夏は「ラテン・ジャズ」
夏はボサノバ。ジャズでいうなら、夏は「ボサノバ・ジャズ」、夏は「ラテン・ジャズ」。といって、ボサノバやラテン音楽に迎合するジャズは好きじゃ無い。ボサノバをやるなら、ボサノバのプロに勝る者無し、ラテンやるなら、ラテン音楽のプロに勝る者無し。
つまり、ボサノバやラテン音楽のエッセンスを踏襲しつつ、しっかりとジャズのフォーマットで消化して、ジャズをベースとしつつ、ジャズのフォーマットを基本とした「ボサノバ・ジャズ」、「ラテン・ジャズ」でないとジャズではない、というのが僕の持論。
そういう意味で、このところ良く聴くようになった、ロン・カーター(b・写真右)の『When Skies Are Grey』(写真左)が実に良い。『オルフェ』に続くボサノバ・アルバムということだが、全体を通して聴くと、ボサノバ・アルバムというよりは、ボサノバを含むラテン・ジャズって感じ。
しっかりと、ジャズのフォーマットで消化して、ジャズをベースとしつつ、ジャズのフォーマットを基本としているところが、聴いていて実に潔い。どの曲もどの演奏も、モーダルで、クールなジャズである。現代ジャズの先端を行く演奏が実に心地良い。
ドラムにハーヴィ・メイソンを迎えたことにより、多彩なドラミングが印象的。そして、若手ピアニスト(当時)、スティーブン・スコットが素晴らしい。近年のロン・カーターは、晩年のレイ・ブラウン(b)のように、有能な若手や優れた中堅どころ、脂ののった職人芸的なベテランを配して、「ジャズを極めるようなパフォーマンスをプロデュースする立場」に徹していて、その成果は確かなものがある。
ロン自身のベースも、フュージョン時代の様に、アタッチメントをつけて、ベースの音を増幅することも無く、ベースのピッチも結構合っていたりして、聴き応えがあるものになった。録音技術の進歩もあるんだろうが、ロンのベースが、やっと彼の実力通りの「音」になったことが好ましい。
全体として、ゆったりとしながらも、テンションの高い、ハイレベルのプレイが楽しめます。ハイレベルだからといって難しくない、耳に心地良い、ジャズの醍醐味が判りやすい演奏が良いですね〜。
ボサノバやラテン音楽に迎合するジャズではない、ボサノバやラテン音楽のエッセンスを踏襲しつつ、しっかりとジャズのフォーマットで消化して、ジャズをベースとしつつ、ジャズのフォーマットを基本とした「ボサノバ・ジャズ」、「ラテン・ジャズ」がここにあります。良いアルバムです。
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