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2008年7月11日 (金曜日)

ジャズマンの「若手の登竜門」

ジャズ界では過去、優れた新人を発掘し、輩出したグループがいくつかあった。パッと思いつくのは、マイルス・デイヴィス・バンド、チャールズ・ミンガス・バンド、そして、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースである。

特に、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースは、ジャズミュージシャン若手新人の登竜門として、1950年代より、リーダーであるアート・ブレイキーが、1990年10月16日に亡くなるまで、それぞれの時代で、相当数の有望なジャズ・ミュージシャンをピックアップし、ジャズ界の最先端に送り込んできた。

そのアート・ブレイキーを「立派だなあ」と思うのは、純ジャズが大衆受けしなくなって、フュージョンの時代が到来し、誰もが、ハード・バップ的な演奏に見向きもしなくなった時代も、ジャズ・メッセンジャースを運営、その「モダン・ジャズ暗黒時代」にも、優秀な新人を発掘しては、ライブ演奏を通じて育て上げ、ジャズ界の第一線に送り出していたことだ。

今年の2月、当ブログでご紹介したライブ・アルバムが『Heat Wave』。1977年6月、サンフランシスコのキーストーン・コーナーでのライブ録音。1977年、モダン・ジャズ暗黒時代の真っ只中である。Valery Ponomarev (tp),Bobby Watson (as),David Schnitter (ts),George Cables (p),Dennis Irwin (b),Art Blakey (ds)と、そんな暗黒時代でも、Bobby Watson (as),George Cables (p)という優れた人材を輩出している。

暗黒時代でもハード・バップの火を絶やさず、純ジャズの若手ミュージシャンの登竜門としての役割を果たしていたジャズ・メッセンジャース。純ジャズ復権の兆しが見え始めた1980年以降、優れた若手ミュージシャンを擁して、新たな進撃を開始する。
 

Jazz_cafe_presents_art_blakey

 
このところ、良く聴くのが『Jazz Cafe Presents Art Blakey and The Jazz Messengers』(写真左)。1980年10月11日のライブ録音である。パーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Bobby Watson (as), Billy Pierce (ts),James Williams (p),Charles Fambrough (b),Art Blakey (ds)。改めて、メンバーを眺めてみると、そうそうたるメンバーである。特に、Wynton Marsalisの参加が目を惹く。このメンバーでの演奏は、凄まじいものがある。

Wynton Marsalisの演奏内容には既に一目置くものがある。James Williamsのピアノもモダンで良い。Billy Pierceのテナーも新しい響きがクールだ。Bobby Watsonのアルトは疾走し、Charles Fambroughのベースは堅実だ。

そんな若手の火の出るようなハード・バップを、要所要所をコントロールしながら、アート・ブレイキー御大がバックで煽りまくる。全体の演奏を統率しているのは、明らかにアート・ブレイキー御大だ。素晴らしいリーダーシップ。その「煽り」に若手が応え、ホットでクールな演奏を繰り広げる。聴き応え満点である。

1970年代、純ジャズの暗黒時代。ハード・バップの火は消えていなかった。1980年、純ジャズ復権の兆しが見え始め、ハード・バップは復活の狼煙を上げる。その瞬間を捉えた、ドキュメント性満点のライブ・アルバムです。細かいことは言わない。当時の若手ミュージシャンの「熱い演奏」を聴いて下さい。
 
 
 
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