写真左)。ライアン・カイザーをフューチャーしたアップタウン・クインテットのファンキーなライブ・アルバム。これが、なかなかイケる。
ちなみに、このクインテットのパーソネルは、SPIKE WILNER(p), RYAN KISOR(tp) ,IAN HENDRICKSON-SMITH(as) ,BARAK MORI(b) ,CHARLES RUGGIERO(ds)。
バリバリの若手が演奏する古典的ハード・バップ、それも、ファンキー・ジャズがメイン。音の重ね方、コードの選択、インプロビゼーションの展開など、実に新しくクールで、50年代後半〜60年代前半のハード・バップ&ファンキー・ジャズの焼き直しやコピーでは無い、しっかりと、最新の純ジャズの響きを有した、格好良くて、メロディアスで、楽しさ満載のアルバムです。
カバー曲については、4曲目「SWEET PUMPKIN」、6曲目「BLUE MINOR」を選曲しているのがニクイ。今までの若手で、こんな選曲をするミュージシャンは、なかなかいないぞ。
特に「BLUE MINOR」はニクイ。かのファンキー・ジャズの名盤、Sonny Clarkの『Cool Struttin'』の2曲目。これぞ、ハード・バップ&ファンキー・ジャズの名曲。面白い演奏ですよ。アルトのイアン・ヘンドリクソン=スミスは「端正な崩れのないジャッキー・マクリーン」、ライアン・カイザーは「端正なアート・ファーマー」。バリバリの若手ミュージシャン達が、端正な演奏で、端正なアレンジで料理する。この「端正」な部分を評価するか、気に入るかどうかが、このアルバムが好きになるかならないかの分かれ目でしょう。
他の彼らの自作曲も、しっかりとハード・バップ&ファンキー・ジャズしていて良いです。気持ちの良い、爽やかなハード・バップ&ファンキー・ジャズが満載です。僕は好きですね〜。現在のジャズ界の若手ミュージシャンの心意気が伝わる好盤だと思います。
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